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2章 領都
24 次への準備
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「そうそう、マサト君。領都中に触れを出したおかげで天職が料理人の人間が見つかったのだよ」
「本当ですか?」
「十人ほど見つかったのだが、流石に跡取りの長男や困窮していない人間は引っ張って来れなかったから招いたのは二人だけだがね」
なるほど、料理人の天職はそこまでのレア天職でもないってことなのか。
というか、ジョシュアさんに良識があってよかった。
クソみたいな権力者だったら全員を無理やり連れてきただろうからな。
「では、その二人はイーリスとともに教育していずれは騎士団か領都で食堂を開いてもらえるようにしましょうかね」
「おおっ、それはいいですなあ。最近は食堂にも騎士団の人間が押し寄せているからなかなか食事にありつけなくて困っていたのですよ」
まあ、ウィリアムさんはライアンさんにチクチクやられているみたいだから食堂には顔を出しづらいんだろうな。
「ふむ、では食堂のほうに直接顔を出すように言っておくかな」
「ええ、イーリスの教育もありますし食堂でまとめて面倒見るのがいいと思うんですよ」
「ああ、それとマサト君。騎士団の方の食堂も順調に建設中だから暇ができたら覗きに来てほしいんだよ。鍛冶師連中も調理道具について詳しく聞きたいって言っていたし」
なるほど、騎士団の方でも順調に話が進んでいるのか、まあウィリアムさんの顔を立てる意味でもその内顔を出しておくか。
鍛冶師の人にはフライパンやらおろし金なんかも作ってほしいし。
「少人数でしたら直接食堂のほうに来てもらってもいいですよ。実物を見たほうがやりやすいでしょうし」
食堂の備品は従業員が直接持てば持ち出し自由なのだが、今は日常的に使用しているから貸し出すわけにもいかないし。
「ふむ、それも検討しておくか」
「では、食材になる植物については領都に集めるように指示を出しておくので届き次第イーリスに伝えるか食堂のほうに伝えるようにしておくよ」
「ええ、ありがとうございます。ジョシュアさん」
とりあえず食材に関しては二人に任せるしかないな。
俺はどの食材がどの場所に生えているのかの情報もないからうかつには動けない。
まあ、そもそも食堂の経営があるから村にいた時みたいに好き勝手に動けないっていうのもあるのだが。
「あ、お帰りなさい。マサトさん」
「ああ、ただいま。ジョシュアさんの用事は領地内で採れた植物の確認だったよ」
「そうなんですね。なにかいいものがありました?」
「ああ、パン作りに使えるのとか、斑芋の代わりになるのとかいろいろあったよ。まあ、まだサンプルだから食堂で使えるようになるには時間がかかるだろうけどね」
「じゃあ、領都でもマサト様の食堂以外でもパンが食べられるのですねっ」
「ああ、パンを焼くための窯とかを作ってもらわないといけないからすぐにってわけにはいかないけどね。あと、料理人の天職持ちも見つかったみたいだからイーリスの後輩ができるな」
「わあっ、それは楽しみです」
イーリスはパッと顔を緩ませる。
後輩ができることもパン作りをこれからもできることも両方嬉しいみたいだ。
「ミーナは新しい食材のほうが気になります。また新しい料理を作るんですよね?」
「そうだなあ、手に入ったらいろいろ作ってみるつもりではいるよ」
爆弾米が手に入れば、かつ丼も親子丼も作れるし、サウザンドオニオンと紫トマトを使ってナポリタンみたいなパスタを作ってもいいしな。
「マサト兄ちゃん、新しい食材もいいけどそろそろ準備を始めないと騎士の人たちが来ちゃうよ?」
おっと、そうそう、今日の営業をとりあえず乗り切らないと始まらないな。
「今日のメニューはハンバーグとステーキにボアカツにするぞ。付け合わせはパンと緑菜のスープだ。ハンバーグはレイジとイーリスが、ステーキはミーナに任せるぞ。俺はボアカツを作るから」
とりあえず指示を出しておけば三人とも即座に動いてくれる。
