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閑話
114 第一王子殿下の来訪
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「マ、マックス様、大変でございます!」
「なんだ?」
辺境伯会議もつつがなく終了して、ゲルハルディ辺境伯領に戻って執務をしていた俺の元に執事のヨーゼフが勢い込んでやってきた。
もともとは父上の執事だったヨーゼフだが、俺が辺境伯になったことで俺の執事になってもらった形だ。
「だ……第一王子殿下を名乗るものが領境にやってきたとの報告がっ!」
「…………またか?」
ローズマリー嬢も急にゲルハルディ領にやってきたが、王都ではアポなしで訪問するのが流行っているのか?
「いえ、どうやら先触れは出していたようですが、隣領の街道にモンスターが出現していて配送が遅れていたそうで……」
「ああ~、そういや商人からそんな報告も来てたな」
この世界のモンスターはダンジョンだけでなく、そこかしこに出現するもので、領主の仕事は領内に出現したモンスターを退治するものもある。
だが、それは自領での話で隣の領でモンスターが出現しても基本的に手を出すことは出来ないし、話を聞くしかなかったんだよな。
ちなみにダンジョン外のモンスターはダンジョンのスタンピードで溢れたモンスターが外に出て繁殖能力を獲得したものなので、攻略できなくてもダンジョンに入ってモンスターを倒す意味はある。
「というわけで、こちらが届くはずだった手紙です」
「陛下からか……嫌な予感がするな」
といってみたものの、第一王子殿下がやってきているのに読まないわけにもいかないから読むが……ふむふむ。
「どうでしたか?」
「第一王子殿下が王太子指名を受けるために辺境を巡る旅を始めるとのことだ」
「ああ、確か現王陛下も辺境を周っていたそうですね」
「ヴァイセンベルク王国の国王になるための試練みたいなものだからな」
ヴァイセンベルク王国では国王は基本的に王都から出ることはない……だからこそ、辺境の苦労を知るために国王になる前に辺境伯領を周るという試練がある。
ま、現王陛下は貴族学園在籍中に王位に就いたから、国王になってしばらくしてから行ったらしいが、その時はゲルハルディ領には来なかったはずなんだよな。
「話は聞いたわよ、マックス」
おっと、母上のお出ましだ。
一応、現在の領主は俺ってことになってるし、領民も近隣領の領主も認めているが、流石に1人……レナと2人でまわすには仕事が膨大すぎるということで、母上にも手伝ってもらっている。
え? 父上? 領主時代にもまして騎士団で訓練してますが、なにか?
「母上、第一王子殿下がこちらに向かっているらしいのですが」
「マックス、忘れているかもしれないけれど、ここも辺境伯領よ」
「そりゃ、わかってますよ。でも、普通に考えて新設の領から周ることなんてないでしょう」
「第一王子殿下はあの国王陛下の子供よ?」
「…………ああ」
ああ……うん、納得した。いや、納得しちゃダメなんだけど、国王陛下……というか、王族って基本的に王都から出ることができないから、新しいものが好きなんだよな。
特にゲルハルディ領は流行の最先端というか……ウイスキーボンボンやら、ゴールディ国からの交易品やら、色々と陛下に見せてるからなぁ。
「とりあえず、ヨーゼフは早馬を出させて、第一王子殿下をゲルハルディ邸にお通しするように伝えなさい」
「はっ!」
「マックスはレナと料理長に第一王子殿下の来訪を伝えて、準備をさせなさい!」
「母上は?」
「私? もちろん、訓練場でバカをしているクラウスの首根っこひっつかんでくるわ!」
いや~、母上は頼もしいな。
父上だったら、第一王子殿下がやってきたと聞いても、そのまま訓練を続行しそうだし、俺が伝えにいったら一緒に訓練をしようとか言い出しかねないからな。
とりあえず、俺は母上の指示通りにレナの元に……確かこの時間はアンナとカリンに勉強を教えてくれているはず。
「レナ、2人の調子はどうだい?」
「マックス様、2人とも優秀ですよ」
「お兄様っ! カリンがすごいんですのよ!」
「アンナ、淑女のふるまいを忘れてはダメだよ。……で、カリンがすごいって?」
「失礼いたしましたわ。カリンですけれど、私と同じ課題をこなしますの」
アンナとカリンは2つ違い……だけど、この年齢の2つというのは大きな違いだ。
ま、俺もそうだけどカリンも前世の記憶があるから、知識を吸収するのが早いんだろうな。
「じゃあ、アンナはカリンに負けないように頑張らないとな。それはそれとして、みんなに聞いてほしいことがあるんだ」
「どうしたんですか、マックス様?」
「じつは第一王子殿下がゲルハルディ領を訪れることになった」
「第一王子殿下が!?」
「……おうじさま」
「いついらっしゃるのですか? 準備をしなくては」
「今からだ」
「「「は?」」」
「隣領のモンスター出現で手紙が遅れててな。今は領境にいるらしい……というわけで、みんな準備をしておくように」
「「「……はい」」」
「アンナとカリンは侍女と相談して粗相のない恰好を準備しておきなさい。レナはメイド長と相談して、客室の準備を。俺は料理長と相談して今夜のメニューを考えておく」
さーて、またもや忙しくなってきたな。
「なんだ?」
辺境伯会議もつつがなく終了して、ゲルハルディ辺境伯領に戻って執務をしていた俺の元に執事のヨーゼフが勢い込んでやってきた。
もともとは父上の執事だったヨーゼフだが、俺が辺境伯になったことで俺の執事になってもらった形だ。
「だ……第一王子殿下を名乗るものが領境にやってきたとの報告がっ!」
「…………またか?」
ローズマリー嬢も急にゲルハルディ領にやってきたが、王都ではアポなしで訪問するのが流行っているのか?
