元・宿屋の娘は美人冒険者の恋路を応援したい

紫野

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宿屋の娘は美男美女に付き合ってほしい

9 隠しキャラ

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「パーティーですか?」

 嬉しいけれど突然の提案に、私は思わず首を傾げながら聞き返した。

「うん。私ずっとソロ活動だったし、パーティー組みたいと思い始めてきてたから。マリアちゃんとなら楽しそうだなぁって思って。……だめかな?」
「だめじゃないですけど……私でも、冒険者になれるんですか?」
「もちろんよ!貴重なヒーラー職な上にこのポテンシャル……ってああ、なるほど!……」


 どうやら私は冒険者ができるらしいが、リリーさんは話している途中で何かに思い至ったのか、ぶつぶつと独り言を言い始めた。


「どうしたんですか?」
「ああ、ごめんなさいね」

 内容が気になって、というより前の話が終わっていなかったので話しかけると、リリーさんはやっと気がついたようだった。


「それで、どうしたんですか?」
「うーん、もしかしたらの話なんだけど、マリアちゃんって隠しキャラなのかも」
「隠しキャラ?」
「そう。運営がね、特別なキャラクターを隠しキャラとして作りましたーって広報してたの。で、何人いるかは分からないけど五人は見つかっていて、全員町の外のフィールド、山の中とか隠しダンジョンとかから見つかってたの」

 ゲーム内では、特定のクエストをクリアすることで仲間を増やすことができる。仲間を増やすことができるクエストに挑戦できるようになったら通知が来て、クエスト欄に追加される仕様だ。
 隠しキャラというならば、普段通りにクエストをこなしていても出会えないキャラだということだろう。

「でも、外のフィールドばかりで見つかるなら、私が隠しキャラっておかしくないですか?」
「ううん、そんなことないわ。確かに、外でばかり見つかるから外のフィールドを探す人の方が多かったけど、逆に町の中を探している人も結構いたよ」
「それで、私は目を付けられなかったと?」
「だって、食堂で一番隠しキャラっぽいのって『オヤジさん』だったもの」
「ああ、なるほど……」

 確かに父さんは、並の冒険者では歯が立たないほど強い。見た目も強そうだし、うちの食堂に隠しキャラを探しに来たなら真っ先に父さんのことを調べるだろう。

「じゃあ、何でリリーさんは私のことを隠しキャラだと思ったんですか?」
「あー、隠しキャラは五人見つかってたって言ったでしょ?それが壁役タンクと召喚士、探索者に、双剣使いと黒魔導師だったんだけど、全員、何か一つに特化した、悪く言えば偏った能力値だったの」
「あー、私の能力は完全に、回復職ヒーラーに偏ってますね」
「そういうこと。隠しキャラは始めから使えるステータスをしてる上に成長するから、探す人も多かったのに……」
「それほど隠し方が巧妙だったっていうことですね」

 父さんは私にも、冒険者はやらないって言っていたし、家族と宿が第一だ。ゲーム内でも冒険者のパーティーには入らなかっただろうけれど、私が隠しキャラだったとしたら、父さんは良い隠れ蓑になったことだろう。


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