悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

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助けた理由

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 「エリザベス!大丈夫か…」

 その人は高々にエリザベスの名を呼んだと思うと、私を見た途端にエリザベスの前に立って殺気を放った目を向けている。

「なぜ、お前がここにいる」

「お兄様、この方を知っているのですか?」

「エリーが知らないのを良い事に近づくとは図々しい奴だ」

「ご、誤解です!」

「お兄様、説明してください。どういう事ですか?」

「コイツの名は、レイア・ルーナマリア・リリーだ」

「リリー…。貴女は、リリー家の者なのですか…?」

「……そうです。私の名前は、レイア・ルーナマリア・リリーと言います。」

 どうせ名乗る予定だったのだ。私は隠さず名乗る。
 その名を私の口から直接聞いたその人は、低い声で圧をかけるように言う。

「エリーに何のようだ」

「先程も申したとおり、何も企んではおりません。どうか、信じては貰えないでしょうか」

「無理だな」

 その人は冷たく言い放つ。やはり無理か。それはそうだ。ライバル関係である家の娘を助けたのだ。何か策があって助けたと思われても仕方がない。
 でも、本当に何もないのだ。信じて欲しい。手を握りしめ、口を開こうとした時、

「お兄様、おやめください」

 エリザベスが後ろで凛とした声で言うと、その人は驚いた目でエリザベスを見る。

「何を言っている、」

「その方は私が溺れていたのを助けてくれた方です」

「分かっただろう。コイツはリリー家の人間で、エリー、お前を助けたのはコイツの策で…」

「本人は違うと言っています」

「コイツが言うことを鵜呑みにするのか!?」

 その人は振り返り両腕を大きく広げる。かなりの形相だが、エリザベスは怯まずに、その人を睨みつける。そのままエリザベスは立つと、目線を外さないまま私の目の前に背中を向けて立つ。その人とエリザベスは、向かい合っている状況だ。

「何のつもりだ、エリザベス」

「先程も申したとおり、この方は私の恩人です。リリー家の者だろうと、そうでなかろうと、侮辱することはこの私が許しません。
ーそれが、兄である貴方であっても」

「エリザベス、お前は騙されてー」

「わ、私は!」

 急に声を上げた私に、2人が驚きの視線を送る。

「私は、溺れたのがエリザベス様や違う方であっても、助けました。助けた方がたまたまエリザベス様だっただけなのです。お願いです。策も何もありません。私個人の判断であり、家は何も関係していません。どうか、どうか信じては頂けないでしょうか」

 私は深々と頭を下げて言う。それを見つめる2人。暫しの沈黙が流れた後、先に口を開いたのはエリザベスだった。

「お兄様、こう言っておられます。それに、お兄様が来るまで2人きりでしたが、私の家の内状を探るようなことは一切聞いてきませんでした。信じて下さい」

「ー何故、助けた」

「ーえ?」

「何故、エリザベスを助けたかと聞いている。エリザベスじゃなくても、助けたのだろう」

「何故、助けたか、」

「理由を言えないのならば、信用には値しない」

「お兄様!」

 エリザベスが怒りの声を上げる。向けられているのは変わらず殺気と疑いを孕んだ視線だ。しかし、ここで怖気付く訳にもいかない。私は自分が作れる限りの力強い声で言った。
 


 「助けるのに、理由が必要なのですか」
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