異世界に転生したので錬金術師としてダラダラ過ごします

高坂ナツキ

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016 回復草茶を師匠にふるまう

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「なに飲んでるの、カズ?」

 錬金室からリビングへと移動して、ミントティーならぬ回復草茶とクッキーでまったりしていると師匠が話しかけてきた。
 どうやら、師匠も魔力を使い果たしたから、リビングへとやってきたようだ。

「回復成分を抽出した後の回復草ですよ。少しピリッとしますけど、クッキーなんかの甘いものと合わせるとちょうどいいんです」

「回復草?」

「ええ、前にいた世界では、なるべく捨てるものを減らそうという意識が強かったので、何かに使えないかな? と思って」

「ふーん。稀人あるあるなのかな? 伝承になっている稀人のお話でも普通は捨てるところを上手く活用するみたいなのがあったな~」

 話しをしながらも師匠が目線で訴えかけてくるので、師匠用のグラスを用意して回復草茶を淹れてあげる。
 この世界ではノンアルコールの飲み物は紅茶とコーヒー、それにフレッシュジュースが主流で、緑茶系統は珍しいみたいだから、薄緑の飲み物なんて警戒するだろうけど、師匠はためらいもせずにグイっといった。

「どうです?」

「辛い」

「まあまあ、クッキーも食べてくださいよ」

「うーん、スース―するのが慣れないなぁ」

 この世界にやってきてから外でも食事を重ねているけれど、そこでもミントジュレップみたいなソースは出てきたことがないから、この世界ではミントは珍しいのかもな。
 そう考えたら、ミントの爽快感というか、スース―する感じは慣れないのかもしれない。

「うーん、僕のいた世界では気分を変えたいときとか、眠気覚ましによく使われていたんですけどねぇ」

「眠気覚ましか、それなら納得かも。でも、朝から熱いお茶は忙しい労働者には厳しいかもね」

「ですね。なので、明日はラムネと合成して、食べやすくしてみようかと」

 前の世界でもよくあったミントタブレット。あれなら、お茶のように煮ださなくても手軽に食べられるし、仕事の合間に口に入れることもできる。
 ま、今日はポーション作りで魔力を全部使い果たしているから、試すことができなかったんだけどね。

「ふーん、ラムネと……甘くならない?」

「その辺は粉砂糖の量を調整して、回復草の成分が強く出るようにしますよ」

 前の世界でメジャーだったミントタブレットも、人工甘味料とはいえ甘味は入れていたし、流石に砂糖抜きで作るのは危険だろう。

「というわけで、午後はラムネを買いに行きますけど、他に買ってくるものあります?」

「うーん、特には……あっ、カズ。このお茶をギルドに報告したいんだけど、レシピを書いてもらえる?」

「レシピ? ポーションづくりに使った回復草の葉っぱを適当にちぎってお湯を入れただけですよ?」

「え? そんな簡単なの? お茶って乾燥させたりするもんじゃないの?」

「ああ、市販のお茶は乾燥させていますもんね。あれは保存期間を延ばすための処置で、これは自家消費なんで乾燥はさせていないですよ」

 前の世界でも基本的に市販されているお茶は乾燥させているものや、ティーバッグに詰められているものだった。
 しかしガーデニングが趣味の友達なんかは、庭にあるハーブからそのままハーブティーを作ったりもしていた。

「ふーん。じゃあ、市販する場合は乾燥させる手順が増えるわけか」

「そうですね。錬金術師ならポーションづくりの合間に生葉が手に入りますけどね……というか、レシピって市販するつもりなんですか?」

「その辺はギルド判断になるけど、もしかしたらね。人の嗜好はそれぞれだし、この辛いお茶が好きって人も出るかもしれないじゃない」

 ……まあ、それはそうか。前の世界でもミントティーを好んで飲んでいた人は結構いたし、回復草茶も流行る可能性がある……か?

「まあ、レシピはそんな感じなので、報告するなら師匠の好きにしていいですよ」

「うん、そうさせてもらうわ」

 まあ元々はポーションを作ったあとの回復草をそのまま捨てるのがもったないから作っただけだし、これで商売しようというわけでもないから師匠の好きにしてくれたらいい。
 というか、元となっているのは回復草だし、錬金術師の仕事が増えそうだな。
 使用済みの回復草は錬金術師の元にしかないし、乾燥させるにしても錬金術師が抽出で水分を取り出してしまえば簡単だし……これはもしかして、錬金術師に恨まれる仕事を作ってしまったかもしれないな。
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