元・宿屋の娘は美人冒険者の恋路を応援したい

紫野

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宿屋の娘は美男美女に付き合ってほしい

16 初めての戦闘

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「距離200。すぐ来るよ!」
「「了解」」
「了解!」

 あぁぁあぁあどうしよう!
 もう戦闘!?
 私がしなきゃなのは……

 あ、補助魔法だ!

パワーアップ筋力強化マジックサポート魔法補助、守護の願い!」
 
 紫色の狼みたいな魔物が視界に入ったところでやっと、補助魔法を発動した。

「ドーマさんはここから動かないでくださいね。守護結界!中から触ると解除されるので」


 ドーマさんに結界を張った時にはもう、三人の戦闘は始まっていた。

 敵の顔など、嫌がるところを切りつけてヘイトを溜めながら、盾とショートソードで攻撃を受け流すラスターさんと、それに気を取られる敵を後ろからなぎ払うリリー。
 テオさんは私たちの近くで弓を構えていたけど、敵が後一体になった時点で「もう大丈夫かな」と構えを解いていた。

 そう、結局5体の魔物は、リリーとラスターさんの二人だけであっさりと倒してしまったのだ。

「す……すごいですね!傷一つ無いなんて」
「いや、傷はあったみたいだよ」
「え?」

 テオさんがラスターさんの左腕を掴んで上げると、ちょうど籠手から外れたところにひっかき傷があった。深い傷ではなさそうだけど、血は止まっていない。

「ありましたね、傷」
「ちっ、こんなもんかすり傷だろ」
フィクス固定ヒール回復。いや、血が止まってないんだから報告してくださいよ。報告なかったら面倒なんで、常時回復魔法かけますよ?」
「いや、普通この程度でわざわざ報告しないだろ。動かせるんだし」
「常時回復ですか……」
「あーもう分かった!報告はするがこの程度のけがで一々騒ぐな」

 日本だと転んですりむいただけでも当然のように手当てされるのに、これだから頑丈な人間が多い世界は……
 ブツブツと文句を言っていたら、リリーに声をかけられた。

「それにしても凄かったねー、マリアの補助魔法!」
「すみません、かけた側ですが効果の程が分かりません」
「うーん、急に体が軽くなったせいで敵をなぎ払った剣がラスターに当たりかけたくらい?」
「えっ?」

 自分にかけたときの経験だけでは他の人の体感は分からないので、正直に言ってみたけれど、聞き捨てならないことを聞いた気が……

「あーなるほど。珍しいミスしたと思ったら、予想外の攻撃に怯んだのか」
「うるせぇ」

 にやにやと分析し始めたテオさんに、不機嫌になるラスターさん。仲良しですね。
 というか。

「じゃあその怪我は、元をたどれば私のせいですか……ごめんなさい。体感が狂うとか考えてなかったです」
「見誤ったのは私よ。マリアちゃんのせいじゃない」
「実際、いつもより楽に倒せたから助かった。リリーもすぐ慣れるだろうから補助魔法はできればかけてくれ。あと、俺は魔法使わないから魔法補助はいらない」
「分かりました。あと、ラスターさん……」
「ん?どうした?」

 二人の戦闘を見て少し気になったので言っておこう。


「私はリリーとテオさんのカップリングを推してるので、うっかり落ちたり落としたりしないでくださいね。応援できませんから」

 一応は聞く姿勢だったラスターさんは、げんなりした表情でため息を吐いた。

「よく分からんが、くだらない話だっていうのは分かった」

 しょうがないじゃないですか、2人とも格好良かったんですから!
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