灰色に夕焼けを

柊 来飛

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惹かれ合う

愛してる

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 車に戻ると、僕は先生に食い掛かる。

「先生!!なに、何やって、」

「ん?何だ?」

「みんなの前で!!飴、飴を、僕の口に、」

「お前が食うって言ったんじゃねえか」

「そうだけど!あんな、みんなの前で、か、かか、間接、きす…」

「そうだな」

「そうだなじゃありません!一言言うだけで良かったのに!」

「次あったらお前のこと殺してやるって言えばよかったのか?」

「ち、ちが、えっと、そんな、」

「それとも、」

 先生は僕に顔を近づける。

「直接キスした方が良かったか?」

 僕はその言葉に顔を真っ赤にする。

「先生の馬鹿!!!」

 僕は先生の胸をドンと叩くが、先生は笑って僕の頭を撫でる。

「飴、要らないなら俺が食う」

「た、食べます!」

 また先生に返すなんて心臓が持たない。僕は飴を舐めるが、さっきのことで頭が一杯で味を感じられない。

「別に良いだろ、もうバレても」

「…………こーゆーのは、もっと慎重にやるべきかと、」

「大胆にやらないと意味ないからな」

 先生は車のエンジンをかけると、元来た道を戻って行く。

「なぁ夕」

「……何です?」

「好きだぜ」

「………僕も、好き、です」

 その言葉を最後に、家まで無言だった。

 家に着き、僕は制服から着替えて下に行くと、先生もスーツから着替えてリビングにいた。

「機嫌直せよ、夕」

「………、」

 僕が黙っていると、先生は僕の背後に回って僕を抱きしめる。

「な、何ですか、騙されませんよ、」

「違う。なぁ夕、俺はほんとにお前が好きだ、愛してる。だからこそ、アイツが許せない」

「……せ、せんせ、」

「お前、気づいてないから言うが、アイツお前のこと好きだぞ」

「えぇ!?そんな訳、」

「ある。ただ、お前に振られたのが悔しくてもう2度と覆せない度が過ぎたことを口走ったんだろう」

 先生は淡々と話す。

「じゃなきゃあんな未練タラタラなことしねぇ。どうにかしてお前の気を自分に引きたかったんだ。で、無理矢理認めさせた上で、後から本気で好きにさせる予定だったんだろ。ま、それも玉砕した訳だが」

「そんなことが…」

「だから、俺はわざとああやったんだ。アイツに見せつけるようにして。お前の入る隙は無いってな」

 先生も考えていたのか。僕は一時の感情で怒ってしまって申し訳ない。

「……ごめんなさい、先生」

「俺の方こそすまなかった。もっと良い方法はあった筈だ。でもそれしか思い浮かばなかったし、なにより心に余裕がなかった」

 先生は僕の頬を撫でる。

「夕、好きだ」

「……鷹翔さん」

 僕は先生の方に向く。

「僕も、鷹翔さんが好き。大好き」

「ああ」

 僕は先生の唇に軽くキスを落とす。

「か、」

「夕だよ、鷹翔さん」

「……夕、お前、さっき、」

「……嫌だったら、もうしない」

「嫌じゃ無い、嫌じゃ無い、嫌じゃ無い。もっとしてくれ、もっと、」

 ズイッと先生に迫られて、僕は先生を押し返す。

「待って!ゆっくり、ゆっくり!」

 先生は僕の肩を掴んで離さない。

「なぁ夕、もう一回だけ…」

 先生が僕に頼み込む。その顔が怒られた犬みたいで僕は心が揺らぐ。一回、一回だけなら…。

「も、もう一回、だけですよ……目、瞑ってください」

 先生は目を瞑る。僕は先生の頬に触れた後、またキスを落とす。今度はサービスで少し長めに。
 パッと唇を離すと、先生はゆっくりと目を開ける。

「嬉しい」

「そ、そうですか」

「……本当に、沢山のことがあった」

「……そうですね」

「でも、それら全部があったから今の俺たちがいるんだ」

「はい」

 先生は僕と向かい合い、そして抱きしめる。

「夕」

「鷹翔さん」

「俺とずっと一緒に居てくれるか?」

「勿論です」

「夕、愛してる」

 その言葉を言われ、僕の目頭が熱くなる。答えなんてもう決まっている。


 
      「鷹翔さん、愛してます」
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