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閑話
104 クリスタとの手合わせ
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「さーて、バル嬢の実力を確かめていくかな~」
「よろしくお願いします」
何人かの団員は観戦にまわっているが、それ以外は普通に訓練に戻っていくのがゲルハルディ領の騎士団って感じだよな。
メーリング領の若手たちは困惑したまま観戦しているが、ゲルハルディ領では騎士団員同士の模擬戦なんて日常茶飯事。
そもそも父上が模擬戦好きで、基礎訓練後は騎士団長や上位団員相手に模擬戦を繰り返しているからな。
クリスタは騎士団で基礎訓練を受けているだけあって、構えもきちんとしている。
武装もそうだが、構えも俺とほぼ同じで相手を倒すという気概も見える。
「はっ!」
「おお、いい動き」
積極的に攻勢に出るクリスタに対して、俺は攻撃は捨てて防御に専念する。
俺の実力を見たいというクリスタには悪いが、実力も知らない相手に最初から全力でかかっていけるほど俺は強くない。
ま、父上だったら相手の強さなんて関係なしに突っ込んでいって、それで勝つんだろうけどさ。
「くっ、どうして……攻撃してこないんですかっ!」
「いやいや、バル嬢の攻撃が苛烈だから手が出ないだけだって」
うーん、流石に基本に忠実だな。
きちんと攻撃した直後はカウンターを警戒して、すぐさま引くか、盾を構える。
うん、隙の少ない良い騎士になりそうだな。
「さーて、バル嬢もイライラしてきてるみたいだから、こっちからも攻撃しますかね」
「くっ!」
早速といわんばかりに三連撃をクリスタにお見舞いする。
クリスタはカウンターを警戒して一回攻撃したら律儀に攻撃圏外に引いていたが、相手がカウンターできない速度で連撃を繰り返すのも有効だ。
もちろん、基本に忠実な相手に有効な攻撃方法はこれだけではない。
「こちらからもいきます! ……はっ!」
「よっと」
「きゃあ」
攻撃してきたクリスタの剣を弾くように盾を動かす。
俺にとってはクルトと散々訓練した形で、この形に持っていけば格上の団員でも隙が出来るくらいまで修練を積んでいる。
もちろん、弾ける相手じゃなきゃ、こっちが大怪我をするだけなので父上や騎士団長相手にやろうなんて思ったことすらない。
「さて、これで俺の勝ちかな」
「……悔しいですけど、今の私では勝てないのは分かりました」
「ま、バル嬢も貴族学園に通うまではここで訓練するわけだし、修練を積めばいいよ」
「……? 騎士を続けていいのですか?」
「??? 続けるかどうかはライナー卿とバル嬢が決めればいいけど、ウチの騎士団には女騎士も普通にいるし、やりたいなら続ければ?」
「ですが、私は領主代行の一人娘ですし」
「ああ、そういう? 別に領主代行は有望な他の人に継がせても良いし、バル嬢の伴侶が継いでもいいじゃん」
貴族の中には令嬢は淑女教育、あるいは家政教育を受けて爵位を受け継ぐ男性を支えるのが正しい、みたいに考えている連中がいる。
だけど、ウチは全く違う考えで、本人がやりたいことが領の利益になるのなら、なんでもやらせるべきという考えだ。
事実、母上は父上の代わりに領政を回しているし、おばあ様は生前はジャンバ島との交易に精を出していた。
それより前には騎士として騎士団を率いていた女性や、商会を設立して他領との繋がりを確保していた女性もいたらしい。
「それに……それに私は攻撃魔法が使えないのです」
「そんなの、俺だってまともに使えねーよ」
「……え?」
「だって、俺は全属性だもん。攻撃用の魔法なんて単体用の威力の低いものしか使えないから、戦闘中に使うようなもんじゃねーよ」
まあ、戦闘が始まる前にバフをかけたり、盾で相手の攻撃を耐えつつデバフをかけたりはするが、戦闘中に攻撃魔法を使うくらいなら剣で攻撃した方がマシなんだよな。
一応、切り札である合成魔法もあるにはあるが、あれは詠唱がバカ長い上に、切り札として秘匿しているから、気軽に使う気はないしな。
「次期伯爵が……攻撃魔法を使えない?」
「すぐにでも辺境伯になるけどな。領主に求められる資質は、騎士を率いてあらゆる脅威から領民を守ること。……それさえできれば、手段は求められねーよ」
ま、実際にはそんなことはなく、ゲーム内のマックスは王都にある貴族学園で全属性をバカにされて魔法を碌に教えてもらえなかったわけだが。
まあでも、ゲルハルディ領なら関係ない。
なんたって、ゲルハルディ領の騎士団には攻撃魔法の使えない騎士どころか、まともな装備じゃない騎士ばかりが集まっているんだからな。
ゲーム内のクリスタは光・風・水の3属性持ちだが、回復魔法しか使えないというキャラだった。
