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1章 名もなき村
18 森へ
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無事に手作りバーガーセットが完成したことだし三人で連れ立って村長のもとへと向かう。
作ったハンバーガーはどうしようかと思ったが、食堂内に保管しておいて食べるときに食堂を展開させればいいやと結論付ける。
森の中と入っても屋台程度の大きさのレベル1なら展開するくらいは大丈夫だろう。
これまでの生活の中でいろいろと食堂作成についても検証しているが、食堂内で新しく保管しているものはどのレベルでも取り出せるということが分かっている。
レベル1の屋台には料理人が立つ方の下側に扉がついていて、この中に保管棚に保管した食品や料理、それに屋台には常備していない調理道具なんかが入っている。
中をのぞいてみても黒い空間があるだけなので、中を見てもなにが入っているかわからないが手を差し入れてみると頭の中に保管しているものが浮かんできて、その中で取り出したいものを想像するとそれが出てくる。
レイジやミーナが最初会った時に火を使う俺を見て魔法使いとか言っていたが、どう考えても明らかに容量を超えた食材を取り出す姿のほうが魔法使いみたいだろう。
まあ、食堂を作成するのなら普通に料理を作っても構わなかったかと思ったが、ハンバーガーも作ってみたかったから結果オーライってことにしておこう。
村長の畑につくとすでに働いている人が何人もいて心の中で朝も早いうちからご苦労様と思わずにはいられない。
「なんじゃあ、あんちゃん。今日も朝から来たんか」
「実はこれから森に入って新しい食材を見つけようと思いましてね、一応許可をもらいに来たんですよ」
「別に森に入るくらいならわしの許可なんぞ要らんが、坊主たちもつれていくんか?」
「レイジも強くなってきてますからね。俺とミーナの二人くらい守れますよ。それに、そんなに奥深くに行くわけじゃないですよ。初日ですし浅いところで何があるか確認したいんですよ」
これは本当のところ、神様の加護がきちんと発動するのか、発動したところで襲ってきた獣が撃退できるレベルなのか、何もかもが未知数なのに奥まで入って襲われて戻ってこれませんじゃ話にならない。
しかも、この世界に来てから俺は村の中しか移動していない。
自分がどれくらい歩けるのか、体力的なものはもちろんのこと、たとえば足が痛くなったり腰が動かなくなったりした場合もミーナはもちろんレイジだって俺を担いで村に帰るなんて不可能なんだから無理はしない。
この辺はこの村から旅だった場合にも適用されるだろう。
まあ、旅に出たら最悪動けなくなったら食堂に引きこもればいいが、村の住人に認知されている現状では動けなくなったから食堂に引きこもってました、で、村人に捜索されても気まずいしな。
「そうだ、坊主たち。このあんちゃんはゆくゆくはこの村からいなくなるが本当に坊主たちは畑を与えなくていいんか?」
「いいんだ村長。マサト兄ちゃんが旅に出るときには僕たちも一緒についていくって決めたから」
「村長さんもミーナたちの扱いに困ってたんでしょ? 同年代の子ともあんまり仲良くなれてないし、マサトさんについていろいろなところを見て回りたいってそう、お兄ちゃんと決めたんだ」
そう二人に言われた村長は気まずいやら子供が余計な気を回すなと思っているやらで言葉が出ない様子だ。
「あんちゃん、あんちゃんはそれでいいんか? 旅ってのは大人でも大変なもんじゃってことは税の徴収に来る騎士様や魔法使い様でわかっちょる。それを子供二人を連れてっちゅうのは並大抵のことじゃないぞ」
「わかっていますよ。ですが、俺も戦闘能力としてはそんなに高いわけでもないから剣の修業をしているレイジについてきてもらえるのは頼もしいですし、ミーナも俺の傍で手伝うことで時には俺以上に料理のセンスが光ることもあるのでいろいろ助かるんですよ」
「わかったわかった。三人の中で合意があるんじゃったらわしが文句を言いすぎるのもおかしな話じゃ。じゃが、これまで雇って貴重な食糧を分けてきた恩もあるんじゃから旅に出る前に少しでもこの村のために働くようにな」
「わかってるよ、村長。そのためにも森に食料を探しに行くんだから」
「ミーナもマサトさんが旅に出る前にこの村の人たちに少しでも食事がおいしくなるように料理を教えるから」
「わかっちょるならええ。とりあえず、森に行く前に餌撒きだけは忘れんようにな。どうせ森へ行く途中じゃからちゃんとやってからいけ」
村長は恥ずかしいのか若干早口で仕事の支持をする。
そりゃあ、二人の両親が亡くなってからは実質、村長がこの二人の保護者だったんだろうし、村長という役職の手前、特別扱いができなかったとはいえ二人のことは心配してたんだろうな。
村長の畑を後にして、斑芋の畑へとやってきた。
旅に出るとしても、この村で当たり前のように手に入っている食料が手に入らなくなるのは困る。
ある程度は食堂の保管庫や冷蔵庫、冷凍庫に入れてあるが在庫は無限ではないし、手当たり次第に引っこ抜いて持って行ってしまってはこれからこの村の住人が困ってしまうだろう。
そこで考えているのが植物の栽培だ。
実はレベル3の食堂には厨房の裏手に勝手口が存在していて、そこから出ると家庭菜園サイズの畑が存在しているのだ。
もちろん、最初は何も植えられていない状態だったのでただの庭かと思ったのだが斑芋の畑や村長の畑を見ているうちに気づいた。
これは畑だと。
今は、試しに斑芋を切り分けていくつか植えてあるがどうも斑芋は芽が出るまでに一月程度、食用に耐える大きさに成長するのに一年から三年ほどかかるらしい。
この辺をどうにかするのが天職なのだが、今の食堂のメンバーには農家の天職持ちはいないし、村人に食堂内部のことを知られすぎるのも問題だ。
さあ、いつもの斑芋のバラマキ作業も終わったし、ようやく森の中に侵入するぞ。
作ったハンバーガーはどうしようかと思ったが、食堂内に保管しておいて食べるときに食堂を展開させればいいやと結論付ける。
森の中と入っても屋台程度の大きさのレベル1なら展開するくらいは大丈夫だろう。
これまでの生活の中でいろいろと食堂作成についても検証しているが、食堂内で新しく保管しているものはどのレベルでも取り出せるということが分かっている。
レベル1の屋台には料理人が立つ方の下側に扉がついていて、この中に保管棚に保管した食品や料理、それに屋台には常備していない調理道具なんかが入っている。
中をのぞいてみても黒い空間があるだけなので、中を見てもなにが入っているかわからないが手を差し入れてみると頭の中に保管しているものが浮かんできて、その中で取り出したいものを想像するとそれが出てくる。
レイジやミーナが最初会った時に火を使う俺を見て魔法使いとか言っていたが、どう考えても明らかに容量を超えた食材を取り出す姿のほうが魔法使いみたいだろう。
まあ、食堂を作成するのなら普通に料理を作っても構わなかったかと思ったが、ハンバーガーも作ってみたかったから結果オーライってことにしておこう。
村長の畑につくとすでに働いている人が何人もいて心の中で朝も早いうちからご苦労様と思わずにはいられない。
「なんじゃあ、あんちゃん。今日も朝から来たんか」
「実はこれから森に入って新しい食材を見つけようと思いましてね、一応許可をもらいに来たんですよ」
「別に森に入るくらいならわしの許可なんぞ要らんが、坊主たちもつれていくんか?」
「レイジも強くなってきてますからね。俺とミーナの二人くらい守れますよ。それに、そんなに奥深くに行くわけじゃないですよ。初日ですし浅いところで何があるか確認したいんですよ」
これは本当のところ、神様の加護がきちんと発動するのか、発動したところで襲ってきた獣が撃退できるレベルなのか、何もかもが未知数なのに奥まで入って襲われて戻ってこれませんじゃ話にならない。
しかも、この世界に来てから俺は村の中しか移動していない。
自分がどれくらい歩けるのか、体力的なものはもちろんのこと、たとえば足が痛くなったり腰が動かなくなったりした場合もミーナはもちろんレイジだって俺を担いで村に帰るなんて不可能なんだから無理はしない。
この辺はこの村から旅だった場合にも適用されるだろう。
まあ、旅に出たら最悪動けなくなったら食堂に引きこもればいいが、村の住人に認知されている現状では動けなくなったから食堂に引きこもってました、で、村人に捜索されても気まずいしな。
「そうだ、坊主たち。このあんちゃんはゆくゆくはこの村からいなくなるが本当に坊主たちは畑を与えなくていいんか?」
「いいんだ村長。マサト兄ちゃんが旅に出るときには僕たちも一緒についていくって決めたから」
「村長さんもミーナたちの扱いに困ってたんでしょ? 同年代の子ともあんまり仲良くなれてないし、マサトさんについていろいろなところを見て回りたいってそう、お兄ちゃんと決めたんだ」
そう二人に言われた村長は気まずいやら子供が余計な気を回すなと思っているやらで言葉が出ない様子だ。
「あんちゃん、あんちゃんはそれでいいんか? 旅ってのは大人でも大変なもんじゃってことは税の徴収に来る騎士様や魔法使い様でわかっちょる。それを子供二人を連れてっちゅうのは並大抵のことじゃないぞ」
「わかっていますよ。ですが、俺も戦闘能力としてはそんなに高いわけでもないから剣の修業をしているレイジについてきてもらえるのは頼もしいですし、ミーナも俺の傍で手伝うことで時には俺以上に料理のセンスが光ることもあるのでいろいろ助かるんですよ」
「わかったわかった。三人の中で合意があるんじゃったらわしが文句を言いすぎるのもおかしな話じゃ。じゃが、これまで雇って貴重な食糧を分けてきた恩もあるんじゃから旅に出る前に少しでもこの村のために働くようにな」
「わかってるよ、村長。そのためにも森に食料を探しに行くんだから」
「ミーナもマサトさんが旅に出る前にこの村の人たちに少しでも食事がおいしくなるように料理を教えるから」
「わかっちょるならええ。とりあえず、森に行く前に餌撒きだけは忘れんようにな。どうせ森へ行く途中じゃからちゃんとやってからいけ」
村長は恥ずかしいのか若干早口で仕事の支持をする。
そりゃあ、二人の両親が亡くなってからは実質、村長がこの二人の保護者だったんだろうし、村長という役職の手前、特別扱いができなかったとはいえ二人のことは心配してたんだろうな。
村長の畑を後にして、斑芋の畑へとやってきた。
旅に出るとしても、この村で当たり前のように手に入っている食料が手に入らなくなるのは困る。
ある程度は食堂の保管庫や冷蔵庫、冷凍庫に入れてあるが在庫は無限ではないし、手当たり次第に引っこ抜いて持って行ってしまってはこれからこの村の住人が困ってしまうだろう。
そこで考えているのが植物の栽培だ。
実はレベル3の食堂には厨房の裏手に勝手口が存在していて、そこから出ると家庭菜園サイズの畑が存在しているのだ。
もちろん、最初は何も植えられていない状態だったのでただの庭かと思ったのだが斑芋の畑や村長の畑を見ているうちに気づいた。
これは畑だと。
今は、試しに斑芋を切り分けていくつか植えてあるがどうも斑芋は芽が出るまでに一月程度、食用に耐える大きさに成長するのに一年から三年ほどかかるらしい。
この辺をどうにかするのが天職なのだが、今の食堂のメンバーには農家の天職持ちはいないし、村人に食堂内部のことを知られすぎるのも問題だ。
さあ、いつもの斑芋のバラマキ作業も終わったし、ようやく森の中に侵入するぞ。
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