ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

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幻想への帰還

ブリューエル=アウス=レディット#1

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────アキラ(ヒューマノイド、移動要塞レグルス搭乗員、ブリューエル=アウス=レディット)


 半月前まで学生をやっていた俺が、何の因果か化け物だらけの異世界に転移させられ、数十万人の人口を収容できるほどの巨大な移動要塞で、兵士をやっている。

 空間蝕に巻き込まれ街ごとこの世界に転送された俺たちは、ノスフェラトゥの餌になるところを、異種族の少女たちに救われた。俺を含めた生存者12名は、異種族の少女たちの提案により3つのグループに分かれ、それぞれタイプの異なる3つの無色のホムンクルススターゲイザーの移動要塞で保護してもらうことになった。

 俺たちの受け入れ先になったのは、レグルス=レオーニス=アルファという無色のホムンクルススターゲイザーの移動要塞だ。この要塞では、是弱すぎる人間の能力を改造・強化し、ノスフェラトゥと対等以上に渡りあえる戦闘力を有した兵士の育成および研究開発が積極的に行われていた。

 強化手術を施された兵士は、通称ブリューこと、ブリューエル=アウス=レディットと呼ばれていた。

 俺たちがこの移動要塞に来たときは、兵士ではなく住民として要塞内での雑務や兵士を支援する仕事を前提として扱われていたが、希望者は誰でもブリューへの改造手術をしてもらうことができた。

 俺は、化け物だらけのこの世界で、何もできない是弱な存在として生き続けるのが嫌だった。だから、研究担当者をつかまえてブリューについて詳細を納得いくまで説明してもらい、実際のブリュー達にも話をきかせてもらった上で、ブリューエル=アウス=レディットへの改造手術を申請した。

 ブリューも含め、低次元生命体であるヒューマノイドには魔術や法術の類は一切行使できない。
 それゆえに、ブリューは、筋力や肉体再生能力だけでなく反応速度や脳内での情報処理速度などヒューマノイドが有する能力を極限以上に強化し、また、武器やセンサーなどの各種外部デヴァイスとの親和性や応答性を向上させるといったアプローチが取られた。

 頼みの綱は、武器とセンサーだ。

 高次元生命体であるノスフェラトゥは魔術を行使できるだけでなく多様な知覚機能を有しているため、奴らよりはやくセンサーで敵を捕捉し、いかに短時間で無力化できるかが勝敗のカギとなる。

 俺たちブリューは、第6世代程度のノスフェラトゥであれば、単独で無力化可能だ。通常はツーマンセルやスリーマンセルでの運用となるため、第4世代のノスフェラトゥとも互角以上に渡り合える。さらに練度が上がれば、第3世代の足止めくらいは可能になるのだ。

 学派によっては防御・防衛技術のみに力を入れ、縮こまって、安全に長生きすることばかりを考え、こちらから討って出て敵を殲滅することを考えないような無色のホムンクルススターゲイザーもいるらしい。

 レグルスがそんな軟弱な考えでなくでよかったと心底おもっている。
 この移動要塞なら、いつの日かノスフェラトゥどもをこの世界から絶滅させることができるはずだ。
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