ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

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幻想への帰還

電脳世界の深淵にて#2

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────ユキヒロ(ヒューマノイド、移動要塞デネブ搭乗員、ダイバー)


 デネブ=キュグニー=アルファの移動要塞は、おそらく〝大はずれ〟だ。
 俺たち4人は、都合の良い実験動物といったころかな?

 それでも、ノスフェラトゥにされるよりは遥かにマシなので、このまま無事に生涯を終えられることを祈りながら日々過ごしている。

 デネブの移動要塞を選んだのは、デネブが女性だったことと、最初にデネブを選んだミヅキちゃんという女の子が好みタイプってだけのことだ。
 しかも、後から決まった残り2名も女の子でミユキちゃんとハルカちゃん。俺のハーレム生活が確定し、意気揚々と移動要塞に乗り込んだってわけだ。

 その結果がこの状況だ。

 女子3名は、デネブにきて頭良くなって嬉しいって感じだけど、なぜ、知能レベルの低いヒューマノイドなんかにわざわざ頭脳労働させるのか、考えたことがないのだろう。もしかしたら、自分は不幸じゃないって思い込みたくて、無意識に目をそらしているだけかもしれないけど……。


 仲良くなった上司のヨアヒムさんに、内緒で学派のデータベースを見せてもらったのだけれど、平和主義の俺にとっての大当たりはフォーマルハウトだ。

 脳筋のアキラあたりは、ラグランジュ学派のレグルスで大正解なんだろうけど、あそこは死に急ぎたい奴が行くところだよな。正面からぶつかって勝てる相手じゃねーだろ。そんなことできるなら、人狼ルガルが、とうの昔にノスフェラトゥなんか絶滅させてるはずだろ?


 残り物には福があるって本当だったね。
 子連れ二組は幸せな生活送ってそうだな。
 まぁ、性別変わっちゃうってのはちょっと困るけど、実験動物とか、戦闘に明け暮れる毎日よりは遥かにマシだよな。

 それに、相転移ってのは、若さを保ったままかなり長生きもできるみたいだから、元の世界やノスフェラトゥのいない別の低次元世界に転移する機会に恵まれる可能性もある。オネエになってたらちょっと困る気もするが、肉体の本能に精神が影響されるみたいだから、時間が経てば回復するだろうし。

 ここ3千年のデータだと、直近の1千年は、ラグランジュ学派の移動要塞の轟沈率が一番高いんだよな。初期は、バベッジ学派の移動要塞が圧倒的に轟沈しまくってたみたいだけど、1千年前くらいから轟沈0になってる。すでにフォーマルハウトは最高レベルの堅牢性を誇っているってことだ。

 そして問題は、デネブのシャノン学派。

 2千9百年くらい前から轟沈0だよ?
 なんで、みんな無事なの?
 パンデミックから100年程度で轟沈0に到達したってことは、その頃に強力な後ろ盾がついたってことだよね?

 しかも、俺たちの使わされているダイブシステム。先輩ヒューマノイドのと同じ仕様らしいけど、ダイブの解除は自分じゃできないんだよね……。

 明らかに不自然だ。

 でも、一緒にここに来た女子たちに、そんな事いっても不安を煽るだけで意味がないから、黙ってる。

 明るくしてもらえるほうがこっちも楽しいからね。

 先輩のヒューマノイドはとっくに気づいているのだろうけど、牢獄に閉じ込められてるのと一緒だから何もできないって諦めてるわけでしょ?

 しかし、こまったな、取引相手がノスフェラトゥでなければ良いのだけれど……。


 そういやユミカがフォーマルハウトだったっけ。
 アキラってたしか、ユミカに告って振られたって聞いたけど、グループ分けの時もやけにこだわってたし未練タラタラだよな……。

 でも、ユミカのやつ、今頃、男だろ?
 今の二人を合わせたらまじでおもしれーだろーな。

 それをアユミがみて、勝利宣言?

 でも、アキラは変なところ一途だから、性別の壁も超えてみせるって真顔でいうかもな。

 ミユキちゃんとハルカちゃんが腐ってるから、俺も毒されて来たか?
 この話、2人にしたら盛り上がりそうだな。
 そうだ休憩時間の話題にでもしてみよう。

 こんな状況だからこそ、楽しさを求める気持ちが大切だしな。
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