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12 元勇者たちのその後
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「そういや、あの元勇者様たちは前線送りになったってよ」
辺境の領主から退いて、ただの騎士に戻ったウィルがあたしに話しかけてくる。
「前線送り? なんで?」
確かに元勇者はろくに依頼も受けずに勇者の称号をはく奪されたけど、別に罪を犯したわけでもないよね?
ウィルなんかは、あたしを捨てたことに怒り心頭で捜索に力を入れていたけど、王宮だって称号はく奪の儀式に必要だから捜索してただけだし……。
「ま、腑に落ちないのはわかるよ。仲間を見捨てたことや、依頼を受けなかった程度で前線送りにはならないからな。……ただ、あの元勇者と魔女、勇者の名をかたって各町で徴発まがいのことをやってたらしいんだわ」
「は?」
確かに元勇者も魔女も考えなしのところはあったけど、あたしと行動してた時にはきちんとお金を払ってたわよね?
あたしと別れた後に、そんなバカなことをしだしたの!? それとも一緒に行動してた時から、そんなバカなことを隠れてやってたってわけ!?
「あ~、その苦々しい表情で考えてることはなんとなくわかるが、奴らが徴発を始めたのはサラと別れてからだ。依頼もまともに受けられず、困窮して勇者の名を出して商店とかから商品を奪っていったって」
「……バカじゃないの?」
「バカなんだろうなぁ。その時には新しい勇者も発表されてたから、完全に勇者の名をかたってる状態になってたってわけ。……んで、前線送り」
「は~~、そりゃ前線送りにもされるわよね」
勇者は国と教会が認めた人間……それを元とはいえ、いまや一般人でもある人間が勝手にかたって悪用したんだから、罰も受けるし、損害を賠償しなければならない。
もともと考えなしな部分はあったけど、そこまでバカになっていたとは。
「んで、残りのパーティーメンバーなんだけど、サラは気になる?」
「残り? ……そういえば、ここに来たのは元勇者と魔女だけだったね」
「そう。サラの代わりに回復役としてパーティーに加入した聖女と、サラを追い出した戦士のこと」
「まあ、気にならないと言えば嘘かな?」
あのパーティーとは縁を切ったつもりだったから、辺境にたどり着いてからは思い出すこともなくなっていたけど、元勇者がやってきたことで思い出すことが増えた。
「じゃあ、話しておくよ。聖女と戦士……その二人はサラを追い出した後に元勇者と袂を分かって、二人で依頼を受けた結果、死んだらしいんだ」
「ふーん」
勿体ぶって話してくれたウィルには悪いけど、正直あの二人がどうなったかについては、そこまで感慨深くなれない。
戦士は元勇者と一緒で同郷だけど、年上の兄貴分って感じだったから、男ならともかく女のあたしとは縁が遠かったし、聖女なんて追い出されたときに会っただけだしね。
「ありゃりゃ、そこまでの関心はなかったか」
「ま、二人とも、そこまで仲良かったわけでもないからねぇ」
っていうか、勇者パーティーにいたメンバーは別に誰も仲良くないから、誰がどうなっても関心がないんだよねぇ。
故郷にいる家族だったり、ウィルだったら、取り乱すんだろうけど。
「……そういや、サラって依頼がないときも薬草を加工したりしてるけど、何をやってるんだ?」
「いざってときの下処理もあるけど、大体は研究かな。辺境に定住したのだって、貴重なポーションの研究が出来そうだからって理由だし」
「へ~、初めて聞いた」
「ま、初めて話したしね」
「貴重なポーションってどんな効果? 部位欠損回復薬だって、貴重だろ?」
部位欠損回復薬かぁ。あれも貴重っちゃ貴重だけど、そもそも需要がないから作られないだけで、作れる人は結構いるんだよねぇ。
「あたしが研究しているのは蘇生薬だよ!」
薬草師の夢! 誰も作ったことのない蘇生薬!
「……それって、まさか勇者パーティーのメンバーを?」
「……? ああ、考えたこともなかった。というか、ウィルに言われるまで戦士と聖女が死んでるなんて知りもしなかったし」
「じゃあ、サラがやりたいからやってるってこと?」
「まあね。それに多分、あたしが研究してる蘇生薬じゃ、心臓が止まって数分間しか蘇生できないから、時間が経ってる人はムリだよ。あと、寿命とか病気なんかもムリ」
あたしが研究しているのは完全部位欠損回復薬の延長にあるから、寿命を延ばすことはできないし、もともとの病気を治す力もない。
あくまでも大量出血や、なんらかのショックで心臓が動かなくなった際にしか効果のないものだ。
「そっか」
「……ま、安心しなよ。研究してるのはしてるけど、あたしが一生をかけても作れるか作れないか、わからないものだから、ココから離れる気はないよ」
「っ!?」
急に元勇者たちの話をしてきたから、おかしいとは思ってたけど、あたしの里心をつついて、辺境にとどまってくれるか試していたんだろう……可愛いやつだな。
「ウィルの傍が一番、居心地が良いって気づいたからね。あたしはウィルの傍で、薬草師として生きていくよ」
「~~~……見透かすなよ」
「だって、幸せにしてくれるんでしょ?」
「ああっ!」
顔を真っ赤にしたウィルが、あたしに抱き着いてくる。
勇者パーティーの回復役だったのに、パーティーメンバーから追い出され、とうとう辺境にまでやってきた。
それでも、こんなあたしでも、こうやって幸せになれるんだから、人生って本当にわからない。
でも、これだけは確かね。元勇者たち、あたしを追い出してくれてありがとう、戻って来いって言われても、もう遅いんだからね!
