125 / 132
アフターストーリー
マーキング
しおりを挟む「あ、あのさ、」
僕は大学の写真サークルのみんなに問う。
「なあに?ユウチャーン、この先輩にドンと言ってみなさーい!」
先輩は僕に肩を組んで急かしてくる。ここには今同性しかいないから僕は思い切って聞く。
「そ、その、こ、この歳で、キスしか経験無いって、変…ですか…?」
僕が聞くと、みんなポカンとする。ああ、やっぱり変なのかな。
「え、それは…夕ちゃん、もしかしてそれしか経験無い系?」
僕が頷くと、みんなは顔を見合わせてから一気に喋り始める。
「私は別に変じゃ無いと思うけどなー。夕の話聞く限り、高校時代はすっごーい頑張ってたんでしょ?だからそんな時間なかったと思うし」
「うんうん、私はもう済ませてるけど、普通にまだ経験無い子も全然いるから焦らなくていいと思うよ」
「そ、そう、かな…」
僕が言うと、隣にいた先輩はニヤリと笑って僕の耳元で囁く。
「え?何?彼氏と?」
僕は一気顔が赤くなり、先輩だけでなくその場にいるみんなにバレてしまう。僕は顔を手で覆って情けない声を出す。
「うぅう…。だ、だって…こんな事相談出来るのみんなしかいないから…」
「何そういうことかー。と言うか、やっぱり彼氏いるよねー夕ちゃん。こーんなに可愛いんだもん、ねぇ知ってる?君のこと狙ってる男子多いんだよ」
「そうそう!今日も夕の連絡先教えって聞かれたし!気をつけな!?」
「う、うん…」
「ねぇ、夕ちゃんの彼氏ってどういう感じの人?」
先生と話した結果、どうせいつかバレるから話してしまっていいということになったため、僕は遠慮なく写真を見せる。
「えー!カッコいいー!え、モデルさん?」
「ち、違います、その、年上の人で…」
「きゃー!美男美女カップルー!」
みんなはかなり盛り上がり、僕は根掘り葉掘り聞かれる。僕はなるべく濁しながら話すと、みんなはうんうんと頷く。
「ほう、高校生からの知り合いで、もう同棲していると。ほーん…。その、夕は今どこまで進んだの?」
「……………し、舌、入れるキスあるじゃん?そ、それを、昨日……」
「き、昨日!?え、じゃあ本当にキスしかしたことなかったの!?」
「だからそう言ってる!!」
僕は恥じらいを捨てて言うと、みんなの方が顔を赤く染める。
「あらあらあら、ねぇ、いっつも思うけど夕って純粋だよね、その線に対して本当に疎い」
「よ、よく言われる」
「キスマとか知らない感じ?」
「…?きすま…?」
「oh、マジか」
みんなは頭を抱え、先輩は急に僕の首を触る。
「ひゃっ!」
「よくこことか、服で見えないところに付けるのがキスマ。キスマークって事」
「き、キスマーク…?」
僕が首を傾げると、先輩はカラカラと笑う。
「後は自分の彼氏さんに聞けば詳しく教えてくれるよ」
「そうそう!実践してくれるかも」
「?、そ、そうなの?」
「そうだよ!報告楽しみにしてるねー!」
僕は何が何だか分からないままだったが、その歳でも未経験は珍しくないという情報を得られただけでも満足だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「先生、キスマって知ってます?」
僕がベランダで涼んでいる先生に聞くと、先生はゴホゴホと咳き込む。
「な、ゆ、夕、お前、どこからそれを、」
「大学のサークルの女の子たちからです。先生に聞けば教えてくれるよって。キスマーク?で、首とか服に隠れるところにつけるとか、何とか」
「ああ…」
先生はグシャグシャと頭を掻くとこちらに来て僕の前に座る。
「お前の考えで、キスマって何だと思う?」
「キスマークってことですよね?だから女性が口紅付けて、それを男性につけるみたいなものだと思います」
「ああ…、そういう…まぁそれもキスマークと言うが…」
「違うんですか?」
「まぁな」
「先生に言えば実践してくれるかもって言ってたんですけど、」
すると、先生はまた咳き込む。僕は心配になって先生に近づくと、先生は呼吸を整えて僕を見つめる。
「キスマ、知りたいか?」
「え?はい…」
