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7 筆頭聖女騎士からの試練
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「ならば皇女殿下。試験官は私にまかせていただけませんか」
フィオナが西欧聖女騎士皇国の皇女であるアリスにそう打診した。おい。ちょっとまて。なんであんたがやるんだよ。絶対に俺が嫌いという私情だろうが。
「はい。いいですよフィオナ。西欧聖女筆頭騎士のお手並み拝見ですね」
「御意」
あー……決まってしまった。
騎士団長らしい金髪碧眼の聖女が鋭い視線で俺を射抜く。殺される。これは殺されるわ。
「ついて来い。エセSSSランカー。貴様のような軽薄な男が最上級なはずがない。この
フィオナ・ステンドが粛清してやる」
こりゃ、とことん嫌われたな。
「きさまあっ! 我がマスターに向かって生意気なのだ! この場で消し炭にしてやるのだ!」
デュランダルが立ち上がり、両手に炎を灯す。おい。やめろ。もう問題増やすなよ。
「ふん。闘技場まで焦るな。ちびドラ娘が」
「な、な、な、なんだとおおおおおおおおおおなのだあ!」
フィオナにあしらわれた相棒は、俺と同じように耳まで真っ赤になっている。はあ。俺は頭を抱えて嘆息した。
一方、アリスは上品に笑い、セシリーは「あわわ」と震えている。
城を出た俺達は、中心部に鎮座している闘技場へとやってきた。空は相変わらず蒼く広い。馬鹿みたいにでかい雲がゆっくりと流れている。
「それでは。聖女騎士団入団試験を開始します」
皇女であり、大聖女であるアリスが観覧席から高らかに宣言した。周囲には騎士団の面々であろう聖女たちが並んでいる。セシリーとリラの姿も見えた。
リラは不機嫌そうに俺を睨んでいる。やれやれだ。
一方、俺とデュランダルはフィオナと五メートル程の距離を取って対峙している。風が駆け抜け、闘技場の乾いた土が舞う。
「命乞いをするならば、今のうちだ」
フィオナの冷たく重い声色が響く。相当、怒っているな。あれは。
「何を言っているのだ。許しを請うのはおまえのほうなのだ!」
「あんまり事を荒立てるなよ……」
俺がため息をつくと、フィオナの咆哮が空に響いた。
「竜化、ドラグ・フュージョン! 来いテンペストッ!」
その声に導かれるように空に暗雲が立ち込める。紫色の稲光が走り、それがフィオナに降り注いだ。眩い紫紺の閃光が溢れ、視界が晴れたときには青空に下に竜化したフィオナが立っていた。
その姿、正に威風堂々。
紫がかったプラチナのライトアーマー、三対六枚の漆黒の翼、身長の三倍はあろうハルバート。立ち込めるオーラが半端ない。
俺は思わず「おお」と声を漏らした。
「デュランダル。あれは何級だ?」
「うーん。SSなのだ。意外とやるな」
SSか。それはすごいな。神の存在といっても過言ではない。Fラン以下だった頃の俺では、彼女のオーラだけで消し飛んでいただろう。だが――今なら問題ない。
「ゆくぞっ!」
え、うそ。いきなりかよ!?