「いえ、どうやら先触れは出していたようですが、隣領の街道にモンスターが出現していて配送が遅れていたそうで……」
「ああ~、そういや商人からそんな報告も来てたな」
この世界のモンスターはダンジョンだけでなく、そこかしこに出現するもので、領主の仕事は領内に出現したモンスターを退治するものもある。
だが、それは自領での話で隣の領でモンスターが出現しても基本的に手を出すことは出来ないし、話を聞くしかなかったんだよな。
ちなみにダンジョン外のモンスターはダンジョンのスタンピードで溢れたモンスターが外に出て繁殖能力を獲得したものなので、攻略できなくてもダンジョンに入ってモンスターを倒す意味はある。
「というわけで、こちらが届くはずだった手紙です」
「陛下からか……嫌な予感がするな」
といってみたものの、第一王子殿下がやってきているのに読まないわけにもいかないから読むが……ふむふむ。
「どうでしたか?」
「第一王子殿下が王太子指名を受けるために辺境を巡る旅を始めるとのことだ」
「ああ、確か現王陛下も辺境を周っていたそうですね」
「ヴァイセンベルク王国の国王になるための試練みたいなものだからな」
ヴァイセンベルク王国では国王は基本的に王都から出ることはない……だからこそ、辺境の苦労を知るために国王になる前に辺境伯領を周るという試練がある。
ま、現王陛下は貴族学園在籍中に王位に就いたから、国王になってしばらくしてから行ったらしいが、その時はゲルハルディ領には来なかったはずなんだよな。
「話は聞いたわよ、マックス」
おっと、母上のお出ましだ。
一応、現在の領主は俺ってことになってるし、領民も近隣領の領主も認めているが、流石に1人……レナと2人でまわすには仕事が膨大すぎるということで、母上にも手伝ってもらっている。
え? 父上? 領主時代にもまして騎士団で訓練してますが、なにか?
「母上、第一王子殿下がこちらに向かっているらしいのですが」
「マックス、忘れているかもしれないけれど、ここも辺境伯領よ」
「そりゃ、わかってますよ。でも、普通に考えて新設の領から周ることなんてないでしょう」
「第一王子殿下はあの国王陛下の子供よ?」
「…………ああ」
ああ……うん、納得した。いや、納得しちゃダメなんだけど、国王陛下……というか、王族って基本的に王都から出ることができないから、新しいものが好きなんだよな。
特にゲルハルディ領は流行の最先端というか……ウイスキーボンボンやら、ゴールディ国からの交易品やら、色々と陛下に見せてるからなぁ。
「とりあえず、ヨーゼフは早馬を出させて、第一王子殿下をゲルハルディ邸にお通しするように伝えなさい」
「はっ!」
「マックスはレナと料理長に第一王子殿下の来訪を伝えて、準備をさせなさい!」
「母上は?」
「私? もちろん、訓練場でバカをしているクラウスの首根っこひっつかんでくるわ!」
いや~、母上は頼もしいな。
父上だったら、第一王子殿下がやってきたと聞いても、そのまま訓練を続行しそうだし、俺が伝えにいったら一緒に訓練をしようとか言い出しかねないからな。
とりあえず、俺は母上の指示通りにレナの元に……確かこの時間はアンナとカリンに勉強を教えてくれているはず。
「レナ、2人の調子はどうだい?」
「マックス様、2人とも優秀ですよ」
「お兄様っ! カリンがすごいんですのよ!」
「アンナ、淑女のふるまいを忘れてはダメだよ。……で、カリンがすごいって?」
「失礼いたしましたわ。カリンですけれど、私と同じ課題をこなしますの」
アンナとカリンは2つ違い……だけど、この年齢の2つというのは大きな違いだ。
ま、俺もそうだけどカリンも前世の記憶があるから、知識を吸収するのが早いんだろうな。
「じゃあ、アンナはカリンに負けないように頑張らないとな。それはそれとして、みんなに聞いてほしいことがあるんだ」
「どうしたんですか、マックス様?」
「じつは第一王子殿下がゲルハルディ領を訪れることになった」
「第一王子殿下が!?」
「……おうじさま」
「いついらっしゃるのですか? 準備をしなくては」
「今からだ」
「「「は?」」」
「隣領のモンスター出現で手紙が遅れててな。今は領境にいるらしい……というわけで、みんな準備をしておくように」
「「「……はい」」」
「アンナとカリンは侍女と相談して粗相のない恰好を準備しておきなさい。レナはメイド長と相談して、客室の準備を。俺は料理長と相談して今夜のメニューを考えておく」
さーて、またもや忙しくなってきたな。
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