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元・宿屋の娘は推しカプを守りたい
6 5人での依頼
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さて、無事を確認して満足したジオルド様から解放されてギルドに戻ると、待ち構えていたかのようにナユユちゃんが現れた。
「テオ様!パーティー加入の許可をくださったのでしょう?ありがとうございますわ!」
説得したのは私だけど真っ先にテオさんに抱きつく辺り、恋は盲目ですよねぇ。
そう、私の魅了は解けたものの、パーティー加入の了承はしてしまったのだ。了承すると一度はパーティーとして一緒に仕事をしなければいけない決まりだ。
「とりあえず仮加入ということですが、一度依頼を受けましょうか」
仮加入としてのパーティー加入であれば、抜けやすくなる。貴族の子女が冒険者体験をするときは大体がこの形だ。
しかしナユユちゃんは『体験』で済ませるつもりはないようだった。
「いやですわ、仮加入なんて。本加入にするくらい信頼してくださってもよろしいのに」
そう言って頬を膨らませたナユユちゃんの目は本気だ。
しかし私たちはあくまでも冗談ととって、相手をしなかった。
私たちが受けた依頼はワームの討伐依頼だった。
ワームは蛇のように長い胴体に大きな口を持つ魔物だ。頭は頑丈だが胴体はそこまでないので、幼体のうちは他の魔物のえさになりやすい。しかし成長すると胴体の鱗も硬くなり、体はどこまでも大きくなる厄介な魔物なのだ。
今回依頼されたワームは4メートル級。魔物も捕食してしまうような個体だ。
強い冒険者はすぐ貴族に引き抜かれたりちょっかいを出されるらしく、王都のギルドには常駐する上級冒険者がいなかった。そのため王都に立ち寄った上級冒険者は危険な依頼から逃れられないのだ。
危険な依頼で、連れて行くお嬢様には傷一つつけられないようにしなければならない。なかなか難易度の高い任務だ。
憂鬱になる私たちに対してナユユちゃんは上機嫌。「お役に立てるようにがんばりますわ!」とやる気満々だ。
ええ、私にとっては癒やしですよ。しかし危機感がなさすぎて他のメンバーがピリピリしているのが不安です。
目的地である王都付近の森で、目撃情報とテオさんの索敵に従ってワームを探す。
「敵8体接近中!距離300……イビルファルコンだ、すぐ来るよ!」
「多っ!」
「守護結界!」
私は即座に結界を構築し、テオさんの弓矢による先制攻撃で1体は墜落、3体がけがを負った。
イビルファルコンは素早く頭が良い魔物だ。挑発が効きにくく後方支援の魔道士から狙ってくるが、その分攻撃力は低い。
いつもは結界を張り私には攻撃が通じないことを理解させて、他のメンバーに向かったところで返り討ちにするのだが、今回はそうはいかなかった。
「きゃっ!?来ないで!」
「あっ魔法は───」
私の近くにいたナユユちゃんも結界内に入れた。しかし襲いくる魔物に驚いた彼女は、外に向かって魔法を放ってしまったのだ。
守護結界は中の人の判断で出られるように、中から触れば解除されるようになっている。
当然、魔法でも中から触れれば解除されてしまう。
ドォン
ナユユちゃんの魔法はすでにけがをしていた魔物3体に当たったが一瞬怯ませただけで致命傷には至っていない。7体のうち3体はテオさんに、残りは私とナユユちゃんに分かれて2体ずつ攻撃してきた。
「バリア!」
接近されると結界は使えない。バリアではナユユちゃんを守るので精一杯だ。
私に向かってきた2体は体術で応戦するしかなかった。同時に攻撃してくるので1体は避けられても2体目の攻撃は避けられない。
反射的に杖で受ければ細いステッキタイプのそれはバキッと嫌な音を立てて折れてしまった。
「えぇ!?」
次からはただの棒じゃなくて槌に換えようかなどと無駄なことを考えてしまったが、一回目の攻撃は乗り切った。しかし敵を倒したわけではない。
すぐに体制を整えるが武器がなかった。
「ちょっ、次は無理───」
「てやぁっ!」
「───って、おお……」
しかしさすが上級冒険者3人というべきか気付けば敵はあと1体、それもリリーが目の前で倒してしまった。
「テオ様!パーティー加入の許可をくださったのでしょう?ありがとうございますわ!」
説得したのは私だけど真っ先にテオさんに抱きつく辺り、恋は盲目ですよねぇ。
そう、私の魅了は解けたものの、パーティー加入の了承はしてしまったのだ。了承すると一度はパーティーとして一緒に仕事をしなければいけない決まりだ。
「とりあえず仮加入ということですが、一度依頼を受けましょうか」
仮加入としてのパーティー加入であれば、抜けやすくなる。貴族の子女が冒険者体験をするときは大体がこの形だ。
しかしナユユちゃんは『体験』で済ませるつもりはないようだった。
「いやですわ、仮加入なんて。本加入にするくらい信頼してくださってもよろしいのに」
そう言って頬を膨らませたナユユちゃんの目は本気だ。
しかし私たちはあくまでも冗談ととって、相手をしなかった。
私たちが受けた依頼はワームの討伐依頼だった。
ワームは蛇のように長い胴体に大きな口を持つ魔物だ。頭は頑丈だが胴体はそこまでないので、幼体のうちは他の魔物のえさになりやすい。しかし成長すると胴体の鱗も硬くなり、体はどこまでも大きくなる厄介な魔物なのだ。
今回依頼されたワームは4メートル級。魔物も捕食してしまうような個体だ。
強い冒険者はすぐ貴族に引き抜かれたりちょっかいを出されるらしく、王都のギルドには常駐する上級冒険者がいなかった。そのため王都に立ち寄った上級冒険者は危険な依頼から逃れられないのだ。
危険な依頼で、連れて行くお嬢様には傷一つつけられないようにしなければならない。なかなか難易度の高い任務だ。
憂鬱になる私たちに対してナユユちゃんは上機嫌。「お役に立てるようにがんばりますわ!」とやる気満々だ。
ええ、私にとっては癒やしですよ。しかし危機感がなさすぎて他のメンバーがピリピリしているのが不安です。
目的地である王都付近の森で、目撃情報とテオさんの索敵に従ってワームを探す。
「敵8体接近中!距離300……イビルファルコンだ、すぐ来るよ!」
「多っ!」
「守護結界!」
私は即座に結界を構築し、テオさんの弓矢による先制攻撃で1体は墜落、3体がけがを負った。
イビルファルコンは素早く頭が良い魔物だ。挑発が効きにくく後方支援の魔道士から狙ってくるが、その分攻撃力は低い。
いつもは結界を張り私には攻撃が通じないことを理解させて、他のメンバーに向かったところで返り討ちにするのだが、今回はそうはいかなかった。
「きゃっ!?来ないで!」
「あっ魔法は───」
私の近くにいたナユユちゃんも結界内に入れた。しかし襲いくる魔物に驚いた彼女は、外に向かって魔法を放ってしまったのだ。
守護結界は中の人の判断で出られるように、中から触れば解除されるようになっている。
当然、魔法でも中から触れれば解除されてしまう。
ドォン
ナユユちゃんの魔法はすでにけがをしていた魔物3体に当たったが一瞬怯ませただけで致命傷には至っていない。7体のうち3体はテオさんに、残りは私とナユユちゃんに分かれて2体ずつ攻撃してきた。
「バリア!」
接近されると結界は使えない。バリアではナユユちゃんを守るので精一杯だ。
私に向かってきた2体は体術で応戦するしかなかった。同時に攻撃してくるので1体は避けられても2体目の攻撃は避けられない。
反射的に杖で受ければ細いステッキタイプのそれはバキッと嫌な音を立てて折れてしまった。
「えぇ!?」
次からはただの棒じゃなくて槌に換えようかなどと無駄なことを考えてしまったが、一回目の攻撃は乗り切った。しかし敵を倒したわけではない。
すぐに体制を整えるが武器がなかった。
「ちょっ、次は無理───」
「てやぁっ!」
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しかしさすが上級冒険者3人というべきか気付けば敵はあと1体、それもリリーが目の前で倒してしまった。
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