18 / 46
018 稀人の功績と魔導具講座
しおりを挟む
「そういえば師匠」
「なに? また何か思いついちゃったの?」
夕飯のまったりタイムに師匠に話しかけると、早とちりした師匠に睨まれてしまった。
「違いますよ。魔導具のことで質問が」
「魔導具?」
「ええ、冷蔵庫とかコンロとか僕が前の世界で使っていたものが多いですけど、誰が作ったんですか?」
僕がこの世界にやってきてから見かけた魔導具は、初めに冒険者ギルドで見た天職を読み取るような原理も構造も理解不能なものか、料理に使う見慣れた家電タイプのものばかりだ。
個人的には初めて見るような異世界チックな方が魔導具っぽいんだけど、色々な人に話を聞いてみた結果では魔導具といえば家電のような製品の方が一般的だとか。
「ああ、料理に使っている魔導具は、この世界に料理という概念を広めてくれた稀人様の持ち物を再現したものなのよ」
「料理という概念を広めた?」
「ええ、それまでは食べ物といえば生の野菜だけで、人は食材に火を通すことも知らなかったそうよ」
「……」
それはそれは凄絶だな。肉は疎かパンや麺類なんかの主食もなかったってことだよね? 生きていけなくない?
「生きていけないって思ってるでしょ?」
「まあ、野菜だけじゃ倒れちゃいますよ。肉もそうですけど、パンもないってことですよね?」
「ふふ、その当時からポーションがあったからね。栄養失調の不調も、飢餓感もポーションでごまかしていたという文献が残っているわ」
「は~、大変な世の中だったんですね」
「そうね。だからこそ、この世界では稀人様は大切にされるの。私たちが人間らしい生活を送れているのも、稀人様がいてくれたからだからね」
なるほどなるほど。そりゃ世界全体の恩人みたいなものだから、大切にもされるか。
食にそこまでの興味がない僕でも、生野菜生活を毎日続けるのは考えただけでも無理だからね。
「なるほど……で、その時の稀人様が家電を持っていたってことですか?」
召喚されたときに家電を持ち歩ていたのかな? それとも神様に持たされたのかな?
「ええ、神様から与えられた能力で、稀人様のいた世界の道具を再現していたと伝わっているわ。今使われている魔導具はソレを参考に作られたものね」
「だから、料理関係だけ充実しているんですね」
「あとは、その後に召喚された稀人様の意見を参考に作られたものが多いわね。あとは、ダンジョンから発掘された魔導具だけど、そっちは錬金術師が作れないものね」
「冒険者ギルドにあった天職を確認する魔導具とかですか?」
「そうそう。あとは、上級の冒険者が持っている魔剣やアイテム袋とかね」
は~、やっぱり異世界だけあって魔剣とかもあるんだな~。
「ちなみに、錬金術師の作る魔導具の構造って、どうなっているんですか?」
魔導具はコンセントにつながっているわけでもなければ、外の景色に電信柱があるわけでもないから電気で動いているわけではないのはわかっているけれど、だからこそ仕組みが分からない。
魔導具という名前であることから、魔力を利用しているんだろうけれど、魔力を使い切った後でもコンロも冷蔵庫も使えるんだよな。
「基本的な構造は難しくないわ。魔力を使って製品に魔導回路を引いて、魔石を活性化させているのよ」
「魔石を活性化?」
「ええ、魔物や魔獣から獲れる魔石は、それぞれに属性があって、活性化させるとその属性が魔石から現出するの」
「火の属性を持つ魔石なら、火が現出すると?」
「そうそう。だから、コンロに使われているのは火の魔石ね。コンロ部分には活性化の度合いを変える魔導回路が引いてあるから、手元のスイッチでオンオフや火加減の調節ができるってわけ」
ふむふむ、ということは、火の魔石はガスコンロのガスと火種を兼任しているということか。
「ということは、魔石は消耗品ってことですか?」
「ええ、錬金術師が手を加えているから、そう頻繁に取り換えることはしないけどね。コンロなら大体5年から10年くらいかな?」
「結構長持ちなんですね。冷蔵庫や冷凍庫も?」
「冷蔵庫には水の魔石と風の魔石、冷凍庫には氷の魔石と風の魔石を使っているけど、原理は同じね。逆に言えば、天職の確認みたいに属性で再現できないものは錬金術師は作れないわ」
「なるほど、面白いですね」
つまり魔導具でパソコンやスマホを再現するのは不可能……と。まあ、再現する気もないけれど、魔導具も結構縛りがあるということか。
異世界転生ものだと、新しい概念の魔導具を作り出すのが定番だけれど、これはなかなか新しいものは難しいかもしれませんね。
ま、目立つつもりもないので、それでいいのかもしれませんけど。
「なに? また何か思いついちゃったの?」
夕飯のまったりタイムに師匠に話しかけると、早とちりした師匠に睨まれてしまった。
「違いますよ。魔導具のことで質問が」
「魔導具?」
「ええ、冷蔵庫とかコンロとか僕が前の世界で使っていたものが多いですけど、誰が作ったんですか?」
僕がこの世界にやってきてから見かけた魔導具は、初めに冒険者ギルドで見た天職を読み取るような原理も構造も理解不能なものか、料理に使う見慣れた家電タイプのものばかりだ。
個人的には初めて見るような異世界チックな方が魔導具っぽいんだけど、色々な人に話を聞いてみた結果では魔導具といえば家電のような製品の方が一般的だとか。
「ああ、料理に使っている魔導具は、この世界に料理という概念を広めてくれた稀人様の持ち物を再現したものなのよ」
「料理という概念を広めた?」
「ええ、それまでは食べ物といえば生の野菜だけで、人は食材に火を通すことも知らなかったそうよ」
「……」
それはそれは凄絶だな。肉は疎かパンや麺類なんかの主食もなかったってことだよね? 生きていけなくない?
