ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

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イサナミの書

刹那(せつな)#7

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────ウル(人狼ルガルロデリク種、ロデリク族・族長、宮廷顧問第二席)



「ククリ、邪魔する」

「……」

「なんだ? どうした?」

「何故、窓から?」

「お前、俺を、出禁にしたろ?」

「してませんよ、結界でも張られてるのですか?」

「ああ。ロクシーか?」

「あー、以前、ルカの担当なのに、私のところにくるからその件かな?」

「そーいや、そんなこともあったな」

「……えーっと、解除し忘れてたみたいです。解除したそうですよ」

「あいつも天然だからな」

「あはは。でも、何かあったのですか?」

「いあ、ルカティアがロデリクのアシダカとアラクネを面白くしてくれたから、礼を言いにきた」

「わざわざすみません。でもルカの手柄ですよ?」

「しってるよ。でもお前の口添えだって聞いてるからな」

「それで、イサナギはまだ解禁にならねぇのか?」

「興味津々ですね。もしかしてルカが見せちゃいました?」

「いあ、ちゃんと隠してるから安心していいぞ。でも、すでに雰囲気が只者じゃねぇ。あいつは忙くて遊び相手に誘えねえから、エリューデイルと一緒に首を長くしてまってるよ。まるで情報が流れて来ねーしな。まだむりなのか?」

「ほとんど整備されていますが、ルーテシアのチェックがかなり厳しくて、こまかな手直しがまだおおいですね。もうすこし我慢してください。いまは、微調整が必要なのところがあるので手直しています。ただ、現状は習得難易度がたかすぎるので初版が解禁されても手を出せる人はほとんどいないでしょうね。まだその対策は手つかずです」

「純粋な月影つきかげならいけるんだよな?
 それだけ解禁はできねぇのか?」

「ルーテシアの承認が下りないとダメです。ほぼ問題ないと思ってますけど、私とは視点が違いますからね。多少手直しが入るでしょうね。いつ頃解禁できるかは、ルーテシアじゃないとわかりません。私はいつ承認がおりてもおかしくないと思ってますけど、ルーテシアはルシーニア以上の完璧主義者だからなかなか厳しいですよ」

「もうじき、解禁て考えておけばいいのか?」

「……おそらく」

「それだけ確認できれば十分だ、楽しみにしてるからな」

「実際に見ていただくまでは、期待に添えるかわかりかねます」

「それは問題ない。この部屋も半端なくやばい香りがするからな」

「そうですか?」

「お前のお側付きをロデリクに持ち帰ってもいいか?」

「だめですよー。ルシーニアに叱られますよ?」

「ルカティアで指導できるのか?」

「問題ありません」

「ミユキの方が面白そうに仕上がってる気がするけどな」

「ルカのほうが上級者ですよ」

「ミヅキは当分無理なんだって?」

「ええ、アシダカはヴェルキエーレ任せですからね」

「アラクネとアシダカ、一時的に力関係が変わりそうだな」

「まぁ、そうでしょうね。一番整備されてるのは、人狼ルガルとアラクネですから」

「それ以外は、まだ先か?」

「修練はできますけど、育成環境が整備しきれないので育成時間にかなりの差が出るとおもいます。そちらは、ルカとリエルに任せちゃってます」

「おまえの仕事が、微調整だけってことはねえだろ?」

「どうして、そんなに鋭いのです? まいったなー」

「何をやってる、教えろよ」

「〝影の世界〟を創造してます」

「なんだそりゃ?」

「影の世界の草案を見たルーテシアに、門外不出・発禁指定されました」

「……すげーおもしろそうだな!」

「はい、だから、仕事を早く終わらせて、熱中してるのです。ゼディー達が知りたい領域もその先にありますから、一番期待されている研究テーマですよ」

「もしかして、月影つきかげ限定か?」

「ええ。ほかの特性には不要な技能ですからね。純粋な月影つきかげは弱点が多すぎるので、その救済措置みたいなものです。ただし、習得には命の危険が伴うのでルーテシアから目をつけられているのですよ。イサナギの体系からも完全に外れてますから余計です。
 広めたら叱られるどころでは済まないでしょう。遊び半分で手を出したらほぼ確実に再起不能になるか死ぬかのどちらかですからね」

「いつ見せてもらえる?」

「イサナギの初版が解禁されたら時間をつくってロデリクに遊びに伺いますよ」

「そっちの方がたのしみだ」

「ほんとに、内緒にしてくださいね」

「まかせろ」

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