元・宿屋の娘は美人冒険者の恋路を応援したい

紫野

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元・宿屋の娘は推しカプを守りたい

5 鑑定・解除はお早めに

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 と、いうわけで(?)私は今母さんの実家、トルネ家にいます。


 訳が分かりませんよね、私もです。

 昨日、ナユユちゃんのパーティー入りが決まってからすぐに解散して、今日の朝起きたら即座に支度させられて、なぜか宿の前に泊まっていた煌びやかな馬車に乗せられて、大きな屋敷に着いたかと思えば通された部屋にはジオルド様とドーマさんがいました。

 短く言えばこんな感じです。


 それでここはどこかと問えばジオルド様に「トルネ家の王都邸だ」と言われ、なぜかふかふかのソファに座らされたままドーマさんに診察されていた。ドーマさんは別件でたまたま近くにいたので旧友であるジオルド様に呼び出されたそうだ。なんか申し訳ないです。

「こりゃ、印象操作系の魔法だろうな。本人に自覚させなかったのは見事だけど、詰めが甘いね。魔法を使った形跡はしっかりと残っていたよ」
「………………へ?」

 ぽかんと見上げた先では、物騒なことを言った本人であるドーマさんがにこにこしていた。

「私のことですか?」
「もちろん。心当たりはあるんじゃないかな?」
「…………あぁ~…………」

 あれですね、『目を合わせたら彼女のことしか考えられない魔法』なんて、よくある話でしたね……。


 自分自身に状態異常回復の魔法をかけると、霧が晴れたように思考がすっきりとした。
 すると今度は、自分のしたことを思い返してもの凄い後悔に襲われた。

「っあぁぁ!すみません面倒事起こしました!」

 自分の失態に思い至ると勢いよく土下座する。

「うーん、お嬢様のことは断り続けても面倒事は避けられなかっただろうし、仕方ないかもね。それよりも、今後同じことが無いように気をつけようか」
「そうよー。昨日様子がおかしかったから鑑定してみたら状態異常で魅了ってなってて驚いたんだから」
「どこから聞きつけたのかジオルド様が迎えをよこすし、本当に大変だったな」
「本当に、すみません!」
「ま、無事で良かったじゃねえか」

 こういうときにただ責めるのではなく、心配して怒って、茶化してくれるようなメンバーで本当に良かった。


「というか、どうして私だったんでしょうか?魅了ならテオさんにかければ良かったのに」
「身もふたもねえな」
「すみません。気になってしまいました」

 疑問を口に出してみると、ドーマさんが苦笑した。

「それは、テオフィルス君には魅了が効かなかったからではないかな」

 印象操作系の魔法は特定の感情を増幅させたり抑制したりする魔法で、無い感情を作り出すことはできないらしい。
 つまり、テオさんはナユユちゃんに、全く好意を抱いていなかったいうことだ。


「お嬢はなぜか可愛いって連呼してたもんなぁ。見た目にだまされすぎだろ」

 ドーマさんの説明を聞いたラスターさんに呆れられたけど、可愛いのは事実じゃないですか!いや、騙されたのは申し訳ないですけど……
 まさか魔法で操ってまで仲間に入ろうとするとは思ってなかったです……。

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