辺境の領主から退いて、ただの騎士に戻ったウィルがあたしに話しかけてくる。
「前線送り? なんで?」
確かに元勇者はろくに依頼も受けずに勇者の称号をはく奪されたけど、別に罪を犯したわけでもないよね?
ウィルなんかは、あたしを捨てたことに怒り心頭で捜索に力を入れていたけど、王宮だって称号はく奪の儀式に必要だから捜索してただけだし……。
「ま、腑に落ちないのはわかるよ。仲間を見捨てたことや、依頼を受けなかった程度で前線送りにはならないからな。……ただ、あの元勇者と魔女、勇者の名をかたって各町で徴発まがいのことをやってたらしいんだわ」
「は?」
確かに元勇者も魔女も考えなしのところはあったけど、あたしと行動してた時にはきちんとお金を払ってたわよね?
あたしと別れた後に、そんなバカなことをしだしたの!? それとも一緒に行動してた時から、そんなバカなことを隠れてやってたってわけ!?
「あ~、その苦々しい表情で考えてることはなんとなくわかるが、奴らが徴発を始めたのはサラと別れてからだ。依頼もまともに受けられず、困窮して勇者の名を出して商店とかから商品を奪っていったって」
「……バカじゃないの?」
「バカなんだろうなぁ。その時には新しい勇者も発表されてたから、完全に勇者の名をかたってる状態になってたってわけ。……んで、前線送り」
「は~~、そりゃ前線送りにもされるわよね」
勇者は国と教会が認めた人間……それを元とはいえ、いまや一般人でもある人間が勝手にかたって悪用したんだから、罰も受けるし、損害を賠償しなければならない。
もともと考えなしな部分はあったけど、そこまでバカになっていたとは。
「んで、残りのパーティーメンバーなんだけど、サラは気になる?」
「残り? ……そういえば、ここに来たのは元勇者と魔女だけだったね」
「そう。サラの代わりに回復役としてパーティーに加入した聖女と、サラを追い出した戦士のこと」
「まあ、気にならないと言えば嘘かな?」
あのパーティーとは縁を切ったつもりだったから、辺境にたどり着いてからは思い出すこともなくなっていたけど、元勇者がやってきたことで思い出すことが増えた。
「じゃあ、話しておくよ。聖女と戦士……その二人はサラを追い出した後に元勇者と袂を分かって、二人で依頼を受けた結果、死んだらしいんだ」
「ふーん」
勿体ぶって話してくれたウィルには悪いけど、正直あの二人がどうなったかについては、そこまで感慨深くなれない。
戦士は元勇者と一緒で同郷だけど、年上の兄貴分って感じだったから、男ならともかく女のあたしとは縁が遠かったし、聖女なんて追い出されたときに会っただけだしね。
「ありゃりゃ、そこまでの関心はなかったか」
「ま、二人とも、そこまで仲良かったわけでもないからねぇ」
っていうか、勇者パーティーにいたメンバーは別に誰も仲良くないから、誰がどうなっても関心がないんだよねぇ。
故郷にいる家族だったり、ウィルだったら、取り乱すんだろうけど。
「……そういや、サラって依頼がないときも薬草を加工したりしてるけど、何をやってるんだ?」
「いざってときの下処理もあるけど、大体は研究かな。辺境に定住したのだって、貴重なポーションの研究が出来そうだからって理由だし」
「へ~、初めて聞いた」
「ま、初めて話したしね」
「貴重なポーションってどんな効果? 部位欠損回復薬だって、貴重だろ?」
部位欠損回復薬かぁ。あれも貴重っちゃ貴重だけど、そもそも需要がないから作られないだけで、作れる人は結構いるんだよねぇ。
「あたしが研究しているのは蘇生薬だよ!」
薬草師の夢! 誰も作ったことのない蘇生薬!
「……それって、まさか勇者パーティーのメンバーを?」
「……? ああ、考えたこともなかった。というか、ウィルに言われるまで戦士と聖女が死んでるなんて知りもしなかったし」
「じゃあ、サラがやりたいからやってるってこと?」
「まあね。それに多分、あたしが研究してる蘇生薬じゃ、心臓が止まって数分間しか蘇生できないから、時間が経ってる人はムリだよ。あと、寿命とか病気なんかもムリ」
あたしが研究しているのは完全部位欠損回復薬の延長にあるから、寿命を延ばすことはできないし、もともとの病気を治す力もない。
あくまでも大量出血や、なんらかのショックで心臓が動かなくなった際にしか効果のないものだ。
「そっか」
「……ま、安心しなよ。研究してるのはしてるけど、あたしが一生をかけても作れるか作れないか、わからないものだから、ココから離れる気はないよ」
「っ!?」
急に元勇者たちの話をしてきたから、おかしいとは思ってたけど、あたしの里心をつついて、辺境にとどまってくれるか試していたんだろう……可愛いやつだな。
「ウィルの傍が一番、居心地が良いって気づいたからね。あたしはウィルの傍で、薬草師として生きていくよ」
「~~~……見透かすなよ」
「だって、幸せにしてくれるんでしょ?」
「ああっ!」
顔を真っ赤にしたウィルが、あたしに抱き着いてくる。
勇者パーティーの回復役だったのに、パーティーメンバーから追い出され、とうとう辺境にまでやってきた。
それでも、こんなあたしでも、こうやって幸せになれるんだから、人生って本当にわからない。
でも、これだけは確かね。元勇者たち、あたしを追い出してくれてありがとう、戻って来いって言われても、もう遅いんだからね!
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