僕が素直に答えると、先生は僕の首元に顔を埋める。僕が驚いたのも束の間、何やらぬめった感触が伝わったと思ったらビリッと刺激が走る。
「いっ!?」
ジクッとする痛みがしてそこをジュッと吸われる。僕は何が何だか分からなくて先生の頭をわしゃわしゃと掻き乱して問う。
「な、何して、せんせっ、」
先生はベロっとそこを舐めてから顔を離す。
「これが、キスマだ」
「………へ?」
「鏡見てみろ」
先生に促されて鏡を見ると、僕の首には赤く痕がついている。
「相手の身体を噛んで吸って、痕を付けるのがキスマだ」
「へ、へぇ…」
僕がマジマジと見ていると、先生は僕に付いたキスマをなぞる。
「明日は襟が立ってるやつ着てけよ」
「何でですか?」
「キスマはよく性行為中に付けるものだからな」
僕はそれを聞いてボンと顔を赤くする。
「そうでなくても、深く愛し合ってる証拠として付けるからこれを見た奴は大体が昨日はお熱い時間をを過ごしたんだなとか、そう思うぜ」
僕はそのキスマを急いで手で隠すが、先生はカラカラと笑う。
「隠しても意味無いだろ、俺が付けたんだぞ」
「な、ななな何で最初に言ってくれないんですか!?」
「お前が知りたいって言ったんじゃねえか」
「こんなことって知ってたら遠慮してました!」
「調べれば出てくるものをいちいち俺に聞くからだ」
「………だ、だって、先生が、全部教えてくれるって、言うから、」
僕が目を逸らしながら言い訳のように言うと、先生は笑って僕の腕を掴んで引き寄せる。
「ああ、教えてやるさ。ぜーんぶな」
「せ、先生のえっち」
「それ、煽ってる自覚あるか?」
「へ?」
僕が疑問の声を出すと、先生は眉を顰める。
「やっぱり無いか…これでも俺はかなり我慢してる方だぞ」
「が、我慢が無くなったら、どうなりますか…?」
僕が恐る恐る聞くと、先生は僕をベッドに押し倒して悪魔のような笑顔をする。
「俺に喰い殺される」
「ひっ、」
先生の瞳に光は無くて、獲物を逃さんとギラギラと僕を見つめる。僕は蛇に睨まれた蛙の気持ちが痛いほどよく分かった。
「キスマには愛情の他にも、マーキングの意味もある」
「マーキング?」
「自分のものだと、周りに見せびらかしたり言い聞かせるんだ。まぁ、簡単に言えば独占欲だな」
「でもキスマは隠すものなんですよね?隠しちゃったら意味無くないですか?」
「別に隠さなくでいいぜ、噂されるのは夕だが」
「隠します!!」
僕が宣言すると、先生から僕に提案される。
「夕も俺に付けてみるか?」
「え?」
「ほら」
先生は僕がキスマを付けやすいように首をグッと差し出す。僕は起き上がっておずおずと先生の首に口付けてそこを吸うが、なかなか付かない。
「む、難しい…」
「もっと強くやるんだよ」
「い、痛くないですか?」
「別に痛くないし俺もお前に痛い思いさせたんだからおあいこだ」
僕はもう一回先生の首を吸う。今度はなるべく強く吸うと、薄らと痕が残る。
「で、できた!できましたよ、先生!」
「ああ」
先生は嬉しそうに笑う。僕がホカホカとしていると、先生は僕の頬を撫でる。それはキスの合図となっていた。
「せん、」
「今日は辞めとくか?キスマを知ったわけだし」
僕は一回目を伏せてから、おずおずと口を開く。
「し、舌入れないやつ…」
「分かった」
結局、僕は騙されて舌を入れる濃厚なキスをされ、昨日みたいに白旗を上げることとなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
敏腕SEの優しすぎる独占愛
春咲さゆ
恋愛
仕事も恋愛も、兎に角どん底の毎日だった。
あの日、あの雨の夜、貴方に出逢うまでは。
「終わらせてくれたら良かったのに」
人生のどん底にいた、26歳OL。
木崎 茉莉 ~kisaki matsuri~
×
「泣いたらいいよ。傍にいるから」
雨の日に現れた、30歳システムエンジニア。
藤堂 柊真 ~Todo Syuma~
雨の夜の出会いがもたらした
最高の溺愛ストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる