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012 師匠の秘密
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「うまっ!」
錬金術師ギルドで住む準備が終わったので、晩ご飯としてギルドの目の前にある肉屋でコロッケやらメンチカツやらを買ってきたのだが、これが美味い。
前の世界では揚げ物なんてスーパーやコンビニで買うくらいだったけど、味の濃さが違いすぎる!
衣もサクサクで、今まで食べていたコロッケやメンチカツと比べようもないくらい。
「へ~、初めて食べたけど、お肉屋さんのコロッケも美味しいもんだね」
「初めて? 師匠、錬金術師ギルドの目の前にあるのに、今まで食べたことないですか?」
「うん。だって、お肉屋さんに用事なかったし」
師匠はあっけらかんとして言うけれど、これまで錬金術師ギルドに一人暮らし状態だったのに、お肉屋さんを利用したことがない?
「あれ? 外食しないときは買ってくることもあるって言っていませんでした?」
「そういう時は屋台とかだよ。お肉屋さんにコロッケやメンチカツが売ってるなんて知らなかったし」
確かに知らないとそんなもんかな? 僕だって前の世界ではコロッケやメンチカツを売ってるお肉屋さんは知ってたけど、わざわざ買いに行こうとは思わなかったし。
とはいえ、屋台や外食ばかりでは、栄養が心配だな。
「師匠、これから暇なときには僕が食事を作りますね」
「? カズは錬金術師と付与術師が天職だろう?」
「はい」
「料理人でもないのに、食事が作れるの?」
ああ、なるほど。この世界は天職が常識となっているほど、日常生活に食い込んできている。
だから、料理人の天職を持っていないのに、料理ができるとは考えないのか。
「前の世界では天職なんてなかったですからね。とはいっても、料理人のように色々な料理が作れるというわけではなくて、雑な男飯ですけど」
「へ~、やっぱり稀人様たちの世界は、私たちが住んでいる世界とは違うんだねぇ」
「他の人も料理はしないものなのですか?」
「ああ、天職を持ってない人ってことね? 平民だと作ったりする人もいるって聞いたけど、よく知らないなぁ」
「つまり、師匠は平民じゃない?」
「……うっ!」
「まあ、そんな気はしていましたよ」
錬金術師協会の協会長の気遣い方もそうだし、そもそも師匠は一人暮らししているというのに、あまりにも肌の手入れが出来過ぎている。
平民だったら……というか、まともに労働をしていて、この年になったのなら肌も少しはあれていそうなものだが、師匠の肌はあまりにもすべすべすぎる。
それこそ、生活に関わるほとんどを自分の手で行わずに誰かに頼っていたかのように。
「はあ。まあ、この際だから言っておくけれど、私は貴族よ」
「貴族。やっぱり異世界だと貴族とかいるんですね」
漫画やアニメにすごく詳しいってわけでもないけれど、前の世界で読んでいたものでは横暴な貴族が~、みたいなストーリーはいくつか見ている。
「とはいっても、弟が家を継ぐことになっているから、私は気楽に錬金術師ギルドを立ち上げたわけだけど」
「へ~、弟がいるんですね」
「妹もいるよ。そっちは何の因果か第一王子の婚約者をやってるけど」
師匠は気楽に言ってくれるけど、第一王子の婚約者って、もしかして師匠って高位の貴族?
「師匠は良いんですか?」
「なにが?」
「いや、婚約とか」
「ああ、その辺はあきらめてるからいいのよ。もともと家を継ぐつもりで領地経営の勉強ばかりで淑女教育なんてやってこなかったから、貴族男性の好みの範疇からズレてるのよね」
は~、貴族も大変なんだなぁ。前の世界の職場でも異性の好みがどうたらこうたら、と聞いたことがあるが、淑女教育? というものをしていないだけで好みから外れるのか。
「大変なんですねぇ」
「ま、私としては今の暮らしも楽しいし、カズにも出会えたから文句ないけどね」
「ええ、こちらも師匠に拾ってもらえて大助かりですよ」
「そう? そう思ってもらえてるなら、嬉しいわね」
師匠は照れながら、そう言っていたけれど、これに関しては本心だ。
もしも、あの時に助けてくれた師匠がいなかったら、異世界生活2日目の今日になっても、まともな生活場所を見つけられたかどうか。
それに錬金術に関してもだ。前の世界ではなかった錬金術……もし師匠の助けがなかったら、いまだにどうやって使うかの検討もつかなかっただろう。
「師匠、これからもよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。差し当たっては、明日からも鉄鉱石の再構成をお願いね」
「師匠のようにポーションを作れるようになるには、どのくらいかかるんですか?」
「そこまでかからないわ。再構成を毎日やっていれば、一週間くらいかしら?」
「おお、そんなに早く! 楽しみです」
錬金術師ギルドで住む準備が終わったので、晩ご飯としてギルドの目の前にある肉屋でコロッケやらメンチカツやらを買ってきたのだが、これが美味い。
前の世界では揚げ物なんてスーパーやコンビニで買うくらいだったけど、味の濃さが違いすぎる!
衣もサクサクで、今まで食べていたコロッケやメンチカツと比べようもないくらい。
「へ~、初めて食べたけど、お肉屋さんのコロッケも美味しいもんだね」
「初めて? 師匠、錬金術師ギルドの目の前にあるのに、今まで食べたことないですか?」
「うん。だって、お肉屋さんに用事なかったし」
師匠はあっけらかんとして言うけれど、これまで錬金術師ギルドに一人暮らし状態だったのに、お肉屋さんを利用したことがない?
「あれ? 外食しないときは買ってくることもあるって言っていませんでした?」
「そういう時は屋台とかだよ。お肉屋さんにコロッケやメンチカツが売ってるなんて知らなかったし」
確かに知らないとそんなもんかな? 僕だって前の世界ではコロッケやメンチカツを売ってるお肉屋さんは知ってたけど、わざわざ買いに行こうとは思わなかったし。
とはいえ、屋台や外食ばかりでは、栄養が心配だな。
「師匠、これから暇なときには僕が食事を作りますね」
「? カズは錬金術師と付与術師が天職だろう?」
「はい」
「料理人でもないのに、食事が作れるの?」
ああ、なるほど。この世界は天職が常識となっているほど、日常生活に食い込んできている。
だから、料理人の天職を持っていないのに、料理ができるとは考えないのか。
「前の世界では天職なんてなかったですからね。とはいっても、料理人のように色々な料理が作れるというわけではなくて、雑な男飯ですけど」
「へ~、やっぱり稀人様たちの世界は、私たちが住んでいる世界とは違うんだねぇ」
「他の人も料理はしないものなのですか?」
「ああ、天職を持ってない人ってことね? 平民だと作ったりする人もいるって聞いたけど、よく知らないなぁ」
「つまり、師匠は平民じゃない?」
「……うっ!」
「まあ、そんな気はしていましたよ」
錬金術師協会の協会長の気遣い方もそうだし、そもそも師匠は一人暮らししているというのに、あまりにも肌の手入れが出来過ぎている。
平民だったら……というか、まともに労働をしていて、この年になったのなら肌も少しはあれていそうなものだが、師匠の肌はあまりにもすべすべすぎる。
それこそ、生活に関わるほとんどを自分の手で行わずに誰かに頼っていたかのように。
「はあ。まあ、この際だから言っておくけれど、私は貴族よ」
「貴族。やっぱり異世界だと貴族とかいるんですね」
漫画やアニメにすごく詳しいってわけでもないけれど、前の世界で読んでいたものでは横暴な貴族が~、みたいなストーリーはいくつか見ている。
「とはいっても、弟が家を継ぐことになっているから、私は気楽に錬金術師ギルドを立ち上げたわけだけど」
「へ~、弟がいるんですね」
「妹もいるよ。そっちは何の因果か第一王子の婚約者をやってるけど」
師匠は気楽に言ってくれるけど、第一王子の婚約者って、もしかして師匠って高位の貴族?
「師匠は良いんですか?」
「なにが?」
「いや、婚約とか」
「ああ、その辺はあきらめてるからいいのよ。もともと家を継ぐつもりで領地経営の勉強ばかりで淑女教育なんてやってこなかったから、貴族男性の好みの範疇からズレてるのよね」
は~、貴族も大変なんだなぁ。前の世界の職場でも異性の好みがどうたらこうたら、と聞いたことがあるが、淑女教育? というものをしていないだけで好みから外れるのか。
「大変なんですねぇ」
「ま、私としては今の暮らしも楽しいし、カズにも出会えたから文句ないけどね」
「ええ、こちらも師匠に拾ってもらえて大助かりですよ」
「そう? そう思ってもらえてるなら、嬉しいわね」
師匠は照れながら、そう言っていたけれど、これに関しては本心だ。
もしも、あの時に助けてくれた師匠がいなかったら、異世界生活2日目の今日になっても、まともな生活場所を見つけられたかどうか。
それに錬金術に関してもだ。前の世界ではなかった錬金術……もし師匠の助けがなかったら、いまだにどうやって使うかの検討もつかなかっただろう。
「師匠、これからもよろしくお願いしますね」
「こちらこそ。差し当たっては、明日からも鉄鉱石の再構成をお願いね」
「師匠のようにポーションを作れるようになるには、どのくらいかかるんですか?」
「そこまでかからないわ。再構成を毎日やっていれば、一週間くらいかしら?」
「おお、そんなに早く! 楽しみです」
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