気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

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幼少期

13 アンドレ商会での話し合い

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「お待たせしました、マックス坊ちゃん」

 今日は唐辛子を使った試作品が出来たから、アンドレ商会に売り込みに来た。

「トーマス叔父さん、貴族相手だからってそこまでかしこまらなくてもいいよ。所詮は5歳児だし」

「いえいえ、貴族かどうかというよりも、商品を持ち込んでいただいたお客様に無礼な態度はとれませんよ」

「まあいいか。じゃあ、これが俺が考えて料理長に試作してもらった商品だよ」

 商談用のテーブルの上に、唐辛子フレーク、一味唐辛子、チョリソーを置く。
 流石にペペロンチーノは作って持ってきても、麺がのびて美味しくなくなってしまうから持ってこなかった。

「ほうほう。本当に虫除けの実を使っているのですね」

「ああ、料理長の方から情報が来てた?」

「はい。屋敷内でも賛否両論とか」

「そうなんだよね。料理長とか父上、母上みたいなお酒好きには好評なんだけど、甘いもの好きな女性や子供はあんまりって評価だったかな」

「ふむふむ。酒場などに卸すのがいいか?」

「フレーク状のはピザなんかに、粉末状のはスープやパスタにかけるのがおすすめかな。料理に使うよりも、砂糖や塩のように卓上に置いておいて、お客さんが必要に応じて使えるようにするのが良いかも」

「ふむふむ、卓上調味料の一種ということですか。ソーセージの方は?」

「虫除けの実以外にもにんにくとか、香草も入れて作ったらしくて、確かに辛いけど旨味もきちんとあったよ」

 チョリソーも屋敷の方で試食したが、そのまま食べても、ホットドッグにしてもおいしい逸品に仕上がっていた。
 というか、俺の適当なレシピを改変してここまでうまく作るとか料理長は研究熱心すぎないか?

「ふむふむ、食べてみるか」

「まあ、燻製調理されてるからそのままでも食べられるけど、温めたほうがおいしいよ」

「いやいや、旅人はそのまま食べるという人も多いですからね。最低限のおいしさが保証されてるかどうかで、印象も変わるというものですよ」

「あー、確かに。王都の近くまで行ったけど、意外と野営で焚火出来るところが少ないんだよね」

 前世の感覚だと旅の最中は温かいものを食べるのが普通に感じるが、野生動物が多い上にモンスターみたいな敵対生物もいるこの世界だと、野営で焚火をしてはいけないということもある。
 特に、昆虫型のモンスターの住処の近くで焚火をすると寄ってきて、下手をしたら毒を撒かれたり、拘束されて餌にされたりすることもあるらしいからな。

「ふむふむ。うん、確かにこれは酒が欲しくなるな。ウイスキーの炭酸割、いや、普通にビールが良いか?」

「お酒関連は俺に相談せずに父上とか母上に言ってね。まあ、叔母さまもお酒好きだから叔母さまに相談するのもいいかも」

「ユリアですか。今は港の方に交渉に行ってるからしばらく帰ってこないんですよ」

「バルディ領の港?」

「そうですよ。南大陸の交易船が来ていますからね。こっちから輸出するものを持って行って、輸入品を持って帰ってくる手はずになっていますよ」

 レナの実家のバルディ領には港があって、南大陸との交易を主にしている。
 俺たちが住んでいる国は海に面している領もいくつかあるのだが、大型船が入港できるほどの港はゲルハルディ家の周辺にしかないから、南大陸との交易は結構な収入源なんだよな。

「なにか面白い新商品があると良いねぇ」

「胡椒やカカオがメインのはずですけど、バルディ領産の干物とかも持って帰ってきますかね」

「あー、カカオ。チョコレートの値段って落ち着きそう?」

「そうですね。輸入量も安定してきましたし、顧客も一定数出来ましたから落ち着いてきたといえば、落ち着いてきましたね」

「そっかそっか」

 ん~、チョコレートを使ってウイスキーボンボンとか作ったら、お酒好きにウケるかな。
 本格的なのを作ろうと思ったら、大変だけど、意外と簡単に作れるんだよな、アレ。

「何か考えつきましたか?」

「チョコレートの中にウイスキーを入れてみたら、お酒好きの人が買っていくかなぁって」

「ウイスキーを? こぼれてしまうのでは?」

「まあまあ、その辺は色々と工夫してね。チョコレートをある程度くれたら、料理長と相談して試作してみるけど」

「ふむ。……あ、いや、まずはこっちの契約からですね。最初は製造部門に少数作らせますので、マックス坊ちゃんの取り分は1割。工場での大量生産に移行した後は、5%でどうですか?」

 少数売りなら商会の部門での製造だからコストがかからないけど、工場に移行したらそちらの運営費用がかかるから取り分が減るってことか。
 まあ、その分売れる量が増えることになるから、利益としては確保できる……と。

「うんそうだね。アイディアを出しただけで、それだけ貰えるなら上々かな。とはいえ、試作品を作ってくれた料理長に悪いから、ゲルハルディ家にも少し恩恵があると嬉しいかな」

「ふむ。では、一定金額までは搬入の食材やお酒に割引を適用しますかね」

「うん、落としどころとしてはそんなもんだろうね。あとは、試作する際の材料の優先取引権もくれると嬉しいかな」

「そちらは、むしろこちらからお願いしますよ。見返りは試作品はアンドレ商会に持ってくるということで」

「そうだね。あ、虫除けの実は母上が農家に買い取る旨を伝えて、ゲルハルディ家で取り仕切るって話だよ」

「ふむふむ。奥様と話し合いが必要ですね」

 よしよし、これである程度の資金稼ぎの目途は立ったかな。
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