悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

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別れ

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「さっき通りかかったら、エリーの声が聞こえてな。まさか、相手がお前だとは思わなかったが」

 エリーは背中を向けているためこっちに気づいていない。まだ草木に話しかけている。

「エリーと何を話していた」

「そ、それは…」

 言えない。エリーの恋の話なんて、言えない。家族に相談するのが気恥ずかしいから、私に相談してきたのだ。兄にバラしてしまったら元も子もない。

「話せない内容なのか」

「そ、そうです」

 それを聞くと、フッと鼻で笑う。

「そりゃそうだろうな、エリーを取り込もうとしているのだから」

「ち、違います!私はエリーと本当に…」

「何故お前がエリーの名を言う!」

 エヴェレットが声を張り上げる。
 その声に気づいたエリーが振り返り、急いでこっちに戻ってくる。

「お兄様!何故ここに?」

「お前の声が聞こえたからだ。何故コイツと関係を持ち続けている」

「お兄様、昨日もそうでしたよね。わたくしがいくら言っても同じことを繰り返すだけ。何故レイと関わるのがいけないのです?」

「レイ?レイだと?コイツのことをそう呼んでいるのか?」

「ええ。親しみを込めて」

「そんなことはやめろ!」

 エヴェレットがバンと机を叩く。額や手には血管が浮き上がっている。

「何故分からない、コイツはお前を騙そうとしているんだぞ!」

「昨日もその言葉を聞きました!いい加減にして下さい!わたくしが誰と関わろうと、お兄様には関係ありません!」

「いいやあるね、俺だけでなく、ノア家に関係する!特に、リリー家との関わりはな!!」

 エリーはグッと詰まる。リリー家とノア家の関係を十分承知の上で、私に関わっているのだろう。それが今後どう影響するか、エリーがわからないはずがない。

「…何故、何故いけないのですか」

「コイツがリリー家だからだ」

「リリー家ではなかったら、良かったのですか」

「ああ」

 エリーは悔しそうな顔をする。

 私だって悔しい。せっかく、エリーに会えたのに。


   エリーと、友達になれたのに。

  
  家のせいで、引き裂かれるなんて。 


「申し訳ありません、エヴェレット様」

「俺の名を呼ぶな」

「……申し訳ありません。ノア様」

 私は椅子から降りて膝をつく。
 そして、頭を地面につけた。
 いわゆる、土下座というものだ。

「レイ!そんなことをする必要など…」

「そう思われても仕方ありません。私の生まれ、リリー家はノア家とライバル関係にあります。それも、勝手にリリー家がライバル視しているだけの」

「わかっているなら何故立場を弁えない」

「……私の、私情です」

「お前のくだらない私情で、両家の関係を余計に悪化させる気か」

「そんなことをする気はありません。私は、仲良くしたいと思っています。しかし、私を信じられないというなら、私はもうエリザベス様に関わりません」

「レイ!」
 
 エリーが叫ぶ。瞳は哀しみの色に染まっている。
 胸がこれ以上無いくらいに痛む。
 でも、私のせいでエリーが言われるなら、

「私は、身を引きます」

「ならばすぐここから立ち去れ」

 そう冷たく言われ、私は立ち上がる。
 膝や手についた土を払うことなく荷物をまとめ、最後にお辞儀をしてから足早に立ち去る。

 後ろからエリーの声が聞こえる。それを無視して走る。自分の目から涙が落ちる。視界がどんどん揺れていくが、それでも足は止めない。


 最後に見たエリーの顔は、私が望んだ笑顔とは程遠い、ボロボロと泣いている顔だった。

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