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4 追放サイド:没落への道(その1)
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「ラウダ小隊長。どうやらあの荷物持ちが生きているらしいです」
俺様は部下からの報告を受けて、頭に血が上るのを感じた。
「どういうことだ。説明しろ」
総勢十四名からなる帝国竜騎士団第七小隊は、行きつけの酒場に集まっていた。
旨い酒が台無しになりかねない話題だ。
あの荷物持ちのジン・カミクラが生きている、だと?
SSS級ドラゴンであるデュランダルのダンジョンへと踏み入ったのは、確か一週間ほど前のはず。
俺様はジン・カミクラを餌にデュランダルの存在を見極めてやるつもりだった。だが役立たずを崖下へと蹴落とした途端、洞窟全体が崩落を始めたのだ。小隊全員で転移魔法を何度も繰り返し、どうにか脱出に成功した。あの状況でFランク以下のジンが生き残れたとは到底思えん。
「風の噂では、崩落したダンジョンでSSS級ドラゴンと盟約を結び、聖女を助けた、とか……」
「は? ふ、ふふ。あははははははっ! 何だそのジョークは!」
部下の言葉に笑いが抑えられない。Fラン以下であるジンが、SSSと盟約だと? 聖女を助けただと? こんなに愉快なことはない。あの荷物持ちにそんなことができるならば、俺様は竜神とでも契を結ばなければ釣り合いがとれん。
「ふざけた戯言はそれくらいにしておけ。そんなことよりも、次のSSS級ダンジョンの情報は手に入ったのか?」
「は、はい。北方氷雪連合領土に『グングニル』が眠っているとか」
ほう。グングニルか。それは素晴らしい。そいつの角を煎じて飲めば、すべての女が俺様に抱かれたがることだろう。くくく。実に素晴らしい。
「よし。明朝、調査に向かうぞ」
「はい。ただ……大丈夫でしょうか」
俺様はワインをあおると、眉をひそめた。
「どういう意味だ」
「ジンが小隊からいなくなってから、やたらと強いドラゴンたちが襲ってきてるじゃないですか」
なんだ。そんなことか。全く気が小さい連中だ。
「だからなんだと言うのだ。全て蹴散らせばいい」
「しかし……何故、急に高ランクドラゴンたちやモンスターに狙われるようになったのでしょうか……」
「は? たまたまだろう。偶然だ」
部下は俺様の答えに納得せず、言葉を続けた。
「もしかしたら、あの荷物持ちが牽制魔法か、魔除けの香などを使っていたのでは……」
その見解に、俺様の怒りが溢れ出す。ワイングラスを床にたたきつけると、ありったけの声で叫んだ。
「あのクズに、そんな芸当が出来るわけがないだろうが!! ふざけた事を言ってる暇があるなら、調査の準備でも始めていろ!」
「は、はい! 申し訳ありませんでした」
小隊メンバーが一斉に頭を下げると、店から慌ただしく出ていった。
「全く。せっかくの酒が台無しだぜ」
俺様は再び席につくと、ワインを瓶から直接飲んだ。もはや味はどうでもいい。この怒りが収まればそれでよかった。
――だが。
いくら飲んでも腹立たしさが消えない。むしろ増している。
ジン・カミクラ。
クズの分際で不愉快な野郎だ。Fランク竜化もできないヤツが、帝国軍人であったことが何よりも許せん。高貴かつ理知的な人間のみで帝国軍は構成されなければならない。特にドラゴンを従えることができない人間が、帝国軍人であっていいはずがない。
あの荷物持ちめ……。もし本当に生きているのなら、俺様が直々にお前の咎を断罪してやる。このA級ランカーであるラウダ・ゴードン様がな!
――しかし。
この時、俺様はまだ何も知らなかった。断罪されるのは自分のほうだということを。
俺様は部下からの報告を受けて、頭に血が上るのを感じた。
「どういうことだ。説明しろ」
総勢十四名からなる帝国竜騎士団第七小隊は、行きつけの酒場に集まっていた。
旨い酒が台無しになりかねない話題だ。
あの荷物持ちのジン・カミクラが生きている、だと?
SSS級ドラゴンであるデュランダルのダンジョンへと踏み入ったのは、確か一週間ほど前のはず。
俺様はジン・カミクラを餌にデュランダルの存在を見極めてやるつもりだった。だが役立たずを崖下へと蹴落とした途端、洞窟全体が崩落を始めたのだ。小隊全員で転移魔法を何度も繰り返し、どうにか脱出に成功した。あの状況でFランク以下のジンが生き残れたとは到底思えん。
「風の噂では、崩落したダンジョンでSSS級ドラゴンと盟約を結び、聖女を助けた、とか……」
「は? ふ、ふふ。あははははははっ! 何だそのジョークは!」
部下の言葉に笑いが抑えられない。Fラン以下であるジンが、SSSと盟約だと? 聖女を助けただと? こんなに愉快なことはない。あの荷物持ちにそんなことができるならば、俺様は竜神とでも契を結ばなければ釣り合いがとれん。
「ふざけた戯言はそれくらいにしておけ。そんなことよりも、次のSSS級ダンジョンの情報は手に入ったのか?」
「は、はい。北方氷雪連合領土に『グングニル』が眠っているとか」
ほう。グングニルか。それは素晴らしい。そいつの角を煎じて飲めば、すべての女が俺様に抱かれたがることだろう。くくく。実に素晴らしい。
「よし。明朝、調査に向かうぞ」
「はい。ただ……大丈夫でしょうか」
俺様はワインをあおると、眉をひそめた。
「どういう意味だ」
「ジンが小隊からいなくなってから、やたらと強いドラゴンたちが襲ってきてるじゃないですか」
なんだ。そんなことか。全く気が小さい連中だ。
「だからなんだと言うのだ。全て蹴散らせばいい」
「しかし……何故、急に高ランクドラゴンたちやモンスターに狙われるようになったのでしょうか……」
「は? たまたまだろう。偶然だ」
部下は俺様の答えに納得せず、言葉を続けた。
「もしかしたら、あの荷物持ちが牽制魔法か、魔除けの香などを使っていたのでは……」
その見解に、俺様の怒りが溢れ出す。ワイングラスを床にたたきつけると、ありったけの声で叫んだ。
「あのクズに、そんな芸当が出来るわけがないだろうが!! ふざけた事を言ってる暇があるなら、調査の準備でも始めていろ!」
「は、はい! 申し訳ありませんでした」
小隊メンバーが一斉に頭を下げると、店から慌ただしく出ていった。
「全く。せっかくの酒が台無しだぜ」
俺様は再び席につくと、ワインを瓶から直接飲んだ。もはや味はどうでもいい。この怒りが収まればそれでよかった。
――だが。
いくら飲んでも腹立たしさが消えない。むしろ増している。
ジン・カミクラ。
クズの分際で不愉快な野郎だ。Fランク竜化もできないヤツが、帝国軍人であったことが何よりも許せん。高貴かつ理知的な人間のみで帝国軍は構成されなければならない。特にドラゴンを従えることができない人間が、帝国軍人であっていいはずがない。
あの荷物持ちめ……。もし本当に生きているのなら、俺様が直々にお前の咎を断罪してやる。このA級ランカーであるラウダ・ゴードン様がな!
――しかし。
この時、俺様はまだ何も知らなかった。断罪されるのは自分のほうだということを。
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