異世界に転生したので錬金術師としてダラダラ過ごします

高坂ナツキ

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018 稀人の功績と魔導具講座

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「そういえば師匠」

「なに? また何か思いついちゃったの?」

 夕飯のまったりタイムに師匠に話しかけると、早とちりした師匠に睨まれてしまった。

「違いますよ。魔導具のことで質問が」

「魔導具?」

「ええ、冷蔵庫とかコンロとか僕が前の世界で使っていたものが多いですけど、誰が作ったんですか?」

 僕がこの世界にやってきてから見かけた魔導具は、初めに冒険者ギルドで見た天職を読み取るような原理も構造も理解不能なものか、料理に使う見慣れた家電タイプのものばかりだ。
 個人的には初めて見るような異世界チックな方が魔導具っぽいんだけど、色々な人に話を聞いてみた結果では魔導具といえば家電のような製品の方が一般的だとか。

「ああ、料理に使っている魔導具は、この世界に料理という概念を広めてくれた稀人様の持ち物を再現したものなのよ」

「料理という概念を広めた?」

「ええ、それまでは食べ物といえば生の野菜だけで、人は食材に火を通すことも知らなかったそうよ」

「……」

 それはそれは凄絶だな。肉は疎かパンや麺類なんかの主食もなかったってことだよね? 生きていけなくない?

「生きていけないって思ってるでしょ?」

「まあ、野菜だけじゃ倒れちゃいますよ。肉もそうですけど、パンもないってことですよね?」

「ふふ、その当時からポーションがあったからね。栄養失調の不調も、飢餓感もポーションでごまかしていたという文献が残っているわ」

「は~、大変な世の中だったんですね」

「そうね。だからこそ、この世界では稀人様は大切にされるの。私たちが人間らしい生活を送れているのも、稀人様がいてくれたからだからね」

 なるほどなるほど。そりゃ世界全体の恩人みたいなものだから、大切にもされるか。
 食にそこまでの興味がない僕でも、生野菜生活を毎日続けるのは考えただけでも無理だからね。

「なるほど……で、その時の稀人様が家電を持っていたってことですか?」

 召喚されたときに家電を持ち歩ていたのかな? それとも神様に持たされたのかな?

「ええ、神様から与えられた能力で、稀人様のいた世界の道具を再現していたと伝わっているわ。今使われている魔導具はソレを参考に作られたものね」

「だから、料理関係だけ充実しているんですね」

「あとは、その後に召喚された稀人様の意見を参考に作られたものが多いわね。あとは、ダンジョンから発掘された魔導具だけど、そっちは錬金術師が作れないものね」

「冒険者ギルドにあった天職を確認する魔導具とかですか?」

「そうそう。あとは、上級の冒険者が持っている魔剣やアイテム袋とかね」

 は~、やっぱり異世界だけあって魔剣とかもあるんだな~。

「ちなみに、錬金術師の作る魔導具の構造って、どうなっているんですか?」

 魔導具はコンセントにつながっているわけでもなければ、外の景色に電信柱があるわけでもないから電気で動いているわけではないのはわかっているけれど、だからこそ仕組みが分からない。
 魔導具という名前であることから、魔力を利用しているんだろうけれど、魔力を使い切った後でもコンロも冷蔵庫も使えるんだよな。

「基本的な構造は難しくないわ。魔力を使って製品に魔導回路を引いて、魔石を活性化させているのよ」

「魔石を活性化?」

「ええ、魔物や魔獣から獲れる魔石は、それぞれに属性があって、活性化させるとその属性が魔石から現出するの」

「火の属性を持つ魔石なら、火が現出すると?」
 
「そうそう。だから、コンロに使われているのは火の魔石ね。コンロ部分には活性化の度合いを変える魔導回路が引いてあるから、手元のスイッチでオンオフや火加減の調節ができるってわけ」

 ふむふむ、ということは、火の魔石はガスコンロのガスと火種を兼任しているということか。

「ということは、魔石は消耗品ってことですか?」

「ええ、錬金術師が手を加えているから、そう頻繁に取り換えることはしないけどね。コンロなら大体5年から10年くらいかな?」

「結構長持ちなんですね。冷蔵庫や冷凍庫も?」

「冷蔵庫には水の魔石と風の魔石、冷凍庫には氷の魔石と風の魔石を使っているけど、原理は同じね。逆に言えば、天職の確認みたいに属性で再現できないものは錬金術師は作れないわ」

「なるほど、面白いですね」

 つまり魔導具でパソコンやスマホを再現するのは不可能……と。まあ、再現する気もないけれど、魔導具も結構縛りがあるということか。
 異世界転生ものだと、新しい概念の魔導具を作り出すのが定番だけれど、これはなかなか新しいものは難しいかもしれませんね。
 ま、目立つつもりもないので、それでいいのかもしれませんけど。
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