「あと、料理人の天職を持っている人が来たらとりあえず食事を食べてもらってくれ」
自分が何を作るのかを先に知っておいた方が反発は少ないだろう。
騎士団の人なら食べたことはあるだろうが、領都の人らしいから食事は生野菜だけだろうし。
「どれを出しますか?」
「そうだなあ、選んでもらって……って言いたいけど、初めての人じゃあ名前だけ聞いてもわからないだろうしステーキを食べてもらおうかな。まあ、今日狂って決まったわけでもないから来なかったらまた考えよう」
まあ、でもやっぱり領都で作れる料理の味を覚えてほしいからまずはデビルボアかキラーバードの肉と緑菜を使ったスープは確定かな。
唐揚げは大量の油が必要だから、キラーバードにするにしてもチキンステーキになるだろうけど。
デビルボアの肉は指示通りに三分の一はミンチにしてあったのでレイジとイーリスは塩コショウやパン粉、キラーバードの卵を入れて肉だねを作っている。
そういやあ、緑菜を使ってロールキャベツみたいにしてもいいんだよな。
ジョシュアさんから紫トマトも結構な数買い取っているから今ならトマトスープも作れるし。
とはいっても、今日のところはライアンさんにメニューを伝えちゃったから変えるわけにもいかないのだけど。
新食材はラージキャロットが万能な食材になりそうだよな。
ステーキの付け合わせに使ってもいいし、緑菜のスープに入れるのもいい。
ペッパーミントは味付けが塩だけのこの世界の常識を変えてくれそうだし、砂芋やダークアップルは不足しがちな糖分の補給にぴったりだ。
あとは、砂糖やはちみつなんかの直接糖になるものと大量に油が採れる植物が見つかれば一通りの料理は作れるようになるだろうな。
まあ、一番の難敵は牛みたいな獣か魔獣を見つけてミルクを取り出すことなんだが、家畜化しないとミルクを絞るのは難しいだろうな。
あとは、発酵食品か。
こっちも長い目で見ていかないと成功どころか機材を整えるだけでも大変そうだ。
とりあえずはソーセージやベーコンなんかの燻製肉を作るところから始めてみるか。
幸いにも、領都周辺でもデビルボアは獲れるみたいだし。
あとは、ウィリアムさんも言っていたけれど鍛冶師の人と相談だな。
いや、燻製室は大工のほうが専門分野かな?
「本当ですか?」
「十人ほど見つかったのだが、流石に跡取りの長男や困窮していない人間は引っ張って来れなかったから招いたのは二人だけだがね」
なるほど、料理人の天職はそこまでのレア天職でもないってことなのか。
というか、ジョシュアさんに良識があってよかった。
クソみたいな権力者だったら全員を無理やり連れてきただろうからな。
「では、その二人はイーリスとともに教育していずれは騎士団か領都で食堂を開いてもらえるようにしましょうかね」
「おおっ、それはいいですなあ。最近は食堂にも騎士団の人間が押し寄せているからなかなか食事にありつけなくて困っていたのですよ」
まあ、ウィリアムさんはライアンさんにチクチクやられているみたいだから食堂には顔を出しづらいんだろうな。
「ふむ、では食堂のほうに直接顔を出すように言っておくかな」
「ええ、イーリスの教育もありますし食堂でまとめて面倒見るのがいいと思うんですよ」
「ああ、それとマサト君。騎士団の方の食堂も順調に建設中だから暇ができたら覗きに来てほしいんだよ。鍛冶師連中も調理道具について詳しく聞きたいって言っていたし」
なるほど、騎士団の方でも順調に話が進んでいるのか、まあウィリアムさんの顔を立てる意味でもその内顔を出しておくか。
鍛冶師の人にはフライパンやらおろし金なんかも作ってほしいし。
「少人数でしたら直接食堂のほうに来てもらってもいいですよ。実物を見たほうがやりやすいでしょうし」
食堂の備品は従業員が直接持てば持ち出し自由なのだが、今は日常的に使用しているから貸し出すわけにもいかないし。
「ふむ、それも検討しておくか」
「では、食材になる植物については領都に集めるように指示を出しておくので届き次第イーリスに伝えるか食堂のほうに伝えるようにしておくよ」
「ええ、ありがとうございます。ジョシュアさん」
とりあえず食材に関しては二人に任せるしかないな。
