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ラグ=ナ=ローク
DAS RHEiNGOLD#7
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────ミヅキ(アシダカ種、ルーノ族、宮廷特別顧問預り)
休養が終わった。
初めての世界、初めての空、初めての街、とても有意義な体験だった。
アストレアに行った時は、最初のハーピー種、アラクネ種、アシダカ種ということで、人だかりができて、とても恥ずかしかった。
アストレアの空は、あの日以来だったけど、とても美しくて感動した。
楽しかった休養は終わってしまったけれど、またククリさんの部屋に来られるのも楽しみで仕方がなかった、またここにこられるのが嬉しかった。
「失礼します。ミヅキです」
「どうぞー。
おかえり、その顔だと満喫してきたようだね。
おいでー」
ククリさんが、抱きしめてくれた。
やっぱりこの人は暖かい。
この温もりを感じると、帰ってきたって気持ちになれる。
「今日は座学だから、適当にお茶入れて楽にしてね。
資料はその端末に入ってる」
「はい」
私は自分用のカップにお茶れて、テーブルについて、端末を開いた
「間に合わないかなーとおもったけど、ようやく君の特殊言語の言語体系が完成したよ。これで私も安心して、相談係のお婆ちゃんができる。
今日からは、各種法術の基礎理論について実践を交えながら指導するね。しっかり頭と体に叩き込んでおくんだよ。復習も忘れずに、覚えた法術式は毎日しっかり詠いなよ」
「はい、よろしくお願いします!」
……
講義がひと段落して、休憩をとっていた。
「あの、質問してもよろしいでしょうか?」
「なあに?」
「私の特殊言語とアシダカの固有言語はかなり異なるようですけど、どうしてでしょうか?」
「どっちを歌ってみて気持ちが良い?」
「私の特殊言語です、すごく楽しいです」
「そういう理由。アシダカの固有言語は、今後、他のアシダカ種の標準言語になるからそれを覚えてないと、同種族のお友達ができなくなる」
「なるほど、そういう事なのですね」
「2つ覚えるのは大変?」
「いえ、両方ともすんなり入ってきます。外国語得意じゃないのにどうしてかな?」
「それは、君の母国語みたいなものだからだね。どちらもね。
体がそういう風にできちゃってるの」
「そうなのですか、不思議な感覚です」
「気の早い話だけど、アストレアは高性能な新種族を選抜してラフィノス族に向かい入れるつもりみたいだよ?」
「アシダカ種も入ってるって事ですか?」
「確実に入るだろうね。
特に、アシダカ種は人狼より強力な種族だから前線に配備される確率が高いだろうね」
「私も含まれているのでしょうか?」
「いや、君はルーノ族だから大丈夫。ルーノ族の戦士の一人として扱われるだろうけど、ニダヴェリールはユグドラシルほど危険な大地ではないから、外界任務でもない限り前線に配備されることはないとおもうよ」
「外界任務の可能性はありますか?」
「あるだろうね。アストレアは人手不足だから、なんだかんだで、ルーノ族が駆り出されているよ」
「ルフィリアさん、そういう話しないから全然わからなかったけど、とても大変な仕事をなされているのですね」
「うん。最近は、強い種族が台頭してきて、まともに戦っても無駄に殺されるだけなのに、ヒューマノイドたちはこぞって戦闘性能の高い種族への転生をしたがるのが、私には不思議なのだよね。
生き残る確率の高い種族が、戦闘性能の高い種族とは限らないし、なまじ戦闘力に自信があると、それに頼って、生き延びることよりも敵を倒す方法ばかり考えるようになる。
強力すぎる相手にとっては、都合のいい標的だよね」
「たしかにそうですね。どんなに上を目指してもどうやっても届かない相手っていますよね」
「実体験?」
「はい」
「そうか、やっぱり、君は見込みのある子だね」
「そうですか?」
「うん、これからアシダカ種は性能以上にもてはやされるだろうけど、そんなのなんの意味もないからね。それを鵜呑みにしたら自分の死期を早めるだけだよ。
どんな時でも知覚を鋭敏にして、つねに生き延びる道を探し続けるんだ。
是弱な生物にとってそれが最後の生命線だからね」
「この世界にきて、自分の是弱さが身にしみてわかりました。
まわりはバケモノだらけでしたからね。
ルカティアさんから『ヒューマノイドとしてできるだけ早く死ね』ってアドバイスされたときは、絶望しましたよ」
「ルカティアは優しい子だから、その状況では一番の選択肢だとおもったのだろうね」
「たしかに……それ以外は奴隷とか実験動物ですものね……」
「私が君に教えられることは、生きる残るために抵抗する手段だから、それ以上のことは考えちゃだめだよ? それを身につけても抗えないほど理不尽な化け物はたくさんいるからね。どんな時でも、できるだけ危険には近づかないことに徹するんだ。何をすることが一番安全かを見極めなよ。そのことは絶対に忘れちゃダメだからね」
