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4章 聖王国
07 酪農家
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「でー、お兄さんは何しにこんなところまで来たのかなー?」
「実は君が乗っているブラックカウと、ブラックカウと仲良くなれるというキミに興味があってきたんだ」
「へー、確かに私はこの村の中では一番この子たちと仲がいいかなー。昔は同い年の子たちも仲が良かったんだけど、今じゃお祈りとか恋愛に興味があってここには来なくなっちゃったからねー」
「……子供たちは?」
「ああ、この子達は私の仕事みたいなものだよー。他の人たちがお祈りとかをしてる間、子供たちの面倒を見るのが私の仕事―。と言っても、この子達に手伝ってもらってるから私がすることは連れてくるだけだけどね」
あー、なるほどね。それで子供たちがブラックカウの周りから離れようとするとブラックカウたちが追いかけていくのか。
「それもブラックカウにキミがお願いしたのかな?」
「そうそう。危ないことでもない限りは大体聞いてくれるからさー」
獣使いじゃなくて酪農家だから命の危険があるようなことはやってくれないのか?
確か、道中で出会った獣使い達は他の獣や魔獣相手に戦闘させることもできてたよな。
「……実はブラックカウたちにお願いしてほしいことがあって、キミを探してたんだ」
「へー、私でもお兄さんみたいにいろんなところに行ってる人のお手伝いになるようなことができるのかなー?」
「ああ、実は……ブラックカウのミルクが欲しいんだ」
「……ブラックカウの……お乳?」
「そうなんだよ! 野菜や肉は結構な種類が手に入ってきたんだけど、ミルクは野生の獣からとるのは至難の業だし、作ってみたい料理がいくつもあるのに手に入らなかったんだよ!」
「……んー? 手に入らないことはないだろうけど……本当にお乳を食べるの?」
「まあ、料理に使ったりするから食べるって表現はあってるかもしれんが、どっちかっていうと飲む……かな。水とかとは違って、栄養が豊富で体にいいんだぞー、ミルクは」
「……あれが? ……いや、お兄さんの趣味にどうこう言うつもりはないけどもー、お乳って子供が飲むものでしょ?」
ああ、この世界でも赤ん坊が飲むのは母乳なのか。
「まあ、確かにミルクは基本的に赤ん坊の飲み物だけど、俺がいたところでは家畜から出るミルクは大人も飲んでたんだよ」
「……家畜?」
「飼いならされた獣って感じかな。餌を与えて安全に暮らせるようにする代わりに獣からミルクを取るんだ」
「……私ならそれができるとー?」
「できるんだろ?」
「できますけどもー」
できるけど、やる意味が分からないし、やりたくはないって感じかな?
「やってくれるならミルクを使った料理もこの村の人たちに教えるけど」
「んー、まあいいかー。この子達からお乳をもらうの簡単ですよー。何といってもそこらへんにお乳だまりがいくつもあるくらいですからねー」
「……ん? ……いま何か変な単語が聞こえたんだが……お乳だまり?」
「はいー。この子達は数日に一度程度、メスが集まって地面にお乳を撒くんですよー。で、それで体を洗ったりするんですよねー」
「…………は?」
ミルクで体を洗う?
いやいや、ミルクってのは洗うもんじゃなくて子供に飲ませるものだろうが……いや、あれか?
キラーバードも無精卵を囮代わりに使ってたし、この世界独特の現象か?
……ふむ、そう考えたら豚が寄生虫を殺すのに泥浴びするようなものか?
「だからー、その辺の地面にまき散らすようなものを本当に食べるのかなー、と思いましてー」
そりゃ、そうだ。それを知ってる人間からしたら地面にまき散らすようなものを口に入れるのは抵抗があるだろうな。
「あー、俺の知ってる生態とはかなり違うな……。一応、食べられるかどうか見てから料理に使うかは考えるよ」
「じゃー、こっちに昨日出してたものがありますよー」
言い出すや否や、リリーを乗せたブラックカウが歩き出した。
すげーな、マジで意思疎通……というか、お願いを聞いてもらえるんだな。
「ここですよー」
連れてきてもらったのは先ほどいた場所から十分程度歩いた場所……まだ、遠くに子供たちを囲むブラックカウが見える場所だな。
見渡す限り一面がミルクの海……って程ではないが、十数頭が一斉に寝転がれるほどのスペースに白い液体が撒き散らかされてる。
『名前:ブラックカウミルク 可食部:すべて 年齢:一日 食用:可 ブラックカウが体内に生成するミルク。常温で七日程度の保管が可能。時間が経ちすぎたり、暑い場所に置いておくと腐ってしまい毒性が現れる。味は牛乳に似ている』
よしっ! これなら料理にも使えそうだ!
