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005 錬金術師ギルドの内情
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「ところで、こちらの錬金術師ギルドにはエレオノーラさん以外に何人が所属しているんですか?」
このテーブルも4人用として作られているし、ギルド自体も4~5人家族が暮らせる大きさだ。おそらくは、エレオノーラさん以外にもギルドに所属する人がいるのだろう。
そう思って尋ねてみたのだが、エレオノーラさんは気まずそうにキョロキョロとし始めた。
「……私だけよ」
「……え?」
「だから、この錬金術師ギルドに所属しているのは私だけ! そうよ、たかが小娘一人がいるだけの弱小ギルドよ!」
別に侮蔑した意図はなかったのだけれど、エレオノーラさんは殊更に大きく反応した。
いや、1人なのにこんなに大きな建物を錬金術師ギルドにしているのか、とか。1人きりなら他のギルドに入ったほうが良いのでは、とかは思ったけど。
「ええと」
「お願い! 出て行かないで!」
「いやいや、出ていくつもりなんてありませんよ!」
1人きりのギルドと聞いて驚いてはいたが、助けてもらった恩も忘れて出ていこうなんて選択肢はない。
まあ、右も左もわからない異世界だから、せっかく得た良縁を逃がすというのも、もったいないという考えもあるが。
「ちゃんと人を入れるつもりだったの! でも、ギルド長が私だと知ると、みんな出て行っちゃうの」
エレオノーラさんの話を聞くと、もともとは複数人で経営していくギルドを設立するつもりだったが、ギルド長が18歳の小娘だと知ると、年齢が下の者には従いたくないと出て行ってしまうらしい。
それで、僕の年齢が24歳だと知ると、急にかしこまったのか。
「1人きりなのに豪華なギルドだと驚きはしましたが、出ていくつもりはありませんよ。ただ、そうするとエレオノーラさんが僕に錬金術を教えてくれるのかな? と思っただけです」
この世界では常識なのかもしれないけれど、錬金術を何も知らない僕にしたら、誰かに教えを請わなければならない。
ポーションはもとより、魔導具だって元の世界にはなかったからね。
「やっぱり、年下の小娘に教わるのは嫌?」
「そんなことありませんよ。ここに来る前は年下に仕事を教わることもありましたし、嫌だなんてことはありません」
死ぬ前に勤めていた会社には高卒で働いている人もいて、年配の先輩はもちろん、そうした年下の先輩から仕事を教わることも多かった。
年下でも知識を持っていて、こちらに敬意を払ってくれるのなら良い先達だし、逆に年上でも教えるほどの知識がなかったり、こちらを見下していれば教わることは特になかった。
「本当に?」
「ええ。ただ、教わるなら呼び方も変えましょうか。エレオノーラさんと呼ぶと気を使うようですし……師匠、と呼びましょうか」
「シショー?」
「ええ、元の世界で何かを教えてくれる人、先生みたいな意味ですね」
「恐れ多くない?」
「いえいえ、こちらは錬金術のことなど何も知らないのですから、敬意を払うことは大事です」
エレオノーラさん……いや、師匠は考えていたが、年上の男から敬称付きで呼ばれる方が気まずいと思ったのか、師匠呼びを許してくれた。
「じゃあ、色々と教えていきましょう」
「はい、よろしくお願いします。師匠」
「まずは錬金術師ギルドの説明ね。ここはキッチン兼食卓、隣にカウンターが見えていたと思うけど、あちらは依頼を受ける場所で、奥の扉の先には応接室があるわ」
「なるほど、応接室で商談がある際にはお茶なんかを淹れますからね。それでキッチンが近いんですね」
「ま、私しかいないから商談なんてしたことないけどね……で、真ん中にあった廊下の先が錬金室」
やはり、1人だけのギルドだったことがトラウマなのか、ちょいちょい自虐が入るな。
「錬金室? その名の通り、錬金術を行う部屋のことですか?」
「ええ、錬金術は危険なものもあるから、他者の介入などの邪魔が入らない部屋で行うことが義務付けられているの」
なるほど。ポーションというと、ゲームの不思議アイテムという印象が強いが、よくよく考えてみたら製薬だから、万が一を考えているのか。
「なるほど。安全性の高い部屋なのですね……よく考えれば住む場所もないんですよね。錬金室に泊っても大丈夫でしょうか?」
社会人になってからは泊まり込みなどは無くなったが、大学時代にはサークル棟に泊まり込んだりもしていたから、床でも寝られるだろう。
一応、神様が換金してくれたお金もあるにはあるが、自分が生きていけるほど稼げるかがわかるまでは無駄遣いはしないほうが良いだろう。
「ああ、それなら心配しないで。二階は個室になっているから、そこに寝泊まりして大丈夫よ」
ギルドなのに、寝室が用意されているのか? まあ、寮付きの職場だと思えば、そこまでおかしくはないのか?
