灰色に夕焼けを

柊 来飛

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芽生え

未知の気持ち

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 とりあえず家の中に入ってもらって、そこから詳しい話を聞くことになった。
 一人一人簡単に、僕に自己紹介をしてくれた。


「初めまして、俺は誉の夫の皇 和翠すめらぎ わすいです。鷹翔からは兄貴って呼ばれてるよ。宜しくね」
 
 柔らかい笑顔を向ける皇さんは、ターコイズブルーの髪と瞳をしている。
 オールバックの髪型に、僕から見て右側に前髪を下ろしており、片目がほぼ隠れている状態だ。
 後ろは先生と似たような感じでサッパリとしている。
 目は細めで若干タレ目だが、眉が太くキリッと上がっているため、凛々しい印象を受ける。
 身長は180ほどらしく、体はしっかりと鍛えている。
 古さんの年上幼馴染らしく、年齢は39歳。若い見た目だが、話してみるとゆったりと、しかしハッキリと喋る人で年相応か、それ以上の大人の余裕を感じる人だ。

「俺は鬼神 御代一きしん みよいち。レイの旦那さんだよ~。よろしくねー」

 ニッコリと眩しい笑顔をした鬼神さんは、蝶先生と似た容姿をしている。
 真っ白な髪をしていて、眉も睫毛も白色だが、肌は蝶先生よりも少し日に焼けている。
 髪は耳の高さまで刈り上げており、前髪は皇さんと似たような感じだが、皇さんよりも前髪は薄く、短いのでしっかりと目が見えている。
 瞳は黄金の色をしており、光の当たり具合で色が薄いところ、濃いところができて、まるで宝石みたいだ。
 二重で若干つり目の大きな目を、女性顔負けの長い睫毛が縁取っている。
 身長は191で、これまた体はしっかりと鍛えている人だ。
 年齢は先生と同じ31歳で、蝶先生とは中学生の頃からお付き合いをしていて、高校を卒業してすぐに結婚したらしい。
 見た目のせいで2人は兄妹の様に見えるが、2人が纏う温かく優しい、そしてほのかに甘い雰囲気が、2人は夫婦ということを表していた。

「えっと、改めまして、蝶 レイちょう れいです。お姉ちゃん…誉叔母さんの姪っ子で、鷹翔と御代一とは中学からの付き合いなんだ。これからよろしくね」

 驚いた。蝶先生と先生はこんな昔からの付き合いで、しかも一緒に暮らしていたなんて。
 驚きの事実がポンポンと出てくる中、蝶先生が不満げにが口を開いた。

「私はビックリだよ。まさか鷹翔が夕ちゃんに言ってなかったなんて。私、今あの高校に居るって話したよね?」

「てっきりもう会って話してるかと思ったんだよ、そんなに責めんな」

「あ、あの、蝶先生は、僕のこと知ってたんですか?」

「うん、鷹翔から聞いてたよ。女の子を迎え入れたって聞いた時は驚いたけど」

 そう言うと、蝶先生は僕の後ろに回って、僕を抱きしめる様な形で僕の前に腕を回す。
 蝶先生は古さんの姪っ子だと言っていた。その血があるのだろうか。蝶先生も僕にハグしてくる。
 それを見た先生はグっと眉を顰めて不満げな声を上げる。

「おいレイ、お前の生徒だろ。何やってんだ」

 それを聞いた蝶先生はビクともせずに、逆に挑発する様に笑いを含んだ声色で言う。

「嫉妬だ」

「違げぇ」

「別に女の子同士なのに。ねー、夕ちゃん」

 やばい、妖精の顔がこんなに近くにある。蝶先生の柔らかい体に抱き締められて、僕が何も言えずにいると、急にグイッと引き剥がされる。
 代わりに背後には硬い感触を感じる。

「困ってるだろ」

「そんなことないよ」

「困ってるよな、烏坂」

「困ってないよね、夕ちゃん」

 2人に詰め寄られ、どうすればいいのかわかんなくなっていた時、皇さんの声が降りてくる。
 
「はいはい、夕ちゃんの取り合いはそこまでだよ。レイ、御代一が嫉妬してるよ」

「えっ?」
 
 蝶先生が振り返ると同時に、鬼神さんが蝶先生を引っ張って自分の腕の中に収めた。
 ちょうど今僕と蝶先生は、同じ様な状況になる。
 同じ様な状況?だって今、蝶先生は鬼神さんに後ろからがっつりハグされて…
 今更自分の今の状況に気づいた僕は、ボンと顔から火が出る様な感覚に陥る。
 だってそうだろう、今僕はあんなにカッコいい人にハグされているんだぞ、女の子の夢だろ。

 先生と呼びかけたが、先生は僕を離す気はないらしい。余計に力が籠るだけで、先生の熱が、鼓動が僕に伝わってきて僕の心臓は心拍数をどんどん上げる。
 平常心、いつもの様に平常心を、そう思っても僕の体は熱を生成するばかりだ。

 今の状況を見て古さんは仲良いー、似た者同士ーとキャッキャしている。
 皇さんがもう離してあげなさいと2人を嗜めると、ようやく僕と蝶先生は解放された。

 僕はまだ収まらないこの体の熱さに困惑していた。なんで、なんでこんなに熱いのだろう。
 確かに先生はかっこいいし、優しい。でも、蝶さんとか古さんに抱き締められてもこんな気持ちにはならなかった。
 熱くて、恥ずかしくて、でも嬉しくて、先生のあの熱がまた恋しくなる。
 
 僕は生まれて初めて思うこの未知の気持ちに、しばらくの間悩まされるしかなかった。

 
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