猫と私と犬の小説家

瀧川るいか

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可愛い洋服

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「うーん」
「あ~これめっちゃ可愛い~」 
「首元の感じとか最高~」
「私の為の服~」
「靴下も大事なんだよなぁ~。意外と重要なポイント~」
ベッドの上で足をパタパタしながらネットショッピングで服を選んでいた。
左隣ではチャチャが良い子に座っている。
右隣ではメーが可愛い私のショッピングを近過ぎるくらい距離から見てる。寧ろ、ベッタリとくっついている。いつも通りの毛だらけ。
「ねぇ~メーはどれがいい?」
スマホの画面をスクロールしてメーに一着ずつ見せていった。
最近のブームは大きめなパーカー。男受けを狙ってる訳ではない。大きめな上着に脚が出るスタイル。
単純に可愛い。可愛いのが好き。女の子なら当たり前。
そもそも可愛い私が男受けなど狙う必要などない。
媚びる必要ない。私なら当たり前。
可愛いクマがプリントされたプルオーバーを見せた瞬間、低い声で「メ~」と鳴いた。
「おー!気が合うねぇ~私もね~これにしようと思ってたんだよね~」
きっとお友達だと思ったんだと思う。可愛いもの同士。
「メ~」
嬉しそうにメーは可愛い私の顔をペロペロと舐めてきた。
「わかた~わかた~やめ~」
構ってちゃんは相変わらず構ってちゃん。
「いちいち可愛い子達だなぁ」
サイズ感が気になったので詳細を調べる。ネットで買う時は現物を合わせて買うわけでないので気を付けないといけないが、便利過ぎて最近はネット購入する事が多い可愛い私。
胸囲134。
着丈84・5。
袖丈41・5。
肩幅69。
袖幅20。
「んー。いける~」
「首のリボンが可愛いんだよなぁ~」
「お!取り外し可能?外すわけないじゃん!」
「色は黒だよね~」
メーが気に入ってるなら買わない訳にはいかない。
しかし、ワンサイズ。
「うーん。バランスがなぁ~わからないなぁ~」
「モデルの人の身長は~」
ショップ店員の可愛い女の子が着ている画像を調べてみる。
身長は163センチ。
「え~私より10センチも高~い」
「んーん」
スマホでスラスラとショップ店員の女の子達をチェックした。みんな身長が私よりも高かった。
「確実に私の方が可愛くない?メー!どう思う?」
勢いよく私はメーに問い掛けた。
「メ~」
「ほんとに?」
「メ~~」
メーは嬉しそうに頬を寄せてきた。
「だよね~君はわかってる子だ!」
メーの頭を撫でながら勝った気持ちで服を選び始めた。
「帽子もいいなぁ~」
姫感溢れるベレー帽があった。少しだけ、ほんの少しだけ前髪を切り過ぎた。気になってしょうがない。女の子にとって前髪は神聖なもので、正面から見た時の印象を大きく左右するものなのは理解している。それが故に自分でも調整はするのだが、ほんの少し切り過ぎた可愛い私。
「前髪抑える必要がなくなるなぁ~」
「しかも可愛い~」
「これもポチっちゃお!」
カートの中にクマのプルオーバーと帽子を入れた。
「あとは~」
スラスラとネットショッピングを楽しむ可愛い私。地元にない服を買う為にはネットショッピングしかない。前は東京や仙台に足を運び買っていた。実際に見て買うのと見ないで買うのではモチベーションが違う。
実際見ると「あれもいい!これもいい!」と言って、自分でも引くくらいのクレジット請求が着て泣きそうになった事があった。懐かしい話だ。
最近はチャチャとメーがいるがお家が大好きだから遠くに旅に出る事も減った。
ライブを観に横浜やら東京やらと行っていたが最近は全くだ。でも別に構わない。可愛い茶トラの二匹との暮らしが好きな私には。家にいる時間が増えた。オタクな私らしい。
呼べば届けてくれる宅配サービスも最近は充実している。
尚更、出なくて済む。オタクな私らしい。
「んー。取り敢えず、これくらいにしておこ!」
ネットショッピングを終え、いつもの日常。
「ふ~」
「メ~」
「ニャ~」
自分の欲しい物だけ買って、この子達に悪い気がした。
「首輪買ったしなぁ~」
「新しいお友達でも買ってあげようかなぁ~」
再びスラスラと画面をスクロールし始めた。
「君らが決めな~」
一つずつ、ゆっくりとスクロールする。
可愛い茶トラの二匹が鳴いたところで止める事にした。
三十分後。
ひたすらスクロール。
「あのさぁ~君達!欲しいのないのぉ~」
「メ~~」
「ニャ~~」
大きな犬のぬいぐるみの画面で二匹の茶トラは鳴き出した。
「それかぁ~私が欲しいんだけどなぁ~」
「まぁ~しょうがない!買ってあげよ!」
この子達が欲しいと思うなら買ってあげても良いのだ。
誰よりも大切な家族なのだから。





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