猫と私と犬の小説家

瀧川るいか

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苺のほっぺと乙女心と思いを馳せるただの女の子

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かの有名なマリリン・モンローの言葉。
Beneath the makeup and behind the smile I am just a girl who wishes for the world.
メイクと微笑みの裏側は、私は世界に思いを馳せるただの少女なのです


鏡に映った自分の顔を今よりも可愛くする。
女の子なら当たり前。
すっぴんだと子供っぽく見える私はメイクをして少し背伸びしたいお年頃。
「とりあえず始めるかぁ」
取り敢えず邪魔な前髪を重力に負けないように纏める。本当に今だけ邪魔な前髪。本当は髪の毛は女子の生命線だと思ってる。
「うーん。おでこ出してても可愛いなぁ~私」
まずはしっかりと洗顔。化粧水を顔全体に馴染ませる。
「あー。生まれ変わる~」
「そして生まれ変わっても可愛い~」
皮脂崩れ防止化粧下地を少々。
カサつき粉ふき防止化粧下地を少々。
手の甲で混ぜて、さらさらと塗っていく。
私はファンデーションは崩れないように耐久力を重視する。崩れるくらいならスッピンの方が好き。
丁寧に丁寧に固まらないように素早く白い肌に塗り込んでいく。
「うん!良い感じ!]
次は目の下のクマと鼻と鼻の下と顎にコンシーラーを擦らずに叩き込む。
「今日は目の下のクマがひどいなぁ~寝てないもんなぁ~」
美白パウダーをパフを使い優しく押さえる感じで付ける。
「うん!美白!良い感じ!」
「メ~」
メーが構って構ってモードで私と鏡の前に立ち塞がった。メイクの邪魔をしてくるのはいつもの事。私がいないと寂しいから外出を邪魔してくる可愛い甘えん坊。
「メー!邪魔しないの~帰ってきたらいっぱいいっぱい遊んであげるから~チャチャと遊んでな~」
そう言って可愛い甘えん坊をチャチャに預けた。
チャチャとメーは私のメイクしているのを見つめている。鏡越しにちらちらと目が合う。

「いちいち可愛い子達だ」

「眉毛描きたいから邪魔しないでねぇ~」
最近は優しそう雰囲気が好き。
眉毛というのは不思議なもので顔の印象に大きく影響する。最近は優しそうな下がり気味な眉毛が好き。
アイブロウペンシルで調整していく。
髪の毛の色と合わせるのが基本だが前髪で隠れる事を考えると暗過ぎず明る過ぎずの色が好き。
次はアイメイク。六種類の色があるパレットから気分で選ぶ。
片目を閉じて指で眉毛と二重幅の間の目蓋に塗る。
「今日は白かなぁ」
少しだけ白のラメを入れた。
「あー。良い感じ!目がハッキリして可愛いなぁ~私」
ササッとアイラインを引き、ビューラーでまつ毛を上げた。くるっと上向きなまつ毛になり上機嫌な私。
大好きな犬のキャラクターのポーチからマスカラを取り出し、さらに生まれ変わる。まつ毛にボリューム感。目のパッチリ感。鏡を見ながら目をパチパチと仕上がりを見ていると鏡越しにメーと目が合った。私はそっとメーの頭を撫でた。
「メ~」
メーは少し寂しそうに鳴いた。
「そんな寂しがるなよ~男の子でしょ~」
余りにも寂しそうだからメーを抱き寄せ膝に置いた。
「メ~メ~」
「私だって一緒にいたいんだよ~。乙女心をわからないと女の子にモテないよ~。それに一緒にいる為にはお外行ってお仕事しないとなの~わかって~」
「メ~」
少し元気になったメーを見て安心した私。
「よしよし。いい子いい子」
メーを膝枕しながら何度も頭を撫でた。
そんな姿を見て羨ましく感じたのかチャチャも静かに私の膝に擦り寄ってきた。
「甘えん坊さん達だなぁ」
再びビューラーを取り出しまつ毛を上げた。
次は涙袋にラインを入れて少し白いカラーを入れた。そして目尻の下に愛猫達とお揃いのブラウン系の色を少し入れた。涙袋は実は大事。印象をかなり左右する。
ピンク色のチークで頬を隠して、私の顔はうっすらピンク色に染まった。本当にうっすらピンク色がポイント。ますます可愛い私。
口にピンク色のリップ。こちらも保湿重視の私。
乾いた唇は可愛くない。目と鼻の間と鼻の横にノーズシャドウも忘れずに。少しでも背伸びしたいお鼻。本当に少しだけ。
ドライヤーとアイロンで髪の毛を真っ直ぐにする。黒髪さらさらロングはお姫様の証。六万円のドライヤーと四万のアイロン。正直高いと思う。でも私には必要なんだ。
最後にグロスを塗る。赤いルージュで唇を彩って完成。
赤系の色が大好き。ピンクが大好き。
女の子なんだから当たり前。
チャームポイントは目の下のホクロ。左目の下と右目の下にある。可愛い私のチャームポイント。
神様からのプレゼント。アニメのキャラみたいで可愛いと沢山の人類に言われる。
「うん!完璧!今日もさらっと可愛い!さてさて出掛けますかぁ~」
メイク道具をお気に入りの犬のキャラクターのポーチに入れて、お気に入りのリュックにポーチとスマホと財布と煙草を入れて準備完了。
「メ~メ~」
寂しそうにメーが近づいてくる。いつもの事だが、こちらも寂しいのだ。
「そんな寂しがるな~良い子にした待ってな~」
玄関まで見送りにくるチャチャとメー。
特にメーは寂しそうだ。顔を見れば分かるんだ。
「も~しょうがないなぁ~。おいで!」
私はチャチャの頭をポンポンと撫でた後にメーを抱き上げた。
頭を撫でながら優しくギューっと抱き締めた。
「すぐ帰るから~チャチャと仲良くしてるんだ~」
「メ~」
「よし!良い子だ!」
チャチャとメーに留守番をお願いした。
甘えん坊をギューってしたせいで毛だらけになった服のまま家から出た。
「いってくるね~」

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