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24話 試合前 リンネ
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「リンネさん。どうしていきなり決闘なんて申し込んだんですか!?」
「朝から騒々しいな、カイゼル。一体どうしたと言うんだ」
「どうしたもこうしたもないですよ!! あんな訳分からないやつに戦いを挑むなんて……それに……」
「なんだ、私が負けると思ってるのか」
「いえ、そこまでは思ってないですけど、奴は相当手練ですよありゃあ」
「そうだな。私は奴がどれくらい強いのか測ってみたかった。私でも測りきれない規格外の力の持ち主。戦ってみたくなるのは当然じゃないか」
私はやけに落ち着かない様子のカイゼルに対し、迷惑をかけることを自覚しつつも、本音を言った。
「それに、奴はあのフォード・シュタインと名乗った。それが本当ならば、これ程興味深いことは無いだろう?」
「え!? まさか、リンネさん、やつの言うことを信じたんスか!?」
「それを確認するために、戦って本質を見抜く」
「はぁ~。全く、これだから戦闘狂のリーダーは毎度のこと世話が焼けますねぇ~」
「ハッハッハ、すまんな」
私の十八番は、戦闘をして相手の本質を見抜くことだ。弱い相手ほど本質を読み取るのは簡単であり、強い相手は、多様な強さを内包しており、読み解き甲斐がある。そんな中でも、一際異質だったのが、フォード・シュタインだった。奴の本質は、一目で分かった。人は何かしら欲求に依存した強さがある。その上での、欠落、無才、どこまでも果てのない弱さ、という本質。そんな、明らかに人としておかしい存在というのが、奴だった。
そんな奴が、強靭な力を得て帰ってきた。盗み聞きをする限り、奈落の底で生き延びたらしい。
あれほどの強さを得るまでに何があったかは計り知れないが、奴の本質が変わったことは確かだった。
基本的に、人の本質は変わらない。いや、皆変えたがらないと言うべきか。何か、自分にとって強烈な出来事がない限り、人の本質は変わらない。時より、フォードのような本当の無能も居たが、基本的には才能に限らず、弱者は弱者たるべくして弱者であり強者は強者たるべくして強者であると考えるのが私の考えであった。心の強さは、肉体的にも人を強くする。その考えの元、私はひたすらに己を極め続けてきた。
そんな中、今までの非才ぶりを覆すかのように、心も体も、才能も本質も全てを兼ね備えて現れたやつは、私にとって、これ以上ない刺激になる。そう直感が告げていた。
あれほどまでに突き詰めた強さ、それも、この短期間であの力を手にした奴の本質を、この目で確かめたい。あわよくば、その強さの一端に触れることで、私の力の糧としたい。
その一心で、奴に喧嘩を売った。
ギルドなんてどうでもいい。
私は、私のエゴのために奴と戦う。
時間が経つ毎につれて、来る戦いに向けて先鋭化されていく私の精神に、はやる気持ちを覚える。
「リンネさん、またいつもの癖出てますよ」
「あぁ、すまない。だが、今回だけは抑えることが出来ない」
「相変わらずおっかねぇ顔だ」
私は釣り上がる口角を抑えきれずにいた。
「朝から騒々しいな、カイゼル。一体どうしたと言うんだ」
「どうしたもこうしたもないですよ!! あんな訳分からないやつに戦いを挑むなんて……それに……」
「なんだ、私が負けると思ってるのか」
「いえ、そこまでは思ってないですけど、奴は相当手練ですよありゃあ」
「そうだな。私は奴がどれくらい強いのか測ってみたかった。私でも測りきれない規格外の力の持ち主。戦ってみたくなるのは当然じゃないか」
私はやけに落ち着かない様子のカイゼルに対し、迷惑をかけることを自覚しつつも、本音を言った。
「それに、奴はあのフォード・シュタインと名乗った。それが本当ならば、これ程興味深いことは無いだろう?」
「え!? まさか、リンネさん、やつの言うことを信じたんスか!?」
「それを確認するために、戦って本質を見抜く」
「はぁ~。全く、これだから戦闘狂のリーダーは毎度のこと世話が焼けますねぇ~」
「ハッハッハ、すまんな」
私の十八番は、戦闘をして相手の本質を見抜くことだ。弱い相手ほど本質を読み取るのは簡単であり、強い相手は、多様な強さを内包しており、読み解き甲斐がある。そんな中でも、一際異質だったのが、フォード・シュタインだった。奴の本質は、一目で分かった。人は何かしら欲求に依存した強さがある。その上での、欠落、無才、どこまでも果てのない弱さ、という本質。そんな、明らかに人としておかしい存在というのが、奴だった。
そんな奴が、強靭な力を得て帰ってきた。盗み聞きをする限り、奈落の底で生き延びたらしい。
あれほどの強さを得るまでに何があったかは計り知れないが、奴の本質が変わったことは確かだった。
基本的に、人の本質は変わらない。いや、皆変えたがらないと言うべきか。何か、自分にとって強烈な出来事がない限り、人の本質は変わらない。時より、フォードのような本当の無能も居たが、基本的には才能に限らず、弱者は弱者たるべくして弱者であり強者は強者たるべくして強者であると考えるのが私の考えであった。心の強さは、肉体的にも人を強くする。その考えの元、私はひたすらに己を極め続けてきた。
そんな中、今までの非才ぶりを覆すかのように、心も体も、才能も本質も全てを兼ね備えて現れたやつは、私にとって、これ以上ない刺激になる。そう直感が告げていた。
あれほどまでに突き詰めた強さ、それも、この短期間であの力を手にした奴の本質を、この目で確かめたい。あわよくば、その強さの一端に触れることで、私の力の糧としたい。
その一心で、奴に喧嘩を売った。
ギルドなんてどうでもいい。
私は、私のエゴのために奴と戦う。
時間が経つ毎につれて、来る戦いに向けて先鋭化されていく私の精神に、はやる気持ちを覚える。
「リンネさん、またいつもの癖出てますよ」
「あぁ、すまない。だが、今回だけは抑えることが出来ない」
「相変わらずおっかねぇ顔だ」
私は釣り上がる口角を抑えきれずにいた。
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