超魔人C'NEミュージアン -CHOUJIN CODENAME MUSIAN-

黒鉄ライドウ

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第一話 魔法界から来た少年

優しい正義

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(かっ……….可愛いい♡……)

矢矧はアルトの手を握りながら胸をキュンとさせていた。

「それじゃあ、佐藤のお兄さん、俺これから自分の所に戻ってテントを張るよ」

「えっ、うっうん、でも一人で大丈夫?」

「へーきだって、俺こう見えて幾度となく旅してきたんだから、キャンプの心得は身につけてるって」

アルトは力こぶを見せつけてるように二人にガッツポーズをみせ、「それじゃあまた後で」と言いながらその場を後にする。

「大丈夫かな……あの子……」

矢矧が去っていくアルトをみて心配そうな表情をする。

「酒口さん、タッパー持ってるかな?」

「えっ? うん一応持って来てるけど……」

「カレー作ったら後でアルト君のところに持って行ってあげたいんだ、あの子、ご飯とか大変だと思うから」

「えっ? うっ…うん…それがいいと思う…」

矢矧も佐藤の案に賛成のようだ。二人は夕飯のカレーを作りにキャンプの炊事場へと向かって行った。



テントを張ろうとしたが、やはり佐藤の様子が気になったアルトは焚火を片付けてクロマルをカバンの中へと入れると、佐藤達がキャンプしている付近にテントを張るため、できるだけ見えない場所へと来ていた。

「佐藤のお兄さん大丈夫かな?」

アルトは佐藤の事を心配した、ものすごく嫌な予感がするアルトだが……その予感は見事に的中した。

「ぐっ………」

アルトの目の前に映ったのは、矢矧もろとも羽交い絡みにされて、林田を含む複数の柄の悪い生徒達にリンチを受けている佐藤であった。

「佐藤よぉ~、さっきはよくもやってくれやがったなぁ~」

「髪の毛どうしてくれんのよ?」

「落とし前つけてもらわねぇとな」

複数回、佐藤の腹に蹴りが入り、佐藤はのたうち回る。

「テメェ!!ふざけやがって!!」

その光景に雷人が切れて突っかかろうとするも、

「やめろ冴島、退学になりたいのか?」

担任が立ちふさがるように、止めに入る。

「はぁ!?だったらアンタがアイツ止めろよ!?担任だろうが!?」

「……アイツは……いいんだ……」

その言葉に雷人は怒り狂い担任の胸ぐらをつかんだ。

「ふざけんな!アンタそれでも教師か!?」

「誰かが犠牲になれば、それで済むことじゃないか」

「アンタ、そんなふざけた事本気で言ってんのか!?」

「手を離せ冴島、本当に退学にするぞ?」

雷人は怒りを通り越して何も言えなくなっていた。

「ギャハハwこれでお前を助ける奴は誰もいなくなったな?w」

林田が佐藤の前に立ち、泥で汚れた靴を佐藤の前に差し出す。

「やめてやってもいいぜ?おまえがこの靴の裏を舐めるんならな?」

ニヒルに笑いながら佐藤を見下す林田。佐藤は絶望しきっていた。

どうして自分がこんな目に遭わなきゃいけないのか?なんでこんなに苦しい思いを自分がしなきゃいけないのか?

(……もうどうでもいいや…)

佐藤は感情を失った目で舌を出し舐めようとした、その時だった。

『ドラゴニュートリザード』

一部始終をマジョリーフォンで撮影していたアルトが、真っ赤なファミリアンキューブの絵柄を合わせた。

ドラゴニュートリザード、これは特殊なキューブを合わせると、

「ぎゃおおおおお!!!」

巨大な竜の姿になるものである。

「なっ、なんだ!?」「ドラゴン!?怪獣!?」

ドラゴニュートリザードは林田を含む複数の生徒を睨みつけた。

もちろん、その頭上に立っているアルトも。

「おい、アレって、バスの中で見た」「あのガキ、スマホでこっち撮ってんじゃないか?」「おいテメェ!!何勝手に撮ってやがるんだ!!」

林田達がアルトに対して怒鳴り散らすも、アルトは笑いながら言った。

「今のやりとりは全部録画させてもらったよ」

「なに!?」

「最後のチャンスをあげるよ、今すぐ佐藤のお兄さんに謝って2度といじめないと誓うか、それともこの動画を個人情報付きでネットに拡散されるか、どっちがいい?」

「なっ!?」「ざけんな!!」「消せ!!今すぐ消せ!!」

「動画は消してあげるよ、2度とこんな事しないって心から誓えるなら」

林田は一瞬何か言いそうになるも躊躇い、

「けっ、いくぞ」

取り巻き達と共にその場を去っていった。



「ありがとう……2度も助けてくれるなんて……」

「いいよ、お兄さんが無事なら」

佐藤はアルトの手を握りながら感謝を述べた。

「ねぇ、君……さっきの怪獣は?」

「なんだったんだよ?あのデカいのは?」

そんな二人のやり取りに矢矧と雷人が割って入ってきた。

「あっ、その、アレは」

「ごめん二人とも、後で説明するから…今は何も聞かないでやって」

困惑するアルトに佐藤がフォローに入る。

「えっ、…でも…」

「よせ酒口、坊主だって疲れたんだ、今はそっとしてやろう、いいぜ、何も聞かない」

「ありがとう、アルト君もそれでいいね?」

「俺は構わないよ」

矢矧は「それじゃあ、私達は行くね」と雷人と共にその場を離れた。

その後、二人はアルトのテントを張る作業をしにその場を離れたのだった。

◇一方その頃

「クソが!!あのガキ!いいとこで邪魔しやがって!!」

「まぁ、まぁ、林田君落ち着いて」

苛立つ林田を担任は宥めようとするが、

「いいんすか先生?」

「へ?」

「さっきの動画がネットに拡散されれば俺達だけじゃなくて先生も監督不行き、最悪クビかもしれないっすよ?」

「そっ、それは……」

担任は慌てふためいた。確かにその通りである。今までことあるごとに林田のいじめを隠蔽してきたわけだ、これが公になれば林田たちどころかこの担任の立場まで危うくなる。

「じゃあ、どうする気だね?」

「決まってんじゃないっすか?」

林田はポケットの中からある物を取り出した。黒色のあるもの、それは今どきは珍しい、四角いMDミニディスクである。

「佐藤の前に、あのクソ生意気なガキにお灸を据えてやらねぇとな…」

その黒いMDからは禍々しいオーラが放たれていたのだった。
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