気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

文字の大きさ
49 / 140
幼少期

49 爺様との訓練

しおりを挟む
「さて、マックス、ダンジョンを攻略してどの程度まで成長したのか、このジジイが確認しやろう」

 レナとのデートで思いが通じ合ったと思ったら、翌日には爺様に絡まれている。
 うん、言ってることは分かるんだよ。爺様としては孫がダンジョンを攻略したと聞いて、戻ってきてみたら、当の孫は王都に行っていて、気持ちのやり場がないのだろう。
 そして、王都から帰ってきたと思ったら、婚約者とデートをしている……うん、わかるよ爺様の気持ちの行き場が無いってのはね。

「……はぁ、爺様。私は昨日、レナとデートをして幸せいっぱいなのですが」

「ええい、戦は待ってはくれぬものなのじゃぞ!」

「……戦って……はぁ、クルト、武器の用意をお願いできるか?」

「はい、マックス様」

 今日は騎士団の見学に来ただけで、訓練にはしばらく参加するつもりはなかったんだが。
 まだ、ダンジョン攻略してから自分の能力の確認が出来てないから、どうなっているのか自分でもよくわかってないんだよな。
 とりあえず、ステータスはどれも中ボス悪役令息だったマックスに近いものになっているし、魔法もマックスが覚えられるものはすべて使えるようになっているようなんだがな。

「……マックスぅ、爺にも構ってくれんと拗ねてしまうぞ」

「可愛くありませんよ、爺様」

「わかっておるわい。ちょっとした茶目っ気じゃろ」

「はぁ、模擬戦を行う前に自主訓練で確認するつもりだったんですがね」

「だから、儂が確認すると言っておるのだろう。騎士団の連中はおろか、クラウスにも任せられんからのう」

 まあ、確かに爺様はこの領で一番の使い手……というか、対応力が群を抜いているからな。
 陸上戦なら父上の方が強いのだが、父上は相手に何もさせずに潰す、みたいな戦い方だから、こういった相手の戦力を量るのは爺様のほうが得意だ。

「マックス様」

「ああ、ありがとうクルト」

 クルトには模擬戦用に刃引きしたショートソードといつもの盾を持ってきてもらったが……うーん、前に使っていたころより軽く感じるな。
 ちなみに疾風の指輪は外して自室の金庫の中にしまってある。
 あれは強すぎるというか、敵対された瞬間から時間感覚が変わってしまうから、日常生活で付けていると支障があるんだよな。

「では、いくぞ!」

「おう!」

 というわけで、爺様との模擬戦が始まったわけだけど、爺様は俺と似たような構成の戦い方、右手にロングソード、左手にラウンドシールドを構えている。
 基本に忠実、相手の剣をシールドで受け流し、あるいは弾き返し、剣で切り付ける。
 剣術のお手本みたいだが、その完成度は高く、騎士団内では爺様に対抗すべく、色々な武器を試しているようなやつもいるくらいだ。

「ふっ!」

 爺様と見合っていても始まらないと思い、こちらから剣を振るうも簡単にはじかれてしまう。
 うーん、レベルが上がって力も素早さも上がっているのだが、どうも、爺様には先読みされている感じだな。

「甘いぞ、マックス!」

「これなら!」

「まだまだ!」

 貴族らしからぬというか、騎士らしからぬ戦い方……剣に加えて蹴りも放ってみるが、全くと言っていいほどに爺様には当たらない。
 ……いや、当たってはいるのだが、すべて盾でいなされるか弾かれるか……レベルが上がってステータスは俺の方が高いはずなのに……これが技量の差か。

「うむうむ、マックスも上達したようだの」

「いやいや、こっちの攻撃を全部いなしておいて、そのセリフは感じ悪いって」

「ほっほっほっ、息が乱れていない時点で成長しておるわい」

「はぁ、強者のセリフだ」

「ま、レベルは上がっているようじゃが、使いこなせてはおらんようじゃの」

「ダンジョン攻略して初めての実戦ですからね。……ステータスに見合うような戦い方を身に着けないとなぁ」

「戦闘技術に終わりはないからのぉ。儂とてまだまだよ」

「上には上がいるって話ですか?」

「おう、北東辺境伯と北西辺境伯とはまだ決着がついておらんしの」

「前……になっていますよ、多分」

「かのぉ。もう10年以上会っておらんからの」

 まあ、この辺がゲームと現実の違いだよな。
 ゲームならレベルを上げればそのまま強くなっていたけど、現実では技量が戦闘のかなめになってくる。
 いくら速く動けて、力が強くても、剣の振るい方も知らなければ動き方も知らなければ、まともな剣術にはならない。
 しかも、強者ほど相手の動きを予測するから、半端に強くなっても読みやすくなるだけで、不利にはならずとも有利にもならないんだよな。
 はぁ、精進しないとな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

伯爵令息は後味の悪いハッピーエンドを回避したい

えながゆうき
ファンタジー
 停戦中の隣国の暗殺者に殺されそうになったフェルナンド・ガジェゴス伯爵令息は、目を覚ますと同時に、前世の記憶の一部を取り戻した。  どうやらこの世界は前世で妹がやっていた恋愛ゲームの世界であり、自分がその中の攻略対象であることを思い出したフェルナンド。  だがしかし、同時にフェルナンドがヒロインとハッピーエンドを迎えると、クーデターエンドを迎えることも思い出した。  もしクーデターが起これば、停戦中の隣国が再び侵攻してくることは間違いない。そうなれば、祖国は簡単に蹂躙されてしまうだろう。  後味の悪いハッピーエンドを回避するため、フェルナンドの戦いが今始まる!

処理中です...