「はい」
「じゃ、続きをしよっか?」
「よろしくお願いします」
休養が終わった。
初めての世界、初めての空、初めての街、とても有意義な体験だった。
アストレアに行った時は、最初のハーピー種、アラクネ種、アシダカ種ということで、人だかりができて、とても恥ずかしかった。
アストレアの空は、あの日以来だったけど、とても美しくて感動した。
楽しかった休養は終わってしまったけれど、またククリさんの部屋に来られるのも楽しみで仕方がなかった、またここにこられるのが嬉しかった。
「失礼します。ミヅキです」
「どうぞー。
おかえり、その顔だと満喫してきたようだね。
おいでー」
ククリさんが、抱きしめてくれた。
やっぱりこの人は暖かい。
この温もりを感じると、帰ってきたって気持ちになれる。
「今日は座学だから、適当にお茶入れて楽にしてね。
資料はその端末に入ってる」
「はい」
私は自分用のカップにお茶れて、テーブルについて、端末を開いた
「間に合わないかなーとおもったけど、ようやく君の特殊言語の言語体系が完成したよ。これで私も安心して、相談係のお婆ちゃんができる。
今日からは、各種法術の基礎理論について実践を交えながら指導するね。しっかり頭と体に叩き込んでおくんだよ。復習も忘れずに、覚えた法術式は毎日しっかり詠いなよ」
「はい、よろしくお願いします!」
……
講義がひと段落して、休憩をとっていた。
「あの、質問してもよろしいでしょうか?」
「なあに?」
「私の特殊言語とアシダカの固有言語はかなり異なるようですけど、どうしてでしょうか?」
「どっちを歌ってみて気持ちが良い?」
「私の特殊言語です、すごく楽しいです」
「そういう理由。アシダカの固有言語は、今後、他のアシダカ種の標準言語になるからそれを覚えてないと、同種族のお友達ができなくなる」
「なるほど、そういう事なのですね」
「2つ覚えるのは大変?」
「いえ、両方ともすんなり入ってきます。外国語得意じゃないのにどうしてかな?」
「それは、君の母国語みたいなものだからだね。どちらもね。
体がそういう風にできちゃってるの」
「そうなのですか、不思議な感覚です」
「気の早い話だけど、アストレアは高性能な新種族を選抜してラフィノス族に向かい入れるつもりみたいだよ?」
「アシダカ種も入ってるって事ですか?」
「確実に入るだろうね。
特に、アシダカ種は人狼より強力な種族だから前線に配備される確率が高いだろうね」
「私も含まれているのでしょうか?」
「いや、君はルーノ族だから大丈夫。ルーノ族の戦士の一人として扱われるだろうけど、ニダヴェリールはユグドラシルほど危険な大地ではないから、外界任務でもない限り前線に配備されることはないとおもうよ」
「外界任務の可能性はありますか?」
「あるだろうね。アストレアは人手不足だから、なんだかんだで、ルーノ族が駆り出されているよ」
「ルフィリアさん、そういう話しないから全然わからなかったけど、とても大変な仕事をなされているのですね」
「うん。最近は、強い種族が台頭してきて、まともに戦っても無駄に殺されるだけなのに、ヒューマノイドたちはこぞって戦闘性能の高い種族への転生をしたがるのが、私には不思議なのだよね。
生き残る確率の高い種族が、戦闘性能の高い種族とは限らないし、なまじ戦闘力に自信があると、それに頼って、生き延びることよりも敵を倒す方法ばかり考えるようになる。
強力すぎる相手にとっては、都合のいい標的だよね」
「たしかにそうですね。どんなに上を目指してもどうやっても届かない相手っていますよね」
「実体験?」
「はい」
「そうか、やっぱり、君は見込みのある子だね」
「そうですか?」
「うん、これからアシダカ種は性能以上にもてはやされるだろうけど、そんなのなんの意味もないからね。それを鵜呑みにしたら自分の死期を早めるだけだよ。
どんな時でも知覚を鋭敏にして、つねに生き延びる道を探し続けるんだ。
是弱な生物にとってそれが最後の生命線だからね」
「この世界にきて、自分の是弱さが身にしみてわかりました。
まわりはバケモノだらけでしたからね。
ルカティアさんから『ヒューマノイドとしてできるだけ早く死ね』ってアドバイスされたときは、絶望しましたよ」
「ルカティアは優しい子だから、その状況では一番の選択肢だとおもったのだろうね」
「たしかに……それ以外は奴隷とか実験動物ですものね……」
「私が君に教えられることは、生きる残るために抵抗する手段だから、それ以上のことは考えちゃだめだよ? それを身につけても抗えないほど理不尽な化け物はたくさんいるからね。どんな時でも、できるだけ危険には近づかないことに徹するんだ。何をすることが一番安全かを見極めなよ。そのことは絶対に忘れちゃダメだからね」
「はい」
「じゃ、続きをしよっか?」
「よろしくお願いします」
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