「生きていけないって思ってるでしょ?」
「まあ、野菜だけじゃ倒れちゃいますよ。肉もそうですけど、パンもないってことですよね?」
「ふふ、その当時からポーションがあったからね。栄養失調の不調も、飢餓感もポーションでごまかしていたという文献が残っているわ」
「は~、大変な世の中だったんですね」
「そうね。だからこそ、この世界では稀人様は大切にされるの。私たちが人間らしい生活を送れているのも、稀人様がいてくれたからだからね」
なるほどなるほど。そりゃ世界全体の恩人みたいなものだから、大切にもされるか。
食にそこまでの興味がない僕でも、生野菜生活を毎日続けるのは考えただけでも無理だからね。
「なるほど……で、その時の稀人様が家電を持っていたってことですか?」
召喚されたときに家電を持ち歩ていたのかな? それとも神様に持たされたのかな?
「ええ、神様から与えられた能力で、稀人様のいた世界の道具を再現していたと伝わっているわ。今使われている魔導具はソレを参考に作られたものね」
「だから、料理関係だけ充実しているんですね」
「あとは、その後に召喚された稀人様の意見を参考に作られたものが多いわね。あとは、ダンジョンから発掘された魔導具だけど、そっちは錬金術師が作れないものね」
「冒険者ギルドにあった天職を確認する魔導具とかですか?」
「そうそう。あとは、上級の冒険者が持っている魔剣やアイテム袋とかね」
は~、やっぱり異世界だけあって魔剣とかもあるんだな~。
「ちなみに、錬金術師の作る魔導具の構造って、どうなっているんですか?」
魔導具はコンセントにつながっているわけでもなければ、外の景色に電信柱があるわけでもないから電気で動いているわけではないのはわかっているけれど、だからこそ仕組みが分からない。
魔導具という名前であることから、魔力を利用しているんだろうけれど、魔力を使い切った後でもコンロも冷蔵庫も使えるんだよな。
「基本的な構造は難しくないわ。魔力を使って製品に魔導回路を引いて、魔石を活性化させているのよ」
「魔石を活性化?」
「ええ、魔物や魔獣から獲れる魔石は、それぞれに属性があって、活性化させるとその属性が魔石から現出するの」
「火の属性を持つ魔石なら、火が現出すると?」
「そうそう。だから、コンロに使われているのは火の魔石ね。コンロ部分には活性化の度合いを変える魔導回路が引いてあるから、手元のスイッチでオンオフや火加減の調節ができるってわけ」
ふむふむ、ということは、火の魔石はガスコンロのガスと火種を兼任しているということか。
「ということは、魔石は消耗品ってことですか?」
「ええ、錬金術師が手を加えているから、そう頻繁に取り換えることはしないけどね。コンロなら大体5年から10年くらいかな?」
「結構長持ちなんですね。冷蔵庫や冷凍庫も?」
「冷蔵庫には水の魔石と風の魔石、冷凍庫には氷の魔石と風の魔石を使っているけど、原理は同じね。逆に言えば、天職の確認みたいに属性で再現できないものは錬金術師は作れないわ」
「なるほど、面白いですね」
つまり魔導具でパソコンやスマホを再現するのは不可能……と。まあ、再現する気もないけれど、魔導具も結構縛りがあるということか。
異世界転生ものだと、新しい概念の魔導具を作り出すのが定番だけれど、これはなかなか新しいものは難しいかもしれませんね。
ま、目立つつもりもないので、それでいいのかもしれませんけど。
91
あなたにおすすめの小説
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」
公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。
忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。
「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」
冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。
彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。
一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。
これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。
ダンジョンがある現代社会に転生したので、前世を有効活用しようと思います
竹桜
ファンタジー
ダンジョンがある現代社会に転生した。
その世界では探索者という職業が人気だったが、主人公には興味がない。
故に前世の記憶を有効活用し、好きに生きていく。
1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました
竹桜
ファンタジー
誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。
その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。
男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。
自らの憧れを叶える為に。
無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです
竹桜
ファンタジー
無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。
だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。
その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活
アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。
妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。
貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。
しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。
小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる