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8話 激闘
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あと一歩の所で、熊の魔物に気づかれ、雄叫びをあげられた僕は、思わず怯む。
欲に目が眩んだ。そんな後悔は微塵も意味をなさない。とにかく今はこの現状を何とかしなければならない。
広場には他の魔物も居るが、その全てがこの熊の魔物に近づこうとしない。完全にターゲットにされてしまったことはわかっているので、戦闘態勢に入る。
剣さえあれば、ある程度戦えるが、生身の近接戦となると、爪もある向こうに部がある気がする。
熊が右腕を振るう。それを何とか両腕で受け止める。力は向こうが上で、捉えられないほどの速さでは無い。急所を狙えばなんとかなるだろうか。
痺れを切らした熊は、今度は両腕で爪を振るってくる。片腕は抑えられたものの、もう片方の腕は素通りで、そのまま胸に一撃を食らう。五本の鋭い爪で抉られた胸部が、ズキリと痛む。
「これが本当の戦いというやつか……」
体格も、戦闘経験でも向こうが上。その上何かスキルを隠し持っている可能性もある。逃げられる可能性は、恐らく無い。もう一度強い魔物が乱入してきたら、逃げられるかもしれないが、その可能性はあまり無いだろう。
勝ち筋が見えず、途方に暮れていると、熊が動きを止める。そして、宝箱を指さしている。
「まさか、これを使えってことか?」
魔物は往々にして、知能は無い。そう考えられてきたはずだが、明らかに挑発するように待ち構えている熊の魔物に対し、僕は、一か八か、無防備な体制を晒して宝箱の前にしゃがみこみ、手をかける。
次の瞬間、待っていたとばかりに襲いかかってくる熊の魔物。
「謀ったな!」
僕は宝箱の中身をなんとか掴み取るも、熊の爪によって、胸を貫かれる。
「カハァッ……」
僕は思い切り吐血する。そして、熊はそのまま爪を引き抜き、僕の体から大量の血が吹き出る。
順調だと思っていたが、ここまでか。ダンジョンは、最下層は、そこまで甘くない。その当たり前の現実を今更思い知り、僕はあまりの悔しさに涙が零れる。
【……】
歪む視界。朦朧とする意識の中、思い浮かぶのは、自分を馬鹿にしてきた人間たちの汚い笑い声。
この世のありとあらゆる理不尽。そして裏切ってきた人間。己の無力さ。その全てに対して怨嗟の嗚咽を漏らした。
━━ユルセナイ。
その瞬間、自分の中にあったドロドロとした感情が、強烈な殺意となって胸中に渦巻くのを感じた。
「こんな出来損ない。もう家にはいらないわ」
「お前はもうこの家の人間では無い。家名を口にしたら、お前を地の果てまで追い込んで殺すから、覚悟しておけよ」
「いつまで経っても貧相な体で、魔物一匹、それもスライムすら倒せなさそうな体つき。頭も悪いし、体が貧相だから荷物持ちすら満足に出来ない。利用してやるだけ、有難く思えってんだよ……」
脳裏に過ぎる、家族だったモノたちの言葉。銀狼の血のリーダーの裏切り。踏みにじられてきた数々の記憶。因縁。その全てが、
━━ユルセナイ。
胸の傷から流れ出た血が、先程握りしめた何かに吸い寄せられていく。
【……血ノ盟約ハ此処二成ッタ。我、喰ラウ者也。ソナタ二、理不尽ヲ喰ラウ力ヲ授ケヨウ……】
激しく揺れ動くダンジョン。凄まじい威圧感に、思わず、熊の魔物がたじろぐ。
「俺・を騙し、裏切ったこと、後悔させてやる……」
立ち上がった俺・は、手に持つ漆黒の剣の切っ先を熊の魔物に向けた。
欲に目が眩んだ。そんな後悔は微塵も意味をなさない。とにかく今はこの現状を何とかしなければならない。
広場には他の魔物も居るが、その全てがこの熊の魔物に近づこうとしない。完全にターゲットにされてしまったことはわかっているので、戦闘態勢に入る。
剣さえあれば、ある程度戦えるが、生身の近接戦となると、爪もある向こうに部がある気がする。
熊が右腕を振るう。それを何とか両腕で受け止める。力は向こうが上で、捉えられないほどの速さでは無い。急所を狙えばなんとかなるだろうか。
痺れを切らした熊は、今度は両腕で爪を振るってくる。片腕は抑えられたものの、もう片方の腕は素通りで、そのまま胸に一撃を食らう。五本の鋭い爪で抉られた胸部が、ズキリと痛む。
「これが本当の戦いというやつか……」
体格も、戦闘経験でも向こうが上。その上何かスキルを隠し持っている可能性もある。逃げられる可能性は、恐らく無い。もう一度強い魔物が乱入してきたら、逃げられるかもしれないが、その可能性はあまり無いだろう。
勝ち筋が見えず、途方に暮れていると、熊が動きを止める。そして、宝箱を指さしている。
「まさか、これを使えってことか?」
魔物は往々にして、知能は無い。そう考えられてきたはずだが、明らかに挑発するように待ち構えている熊の魔物に対し、僕は、一か八か、無防備な体制を晒して宝箱の前にしゃがみこみ、手をかける。
次の瞬間、待っていたとばかりに襲いかかってくる熊の魔物。
「謀ったな!」
僕は宝箱の中身をなんとか掴み取るも、熊の爪によって、胸を貫かれる。
「カハァッ……」
僕は思い切り吐血する。そして、熊はそのまま爪を引き抜き、僕の体から大量の血が吹き出る。
順調だと思っていたが、ここまでか。ダンジョンは、最下層は、そこまで甘くない。その当たり前の現実を今更思い知り、僕はあまりの悔しさに涙が零れる。
【……】
歪む視界。朦朧とする意識の中、思い浮かぶのは、自分を馬鹿にしてきた人間たちの汚い笑い声。
この世のありとあらゆる理不尽。そして裏切ってきた人間。己の無力さ。その全てに対して怨嗟の嗚咽を漏らした。
━━ユルセナイ。
その瞬間、自分の中にあったドロドロとした感情が、強烈な殺意となって胸中に渦巻くのを感じた。
「こんな出来損ない。もう家にはいらないわ」
「お前はもうこの家の人間では無い。家名を口にしたら、お前を地の果てまで追い込んで殺すから、覚悟しておけよ」
「いつまで経っても貧相な体で、魔物一匹、それもスライムすら倒せなさそうな体つき。頭も悪いし、体が貧相だから荷物持ちすら満足に出来ない。利用してやるだけ、有難く思えってんだよ……」
脳裏に過ぎる、家族だったモノたちの言葉。銀狼の血のリーダーの裏切り。踏みにじられてきた数々の記憶。因縁。その全てが、
━━ユルセナイ。
胸の傷から流れ出た血が、先程握りしめた何かに吸い寄せられていく。
【……血ノ盟約ハ此処二成ッタ。我、喰ラウ者也。ソナタ二、理不尽ヲ喰ラウ力ヲ授ケヨウ……】
激しく揺れ動くダンジョン。凄まじい威圧感に、思わず、熊の魔物がたじろぐ。
「俺・を騙し、裏切ったこと、後悔させてやる……」
立ち上がった俺・は、手に持つ漆黒の剣の切っ先を熊の魔物に向けた。
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