……ああ、いやいや流石に地面にあるのは使えないけどな。
「実は君が乗っているブラックカウと、ブラックカウと仲良くなれるというキミに興味があってきたんだ」
「へー、確かに私はこの村の中では一番この子たちと仲がいいかなー。昔は同い年の子たちも仲が良かったんだけど、今じゃお祈りとか恋愛に興味があってここには来なくなっちゃったからねー」
「……子供たちは?」
「ああ、この子達は私の仕事みたいなものだよー。他の人たちがお祈りとかをしてる間、子供たちの面倒を見るのが私の仕事―。と言っても、この子達に手伝ってもらってるから私がすることは連れてくるだけだけどね」
あー、なるほどね。それで子供たちがブラックカウの周りから離れようとするとブラックカウたちが追いかけていくのか。
「それもブラックカウにキミがお願いしたのかな?」
「そうそう。危ないことでもない限りは大体聞いてくれるからさー」
獣使いじゃなくて酪農家だから命の危険があるようなことはやってくれないのか?
確か、道中で出会った獣使い達は他の獣や魔獣相手に戦闘させることもできてたよな。
「……実はブラックカウたちにお願いしてほしいことがあって、キミを探してたんだ」
「へー、私でもお兄さんみたいにいろんなところに行ってる人のお手伝いになるようなことができるのかなー?」
「ああ、実は……ブラックカウのミルクが欲しいんだ」
「……ブラックカウの……お乳?」
「そうなんだよ! 野菜や肉は結構な種類が手に入ってきたんだけど、ミルクは野生の獣からとるのは至難の業だし、作ってみたい料理がいくつもあるのに手に入らなかったんだよ!」
「……んー? 手に入らないことはないだろうけど……本当にお乳を食べるの?」
「まあ、料理に使ったりするから食べるって表現はあってるかもしれんが、どっちかっていうと飲む……かな。水とかとは違って、栄養が豊富で体にいいんだぞー、ミルクは」
「……あれが? ……いや、お兄さんの趣味にどうこう言うつもりはないけどもー、お乳って子供が飲むものでしょ?」
ああ、この世界でも赤ん坊が飲むのは母乳なのか。
「まあ、確かにミルクは基本的に赤ん坊の飲み物だけど、俺がいたところでは家畜から出るミルクは大人も飲んでたんだよ」
「……家畜?」
「飼いならされた獣って感じかな。餌を与えて安全に暮らせるようにする代わりに獣からミルクを取るんだ」
「……私ならそれができるとー?」
「できるんだろ?」
「できますけどもー」
できるけど、やる意味が分からないし、やりたくはないって感じかな?
「やってくれるならミルクを使った料理もこの村の人たちに教えるけど」
「んー、まあいいかー。この子達からお乳をもらうの簡単ですよー。何といってもそこらへんにお乳だまりがいくつもあるくらいですからねー」
「……ん? ……いま何か変な単語が聞こえたんだが……お乳だまり?」
「はいー。この子達は数日に一度程度、メスが集まって地面にお乳を撒くんですよー。で、それで体を洗ったりするんですよねー」
「…………は?」
ミルクで体を洗う?
いやいや、ミルクってのは洗うもんじゃなくて子供に飲ませるものだろうが……いや、あれか?
キラーバードも無精卵を囮代わりに使ってたし、この世界独特の現象か?
……ふむ、そう考えたら豚が寄生虫を殺すのに泥浴びするようなものか?
「だからー、その辺の地面にまき散らすようなものを本当に食べるのかなー、と思いましてー」
そりゃ、そうだ。それを知ってる人間からしたら地面にまき散らすようなものを口に入れるのは抵抗があるだろうな。
「あー、俺の知ってる生態とはかなり違うな……。一応、食べられるかどうか見てから料理に使うかは考えるよ」
「じゃー、こっちに昨日出してたものがありますよー」
言い出すや否や、リリーを乗せたブラックカウが歩き出した。
すげーな、マジで意思疎通……というか、お願いを聞いてもらえるんだな。
「ここですよー」
連れてきてもらったのは先ほどいた場所から十分程度歩いた場所……まだ、遠くに子供たちを囲むブラックカウが見える場所だな。
見渡す限り一面がミルクの海……って程ではないが、十数頭が一斉に寝転がれるほどのスペースに白い液体が撒き散らかされてる。
『名前:ブラックカウミルク 可食部:すべて 年齢:一日 食用:可 ブラックカウが体内に生成するミルク。常温で七日程度の保管が可能。時間が経ちすぎたり、暑い場所に置いておくと腐ってしまい毒性が現れる。味は牛乳に似ている』
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……ああ、いやいや流石に地面にあるのは使えないけどな。
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