元・宿屋の娘は美人冒険者の恋路を応援したい

紫野

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元・宿屋の娘は推しカプを守りたい

9 一件落着?

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「そんな……だってテオ様に決まった方はいないって……」

 そうなりますよね。それも私が教えてしまいましたもん。

「俺はリリーを愛していますよ?」

 テオさんは困ったような顔で、しかしはっきりとそう言った。

 と、というかこれはKOKUHAKUというやつではないですか!?

 勢いよくリリーの方を見ると、リリーは真っ赤になって目を見開いていた。「こっこんな公衆の面前で何言ってるのよ!」みたいな顔だ。ありがとうございます。

「ど、どうしてですの!?2人はおつきあいされていないのでしょう?ならばわたくしの方が───」
「ああ、あなたには言っていませんでしたね。俺とリリーは恋人同士ですよ」

 爽やかな笑顔で爆弾を投下したテオさん。


 ……ていうか、ええぇぇぇぇ!?


「私も聞いてないんですけど……」
「え?」
「はぁ?」
「あら?そうだったっけ?」

 一度微妙な空気になったものの、ナユユちゃんの声で一気に引き戻される。

「そんなことはどうでもいいわ!だってわたくしはブラック家の娘よ!平民が言うことを聞かないなんて───」
「ああー。そのことなんだが」

 ナユユちゃんが実家の名前を出したのを聞くと、ラスターさんが気怠げに話に入ってきた。

「そのブラック家ってのはトルネ家よりも格下だろ?」
「え?それはそうだけど……どうしてトルネ家が出てくるのよ?」

 怪訝そうに聞くナユユちゃん。まあ、当然の反応ではあります。
 ラスターさんは一通の手紙を差し出す。

「そのトルネ家の当主様からだ」

 それを聞き、手紙を読んだナユユちゃんの顔は蒼白になっていく。

「ど、どうしてあなたがこんなもの……」
「それは読んだら分かるだろ」
「こんな……こんなの嘘に決まってますわ!」
「そう思うんなら、実家おうちで確認してくるんだな」

 そこだけ切り取ったら悪役にしか見えない発言に、完全に顔色を失ったナユユちゃんは呆然として帰って行った。


「ジオルド様、何て書いたんですか……」
「お嬢の伯父殿には、あのお嬢様が貴族じっかの力を使おうとしたら渡せとだけ言われたな。内容は……お嬢は知らなくていいそうだ」

 何ですかそれ怖いです。ちょっとした恐怖体験ですよ。


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