とにかく、良い人に拾ってもらったらしい。
このテーブルも4人用として作られているし、ギルド自体も4~5人家族が暮らせる大きさだ。おそらくは、エレオノーラさん以外にもギルドに所属する人がいるのだろう。
そう思って尋ねてみたのだが、エレオノーラさんは気まずそうにキョロキョロとし始めた。
「……私だけよ」
「……え?」
「だから、この錬金術師ギルドに所属しているのは私だけ! そうよ、たかが小娘一人がいるだけの弱小ギルドよ!」
別に侮蔑した意図はなかったのだけれど、エレオノーラさんは殊更に大きく反応した。
いや、1人なのにこんなに大きな建物を錬金術師ギルドにしているのか、とか。1人きりなら他のギルドに入ったほうが良いのでは、とかは思ったけど。
「ええと」
「お願い! 出て行かないで!」
「いやいや、出ていくつもりなんてありませんよ!」
1人きりのギルドと聞いて驚いてはいたが、助けてもらった恩も忘れて出ていこうなんて選択肢はない。
まあ、右も左もわからない異世界だから、せっかく得た良縁を逃がすというのも、もったいないという考えもあるが。
「ちゃんと人を入れるつもりだったの! でも、ギルド長が私だと知ると、みんな出て行っちゃうの」
エレオノーラさんの話を聞くと、もともとは複数人で経営していくギルドを設立するつもりだったが、ギルド長が18歳の小娘だと知ると、年齢が下の者には従いたくないと出て行ってしまうらしい。
それで、僕の年齢が24歳だと知ると、急にかしこまったのか。
「1人きりなのに豪華なギルドだと驚きはしましたが、出ていくつもりはありませんよ。ただ、そうするとエレオノーラさんが僕に錬金術を教えてくれるのかな? と思っただけです」
この世界では常識なのかもしれないけれど、錬金術を何も知らない僕にしたら、誰かに教えを請わなければならない。
ポーションはもとより、魔導具だって元の世界にはなかったからね。
「やっぱり、年下の小娘に教わるのは嫌?」
「そんなことありませんよ。ここに来る前は年下に仕事を教わることもありましたし、嫌だなんてことはありません」
死ぬ前に勤めていた会社には高卒で働いている人もいて、年配の先輩はもちろん、そうした年下の先輩から仕事を教わることも多かった。
年下でも知識を持っていて、こちらに敬意を払ってくれるのなら良い先達だし、逆に年上でも教えるほどの知識がなかったり、こちらを見下していれば教わることは特になかった。
「本当に?」
「ええ。ただ、教わるなら呼び方も変えましょうか。エレオノーラさんと呼ぶと気を使うようですし……師匠、と呼びましょうか」
「シショー?」
「ええ、元の世界で何かを教えてくれる人、先生みたいな意味ですね」
「恐れ多くない?」
「いえいえ、こちらは錬金術のことなど何も知らないのですから、敬意を払うことは大事です」
エレオノーラさん……いや、師匠は考えていたが、年上の男から敬称付きで呼ばれる方が気まずいと思ったのか、師匠呼びを許してくれた。
「じゃあ、色々と教えていきましょう」
「はい、よろしくお願いします。師匠」
「まずは錬金術師ギルドの説明ね。ここはキッチン兼食卓、隣にカウンターが見えていたと思うけど、あちらは依頼を受ける場所で、奥の扉の先には応接室があるわ」
「なるほど、応接室で商談がある際にはお茶なんかを淹れますからね。それでキッチンが近いんですね」
「ま、私しかいないから商談なんてしたことないけどね……で、真ん中にあった廊下の先が錬金室」
やはり、1人だけのギルドだったことがトラウマなのか、ちょいちょい自虐が入るな。
「錬金室? その名の通り、錬金術を行う部屋のことですか?」
「ええ、錬金術は危険なものもあるから、他者の介入などの邪魔が入らない部屋で行うことが義務付けられているの」
なるほど。ポーションというと、ゲームの不思議アイテムという印象が強いが、よくよく考えてみたら製薬だから、万が一を考えているのか。
「なるほど。安全性の高い部屋なのですね……よく考えれば住む場所もないんですよね。錬金室に泊っても大丈夫でしょうか?」
社会人になってからは泊まり込みなどは無くなったが、大学時代にはサークル棟に泊まり込んだりもしていたから、床でも寝られるだろう。
一応、神様が換金してくれたお金もあるにはあるが、自分が生きていけるほど稼げるかがわかるまでは無駄遣いはしないほうが良いだろう。
「ああ、それなら心配しないで。二階は個室になっているから、そこに寝泊まりして大丈夫よ」
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とにかく、良い人に拾ってもらったらしい。
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