上 下
3 / 3

悪魔の心

しおりを挟む
 「花音!何読んでんの~?」
 由佳が花音の雑誌を取り上げる。
 「何これ?読モ募集中?花音、読モになるつもり?」
 「あ…違うの。舞が最近読モに興味持ったみたいなの。それで舞がもしかしたら読モになれば彼氏が戻ってくるかもって、読モになるため一生懸命頑張ってるんだよ。」
 「…ふっ。あははははははははっ!」
 花音の話を聞き終えると、由佳はゲラゲラと笑いだした。
 「え!?それマジで言ってる!?あの舞が読モとか、あり得ないでしょ!あはははは!」
 「…どうして笑うの?」
 「だってさ~!舞って髪パサパサだし~、写真で加工しても目小さいし~、そばかすもあるしかさ~、ぶっちゃけブスじゃん!」
 由佳は笑いながら、舞のことを悪く言い続ける。
 「おまけに舞ったらさ~、顔面がブスな上に、デブじゃん!」
 「…舞は、モデルを目指すためにダイエットもしてるの。」
 「あの体型じゃ、もう手遅れじゃな~い?あんなのが読モになれるなら、あたしだってなれるし、なんなら花音だってなれるんじゃない?花音って結構スタイルいいしさ~。」
 「由佳、やめなよ。舞は彼氏とよりを戻すために一生懸命…」
 「つかさ~、彼氏とよりを戻すために読モになるっておかしくな~い?あたしなら話し合いでどうにかしようとするけどな~。ほんっと、舞ってバカだよね~!」
 舞の悪口を言い続け、ケラケラと笑う由佳を花音は呆然と見つめていた。
 (こいつは人間じゃない…。悪魔だ。)
 
 「舞ってば頭悪すぎるよね~!だから彼氏も取られちゃうしさ~!アキラって、ルックスもいいし明るいし、まさに完璧な彼氏って感じ~!舞にはもったいなすぎる~!」
 「…アキラって誰?」
 「舞の彼氏~!ずっと前に舞が彼氏と歩いてるの見て、一目惚れしちゃったんだぁ~!」
 舞は彼氏を語るとき、彼氏のことをあっくんと呼ぶので、本名を聞いても「ごめん、自分でもよくわかんないんだけど、本名教えたくないんだ。」といって、教えないので、誰も本名は知らないはずだった。
 「どうして舞の彼氏のことそんなに知ってるの?」
 花音は全てを知っている。でもあえて聞いてみた。
 「それはね~、付き合ってるからぁ~!」
 舞は下品な声でゲラゲラと笑う。
 (あっさりバラした…。バカなのはお前だ)
 「アキラのことちょっと誘惑して、舞の悪口言って嫌うように仕向けたらさ~、アキラってばホントにその気になっちゃってさぁ~、アキラも結構バカなんだよね~!ま、その分簡単に手に入ったからいいけど~!」
 
 「ひどいよ!!!」
 花音はガタンと音を立て立ち上がり大声でそう言う。
 クラスの全員の視線が、花音に注目するが、花音はお構いなしに続ける。
 「どうしてそんな事ができるの?どうしてそれを笑って話せるの?」
 「花音ってばどうしちゃったの~?」
 「由佳は舞の気持ちがわからないの?舞がどれだけ傷ついたと思ってんの!?」
 「何でそんなに怒ってるワケ~?花音がやられたんじゃないから別にいいでしょ~?」
 「ひどい!由佳ってばマジありえない!」
 花音がそういった瞬間、チャイムが鳴り、授業の先生がきた。放課後が来るまで、花音は由佳と口を聞かなかった。

 放課後の教室。そこには恵梨香のグループしかいなかった。
 「ねぇ、昼休みのこと、マジでヤバかったよね!」
 恵梨香が目をキラキラと輝かせて言う。
 「あぁ、波沢がキレたことか。あれで小泉がクソ女だってことがはっきりとわかったよな。」
 雫はそういうと、口の端をくいっと楽しそうに持ち上げて笑った。
 「人の彼氏奪うとか最低よね!あいつの方が性格悪いじゃない!その舞って人がかわいそうだわ!」
 亜子はイライラした口調でいう。
 「あははっ。亜子ってばイライラしすぎだよ。でも確かに、波沢さんの気持ち、わかるかも。それで恵梨香、小泉のことイジメちゃうの?」
 由美子が楽しそうに笑う。
 「当たり前じゃん!あいつには、かなりの制裁が必要だよ!亜子もそう思うよね?」
 「ええ、もちろんよ!その舞って人と波沢花音の仇をうってやりましょう!ねぇ雫!」
 「ハハッ!そうだな。徹底的にいじめ抜いてやろうぜ!」
 4人は顔を見合わせて笑った。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...