俺はどの食材がどの場所に生えているのかの情報もないからうかつには動けない。
まあ、そもそも食堂の経営があるから村にいた時みたいに好き勝手に動けないっていうのもあるのだが。
「あ、お帰りなさい。マサトさん」
「ああ、ただいま。ジョシュアさんの用事は領地内で採れた植物の確認だったよ」
「そうなんですね。なにかいいものがありました?」
「ああ、パン作りに使えるのとか、斑芋の代わりになるのとかいろいろあったよ。まあ、まだサンプルだから食堂で使えるようになるには時間がかかるだろうけどね」
「じゃあ、領都でもマサト様の食堂以外でもパンが食べられるのですねっ」
「ああ、パンを焼くための窯とかを作ってもらわないといけないからすぐにってわけにはいかないけどね。あと、料理人の天職持ちも見つかったみたいだからイーリスの後輩ができるな」
「わあっ、それは楽しみです」
イーリスはパッと顔を緩ませる。
後輩ができることもパン作りをこれからもできることも両方嬉しいみたいだ。
「ミーナは新しい食材のほうが気になります。また新しい料理を作るんですよね?」
「そうだなあ、手に入ったらいろいろ作ってみるつもりではいるよ」
爆弾米が手に入れば、かつ丼も親子丼も作れるし、サウザンドオニオンと紫トマトを使ってナポリタンみたいなパスタを作ってもいいしな。
「マサト兄ちゃん、新しい食材もいいけどそろそろ準備を始めないと騎士の人たちが来ちゃうよ?」
おっと、そうそう、今日の営業をとりあえず乗り切らないと始まらないな。
「今日のメニューはハンバーグとステーキにボアカツにするぞ。付け合わせはパンと緑菜のスープだ。ハンバーグはレイジとイーリスが、ステーキはミーナに任せるぞ。俺はボアカツを作るから」
とりあえず指示を出しておけば三人とも即座に動いてくれる。
「あと、料理人の天職を持っている人が来たらとりあえず食事を食べてもらってくれ」
自分が何を作るのかを先に知っておいた方が反発は少ないだろう。
騎士団の人なら食べたことはあるだろうが、領都の人らしいから食事は生野菜だけだろうし。
「どれを出しますか?」
「そうだなあ、選んでもらって……って言いたいけど、初めての人じゃあ名前だけ聞いてもわからないだろうしステーキを食べてもらおうかな。まあ、今日狂って決まったわけでもないから来なかったらまた考えよう」
まあ、でもやっぱり領都で作れる料理の味を覚えてほしいからまずはデビルボアかキラーバードの肉と緑菜を使ったスープは確定かな。
唐揚げは大量の油が必要だから、キラーバードにするにしてもチキンステーキになるだろうけど。
デビルボアの肉は指示通りに三分の一はミンチにしてあったのでレイジとイーリスは塩コショウやパン粉、キラーバードの卵を入れて肉だねを作っている。
そういやあ、緑菜を使ってロールキャベツみたいにしてもいいんだよな。
ジョシュアさんから紫トマトも結構な数買い取っているから今ならトマトスープも作れるし。
とはいっても、今日のところはライアンさんにメニューを伝えちゃったから変えるわけにもいかないのだけど。
新食材はラージキャロットが万能な食材になりそうだよな。
ステーキの付け合わせに使ってもいいし、緑菜のスープに入れるのもいい。
ペッパーミントは味付けが塩だけのこの世界の常識を変えてくれそうだし、砂芋やダークアップルは不足しがちな糖分の補給にぴったりだ。
あとは、砂糖やはちみつなんかの直接糖になるものと大量に油が採れる植物が見つかれば一通りの料理は作れるようになるだろうな。
まあ、一番の難敵は牛みたいな獣か魔獣を見つけてミルクを取り出すことなんだが、家畜化しないとミルクを絞るのは難しいだろうな。
あとは、発酵食品か。
こっちも長い目で見ていかないと成功どころか機材を整えるだけでも大変そうだ。
とりあえずはソーセージやベーコンなんかの燻製肉を作るところから始めてみるか。
幸いにも、領都周辺でもデビルボアは獲れるみたいだし。
あとは、ウィリアムさんも言っていたけれど鍛冶師の人と相談だな。
いや、燻製室は大工のほうが専門分野かな?
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