こっちのクリスタもそうなのかはわからないが、今回のことで少しでも肩の荷が下りたのなら良いんだけどな。
「よろしくお願いします」
何人かの団員は観戦にまわっているが、それ以外は普通に訓練に戻っていくのがゲルハルディ領の騎士団って感じだよな。
メーリング領の若手たちは困惑したまま観戦しているが、ゲルハルディ領では騎士団員同士の模擬戦なんて日常茶飯事。
そもそも父上が模擬戦好きで、基礎訓練後は騎士団長や上位団員相手に模擬戦を繰り返しているからな。
クリスタは騎士団で基礎訓練を受けているだけあって、構えもきちんとしている。
武装もそうだが、構えも俺とほぼ同じで相手を倒すという気概も見える。
「はっ!」
「おお、いい動き」
積極的に攻勢に出るクリスタに対して、俺は攻撃は捨てて防御に専念する。
俺の実力を見たいというクリスタには悪いが、実力も知らない相手に最初から全力でかかっていけるほど俺は強くない。
ま、父上だったら相手の強さなんて関係なしに突っ込んでいって、それで勝つんだろうけどさ。
「くっ、どうして……攻撃してこないんですかっ!」
「いやいや、バル嬢の攻撃が苛烈だから手が出ないだけだって」
うーん、流石に基本に忠実だな。
きちんと攻撃した直後はカウンターを警戒して、すぐさま引くか、盾を構える。
うん、隙の少ない良い騎士になりそうだな。
「さーて、バル嬢もイライラしてきてるみたいだから、こっちからも攻撃しますかね」
「くっ!」
早速といわんばかりに三連撃をクリスタにお見舞いする。
クリスタはカウンターを警戒して一回攻撃したら律儀に攻撃圏外に引いていたが、相手がカウンターできない速度で連撃を繰り返すのも有効だ。
もちろん、基本に忠実な相手に有効な攻撃方法はこれだけではない。
「こちらからもいきます! ……はっ!」
「よっと」
「きゃあ」
攻撃してきたクリスタの剣を弾くように盾を動かす。
俺にとってはクルトと散々訓練した形で、この形に持っていけば格上の団員でも隙が出来るくらいまで修練を積んでいる。
もちろん、弾ける相手じゃなきゃ、こっちが大怪我をするだけなので父上や騎士団長相手にやろうなんて思ったことすらない。
「さて、これで俺の勝ちかな」
「……悔しいですけど、今の私では勝てないのは分かりました」
「ま、バル嬢も貴族学園に通うまではここで訓練するわけだし、修練を積めばいいよ」
「……? 騎士を続けていいのですか?」
「??? 続けるかどうかはライナー卿とバル嬢が決めればいいけど、ウチの騎士団には女騎士も普通にいるし、やりたいなら続ければ?」
「ですが、私は領主代行の一人娘ですし」
「ああ、そういう? 別に領主代行は有望な他の人に継がせても良いし、バル嬢の伴侶が継いでもいいじゃん」
貴族の中には令嬢は淑女教育、あるいは家政教育を受けて爵位を受け継ぐ男性を支えるのが正しい、みたいに考えている連中がいる。
だけど、ウチは全く違う考えで、本人がやりたいことが領の利益になるのなら、なんでもやらせるべきという考えだ。
事実、母上は父上の代わりに領政を回しているし、おばあ様は生前はジャンバ島との交易に精を出していた。
それより前には騎士として騎士団を率いていた女性や、商会を設立して他領との繋がりを確保していた女性もいたらしい。
「それに……それに私は攻撃魔法が使えないのです」
「そんなの、俺だってまともに使えねーよ」
「……え?」
「だって、俺は全属性だもん。攻撃用の魔法なんて単体用の威力の低いものしか使えないから、戦闘中に使うようなもんじゃねーよ」
まあ、戦闘が始まる前にバフをかけたり、盾で相手の攻撃を耐えつつデバフをかけたりはするが、戦闘中に攻撃魔法を使うくらいなら剣で攻撃した方がマシなんだよな。
一応、切り札である合成魔法もあるにはあるが、あれは詠唱がバカ長い上に、切り札として秘匿しているから、気軽に使う気はないしな。
「次期伯爵が……攻撃魔法を使えない?」
「すぐにでも辺境伯になるけどな。領主に求められる資質は、騎士を率いてあらゆる脅威から領民を守ること。……それさえできれば、手段は求められねーよ」
ま、実際にはそんなことはなく、ゲーム内のマックスは王都にある貴族学園で全属性をバカにされて魔法を碌に教えてもらえなかったわけだが。
まあでも、ゲルハルディ領なら関係ない。
なんたって、ゲルハルディ領の騎士団には攻撃魔法の使えない騎士どころか、まともな装備じゃない騎士ばかりが集まっているんだからな。
ゲーム内のクリスタは光・風・水の3属性持ちだが、回復魔法しか使えないというキャラだった。
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