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13話 残剣
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穴の底で、時間感覚も分からないまま、長いようで短いような時間が過ぎた。
魔王との魔法の修練も上手く行き、固有魔法の空間魔法の一部、担い手の少ない闇魔法の上級と基本四属性の火、水、風、土の上級魔法までは使えるようになった。
魔力の制御自体は容易いが、突き詰めると更なる修練が必要とのこと。
「うむ。やはりお主のその特異体質もあって、力の適合が早いな。ワシが魔法を習得した時よりも、覚えが早い」
「そうか……。弟はあれからどれだけ強くなったんだろう」
弟の顔を思い出すだけで、憎悪が腹の底から湧き上がる。少しでも今は強くなりたい。そんなことを考えていると、上から、何か落ちてくる。
「転移陣で人が落ちてくるな……」
「何?人だと?」
上を見あげると、俺が落ちてきた辺りと同じ場所から、軽装鎧に身を包んだ、傷だらけの女冒険者が落ちてくる。
俺はそれを危なげなく受け止める。浅く息をしているので死んではいないようだが、気を失っている。
「こいつは確か……残剣とか言われてた冒険者だな」
「ほう。知り合いか」
「俺が冒険者をやってた時に、何度か見かけたことがある」
「なんじゃ。他人なのか」
「……まあ、事情くらいは聞いておくか。おい魔王」
「なんじゃ。気軽に呼びおって」
「こいつを助けたい。なにかないのか?」
「そうじゃのう……ふふ」
魔王は何か悪巧みをしたような顔をすると、こんなことを言い出す。
「そいつに、この深層の魔物を食わせればいい」
「な、なに!?そんなこと……」
そう言おうとして、自分が魔物の肉を食べて助かったことを思い出す。
「本当に大丈夫なのか?」
「どのみちその女は死ぬぞ」
「それもそうか……それに、別に情が移った訳では無いしな」
そうして、俺は早速その辺にいた魔物を殺して肉を剥ぎ取ると、女の喉奥に無理やり肉を押し込んだ。
「かはぁっ!!」
女の体が雷を流したかのようにビクりと大きく痙攣すると、バキバキと音がし、三分ほど経つと、傷が治り初める。
「俺の時ほど変化はないな」
「お主の体は何も無かったからな。適合しやすかったんじゃろう。ちなみに今のお主は魔物に近い」
「魔物……まあ、強くなれたならそれでいい」
そんなことを話していると、女冒険者が、目を覚ます。
「ん……ここは……。ハッ」
女冒険者は何かを思い出した素振りをすると、近くにあった剣を構え、直ぐに立ち上がる。
「お前は誰だ!? 銀狼の血の仲間か!?」
「銀狼の血? なるほど……」
俺は、彼女が俺と同じように、銀狼の血に嵌められたのだと悟った。
「俺は銀狼の血では無い。俺はむしろ、お前と同じ、嵌められた側の人間だ」
「む……。そうなのか」
「それと、俺の名前は、フォード・シュタインだ」
「なに!?生きていたのか」
こうして、俺は彼女と出会った。
魔王との魔法の修練も上手く行き、固有魔法の空間魔法の一部、担い手の少ない闇魔法の上級と基本四属性の火、水、風、土の上級魔法までは使えるようになった。
魔力の制御自体は容易いが、突き詰めると更なる修練が必要とのこと。
「うむ。やはりお主のその特異体質もあって、力の適合が早いな。ワシが魔法を習得した時よりも、覚えが早い」
「そうか……。弟はあれからどれだけ強くなったんだろう」
弟の顔を思い出すだけで、憎悪が腹の底から湧き上がる。少しでも今は強くなりたい。そんなことを考えていると、上から、何か落ちてくる。
「転移陣で人が落ちてくるな……」
「何?人だと?」
上を見あげると、俺が落ちてきた辺りと同じ場所から、軽装鎧に身を包んだ、傷だらけの女冒険者が落ちてくる。
俺はそれを危なげなく受け止める。浅く息をしているので死んではいないようだが、気を失っている。
「こいつは確か……残剣とか言われてた冒険者だな」
「ほう。知り合いか」
「俺が冒険者をやってた時に、何度か見かけたことがある」
「なんじゃ。他人なのか」
「……まあ、事情くらいは聞いておくか。おい魔王」
「なんじゃ。気軽に呼びおって」
「こいつを助けたい。なにかないのか?」
「そうじゃのう……ふふ」
魔王は何か悪巧みをしたような顔をすると、こんなことを言い出す。
「そいつに、この深層の魔物を食わせればいい」
「な、なに!?そんなこと……」
そう言おうとして、自分が魔物の肉を食べて助かったことを思い出す。
「本当に大丈夫なのか?」
「どのみちその女は死ぬぞ」
「それもそうか……それに、別に情が移った訳では無いしな」
そうして、俺は早速その辺にいた魔物を殺して肉を剥ぎ取ると、女の喉奥に無理やり肉を押し込んだ。
「かはぁっ!!」
女の体が雷を流したかのようにビクりと大きく痙攣すると、バキバキと音がし、三分ほど経つと、傷が治り初める。
「俺の時ほど変化はないな」
「お主の体は何も無かったからな。適合しやすかったんじゃろう。ちなみに今のお主は魔物に近い」
「魔物……まあ、強くなれたならそれでいい」
そんなことを話していると、女冒険者が、目を覚ます。
「ん……ここは……。ハッ」
女冒険者は何かを思い出した素振りをすると、近くにあった剣を構え、直ぐに立ち上がる。
「お前は誰だ!? 銀狼の血の仲間か!?」
「銀狼の血? なるほど……」
俺は、彼女が俺と同じように、銀狼の血に嵌められたのだと悟った。
「俺は銀狼の血では無い。俺はむしろ、お前と同じ、嵌められた側の人間だ」
「む……。そうなのか」
「それと、俺の名前は、フォード・シュタインだ」
「なに!?生きていたのか」
こうして、俺は彼女と出会った。
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