フィオナが地面を蹴ると、同時にその姿が消えた。
だが。
俺には見えていた。左後方。身を屈めて、フィオナの槍撃をさらりと躱す。
「なに!?」
彼女の驚きを無視して、俺は後ろ回し蹴りで牽制。フィオナはそれを躱すと、大きく距離を取った。
「はははっ! どうしたSS女! 我がマスターはまだ竜化もしていなのだぞ!」
デュランダルが胸を張って吠えると、フィオナは俺の瞳をじっと見つめていた。
「どうやら、SSS級というのは嘘ではないようだな」
彼女は一度、深呼吸をすると目を見開いた。
「ならば! 全力で参る!」
その怒号が放たれた刹那。彼女のオーラが爆発し、鬼神と化す。
「くらえっ! 必殺、テンペスト・ブレイク!!!!!!!」
フィオナの槍から帯電した竜巻が生まれ、竜となって撃ち出された。もはや天災レベルの技だ。
以前なら、この一撃で俺は消滅しているだろう。
そう――以前なら。
フィオナが西欧聖女騎士皇国の皇女であるアリスにそう打診した。おい。ちょっとまて。なんであんたがやるんだよ。絶対に俺が嫌いという私情だろうが。
「はい。いいですよフィオナ。西欧聖女筆頭騎士のお手並み拝見ですね」
「御意」
あー……決まってしまった。
騎士団長らしい金髪碧眼の聖女が鋭い視線で俺を射抜く。殺される。これは殺されるわ。
「ついて来い。エセSSSランカー。貴様のような軽薄な男が最上級なはずがない。この
フィオナ・ステンドが粛清してやる」
こりゃ、とことん嫌われたな。
「きさまあっ! 我がマスターに向かって生意気なのだ! この場で消し炭にしてやるのだ!」
デュランダルが立ち上がり、両手に炎を灯す。おい。やめろ。もう問題増やすなよ。
「ふん。闘技場まで焦るな。ちびドラ娘が」
「な、な、な、なんだとおおおおおおおおおおなのだあ!」
フィオナにあしらわれた相棒は、俺と同じように耳まで真っ赤になっている。はあ。俺は頭を抱えて嘆息した。
一方、アリスは上品に笑い、セシリーは「あわわ」と震えている。
城を出た俺達は、中心部に鎮座している闘技場へとやってきた。空は相変わらず蒼く広い。馬鹿みたいにでかい雲がゆっくりと流れている。
「それでは。聖女騎士団入団試験を開始します」
皇女であり、大聖女であるアリスが観覧席から高らかに宣言した。周囲には騎士団の面々であろう聖女たちが並んでいる。セシリーとリラの姿も見えた。
リラは不機嫌そうに俺を睨んでいる。やれやれだ。
一方、俺とデュランダルはフィオナと五メートル程の距離を取って対峙している。風が駆け抜け、闘技場の乾いた土が舞う。
「命乞いをするならば、今のうちだ」
フィオナの冷たく重い声色が響く。相当、怒っているな。あれは。
「何を言っているのだ。許しを請うのはおまえのほうなのだ!」
「あんまり事を荒立てるなよ……」
俺がため息をつくと、フィオナの咆哮が空に響いた。
「竜化、ドラグ・フュージョン! 来いテンペストッ!」
その声に導かれるように空に暗雲が立ち込める。紫色の稲光が走り、それがフィオナに降り注いだ。眩い紫紺の閃光が溢れ、視界が晴れたときには青空に下に竜化したフィオナが立っていた。
その姿、正に威風堂々。
紫がかったプラチナのライトアーマー、三対六枚の漆黒の翼、身長の三倍はあろうハルバート。立ち込めるオーラが半端ない。
俺は思わず「おお」と声を漏らした。
「デュランダル。あれは何級だ?」
「うーん。SSなのだ。意外とやるな」
SSか。それはすごいな。神の存在といっても過言ではない。Fラン以下だった頃の俺では、彼女のオーラだけで消し飛んでいただろう。だが――今なら問題ない。
「ゆくぞっ!」
え、うそ。いきなりかよ!?
フィオナが地面を蹴ると、同時にその姿が消えた。
だが。
俺には見えていた。左後方。身を屈めて、フィオナの槍撃をさらりと躱す。
「なに!?」
彼女の驚きを無視して、俺は後ろ回し蹴りで牽制。フィオナはそれを躱すと、大きく距離を取った。
「はははっ! どうしたSS女! 我がマスターはまだ竜化もしていなのだぞ!」
デュランダルが胸を張って吠えると、フィオナは俺の瞳をじっと見つめていた。
「どうやら、SSS級というのは嘘ではないようだな」
彼女は一度、深呼吸をすると目を見開いた。
「ならば! 全力で参る!」
その怒号が放たれた刹那。彼女のオーラが爆発し、鬼神と化す。
「くらえっ! 必殺、テンペスト・ブレイク!!!!!!!」
フィオナの槍から帯電した竜巻が生まれ、竜となって撃ち出された。もはや天災レベルの技だ。
以前なら、この一撃で俺は消滅しているだろう。
そう――以前なら。
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