異世界に転生したので錬金術師としてダラダラ過ごします

高坂ナツキ

文字の大きさ
10 / 46

010 買い物とお金の把握

しおりを挟む
 協会への報告も済んだということで、師匠と二人で日用品を買うことになった。
 ギルドに住むこともできるから住居を探す必要はないんだけど、住むところが決まったなら色々と買うものを買っておかないと不便で仕方がない。
 特にひげ剃りと歯ブラシ。別にひげが濃いってわけじゃないから2~3日でボーボーになるってわけでもないけど、それでも身だしなみは重要だからね。

「来客用のコップはあるけど、ついでにカズ用のも買っておこうね。あ、あとはお金の払い方も教えないと」

「お金……種類が結構あるんですよね」

「銅貨と銀貨、それに金貨だけど、お店で使うのは銀貨までかなぁ」

「銅貨と銀貨も大きさの違うのがあるのですが」

 財布の中には神様が換金してくれたお金が入っているけど、同じ色のモノでも丸いものと半円のものがあって、その違いがよくわかっていない。

「うん、お金には大銅貨と小銅貨みたいに、円状のものと半円状のものがあるの。小銅貨10枚で大銅貨1枚、大銅貨10枚で小銀貨1枚」

「ほー。……ん? 小銅貨は大銅貨の半分の大きさなのに、価値は10分の1なんですか?」

「混ぜ物がしてあるからね。お城にいる錬金術師が再構成や合成を使って作ってるのよ」

 は~、錬金術師はポーションや魔導具だけでなく、貨幣の作成も担っているのか。
 しかし、あの冒険者ギルドはそんな錬金術師をバカにしていたのか? 自分たちの生活に密接しているものなのに、すごい度胸だな。
 まあ、あの手の人たちは自分の価値観が一番だろうから、戦えない人間は全員バカにしていたのかもしれないけど。

「錬金術師が貨幣を……密造とかないんですか?」

「お金の? やっても儲からないから、やってる人はいないんじゃない? 銅や銀を買い付けて、お金を作るよりもポーション作ったり、魔導具作ったりした方が儲かるし」

 それもそうか。前の世界なら貨幣の偽造なんかは割とメジャーな犯罪だったけど、紙幣と違って素材自体に価値のある金属製の硬貨ならメリットは少ないか。

「ちなみに、お金の価値は?」

「大銅貨1枚でこのくらいの丸パンが1個買えるくらいかな。ご飯屋さんで1食分を頼んだら、小銀貨1枚くらい」

 師匠が手で表したのはスーパーなんかで買えるサイズの食パンくらい……ということは、大銅貨1枚で100円くらい、小銀貨は1枚で1,000円くらいか。
 となると、大銀貨で1万円、金貨は小で10万円、大で100万円になるから、確かにお店で使うなら大銀貨までだろう。

 ……? そういえば、財布の中には金貨も入っていたけど、もしかして神様、銀行に預けていた貯金まで換金してくれたのか?
 この世界で生きていかなきゃいけないから助かるっちゃ助かるけど、そんな大金を持ち歩いていると思うと怖くなってくるな。

「……師匠。これが僕の全財産なんですが」

「ん? 見せてくれるの? ……って、カズ!」

「ええ、そうなんです」

 師匠に財布の中身を見せると、金貨がいくつも入っていることに驚かれる。
 そりゃそうだよね。僕だって、知り合いが財布の中に数百万円を無造作に入れていれば、驚く。

「は~、知らなかったとはいえ、こんな大金を無防備に持ち歩いてたんだ」

「はい、お金の価値を知らなかったので、気にしていませんでしたけど、知った後だと流石に怖いですね」

「ま、金貨は私が預かるよ。次に協会に行った時にカズの口座も作るから、その時に入れておこう」

 師匠はそう言うと、僕の財布から金貨を抜き出す。それでも、財布の中には数枚の大銀貨が残るし、日用品の買い物なら、それで十分だろう。
 てっきり、師匠も自分の財布に金貨をしまうのかと思っていたら、おもむろに空中で指を振ると、師匠の手の中にあった金貨がいつの間にか消えていた。

「……師匠、今のは?」

「ああ、言ってなかったっけ? 私のサブ天職は空間魔術師。今のは空間魔法で、私だけがアクセスできる空間に金貨を仕舞ったのよ」

 空間魔法! 錬金術を初めて使ったときにも思ったけど、こういうのを目の当たりにすると前の世界とは全く違うんだなぁ、と感じる。
 しかし、天職は空間魔術師なのに、空間魔法なのか。ということは、僕のサブ天職である付与魔術師も使えるのは、付与魔法なのかな?
 錬金術とは違って、付与魔術師の方はまったく使っていないから、どういったことができるのかもよくわかっていないんだよな。

「空間魔法……便利そうですね」

「便利よ~。ま、空間魔術師が少ないから、便利使いされることも多いけどね~」

 そんな風に他愛のない会話をしつつ、師匠と買い物を済ませた。
 お目当てのひげ剃りも歯ブラシも手に入ったし、ついでにコップや着替えなど、さまざな日用品を手に入れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした

茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。 貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。 母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。 バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。 しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。

悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」 公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。 忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。 「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」 冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。 彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。 一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。 これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。

ダンジョンがある現代社会に転生したので、前世を有効活用しようと思います

竹桜
ファンタジー
 ダンジョンがある現代社会に転生した。  その世界では探索者という職業が人気だったが、主人公には興味がない。  故に前世の記憶を有効活用し、好きに生きていく。  

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

処理中です...