ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

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ヴェルキエーレの帰還#2

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────ルカティア(人狼ルガルルーノ種、呪詛の泉フヴェルゲルミル守人もりと、ニダヴェリール宮廷特務機関・長官)


 大地の統合が終わるより先に、ヴェルキエーレの帰還組が、ニダヴェリールに引っ越して来た。

 イサナミ自治区関連の対応で忙しくなりそうなので、先に引き揚げさせてもらったのだ。
 
 本人達も、最近、少し息苦しく感じ始めて来たアストレアよりも、ニダヴェリールでのびのび過ごせる方が性に合っていると嬉しそうにしていた。
 グラミアはまだしも、クラウソラスまで同意見なのがとても意外だった。

 ククリさんが懸念していたヴェルキエーレの処遇の問題がすでに現れ始めているのだろうか。

 ヴェルキエーレには、とりあえず、皆を即死させないように厳重注意しておいた。
 攻撃法術一つとっても桁違いの出力なのだ。
 軽く遊んでいるつもりでも、皆、即死するということだけは理解させないと危険すぎるからだ。

 ヴェルキエーレ専用の訓練所は、ニブルヘイムとムスペルヘイムに設置されている。

 ここには、ルークとゼディーが実験で作った、かなり強力な化け物が大量に隔離されているのだ。

 好きに戦闘して良いことになっている。
 命の保証はしないので、自己責任でやるようにとのことだった。

 この施設はウルさんとククリがたまに利用するくらいだったので、化け物が減らずに困っているらしい。とくに最高ランクの化け物を早く処分してほしいとのことだった。

 早速、グラミアが、最高ランクの化け物に挑戦してみたが、すぐに緊急離脱装置に逃げ込んでしまった。
 さすがのクラウソラス達も外で見てて肝を冷やしていた。
 傍目から見ても、かなりやばい化け物が揃っていることだけはよくわかった。

 あとでククリに聞いて見たら、ウルさんもククリも倒すことは考えず、逃げたりトラップで追い詰めたりする練習に利用しているとのことだった。

 力任せで挑んでもどうにかなる相手ではないらしい。

 二人とも中級から上級ランクの化け物を相手にして逃げる練習をしているそうだ。
 メイリンですらまだ初級ランクで苦戦しているといっていたので、人狼ルガルには敷居が高そうだった。

 私も初級ランクを試して見たがかなりの苦戦を強いられた。終始、生きた心地がしなかった。下級ランクの化け物ですら逃げ切れるイメージがまるで湧かなかったのだ。

 ウルさんは中級ランクの化け物までは殺せるようになったらしい。
 あの人もかなりの規格外の化け物だ。

 ククリさんは下級ランクでも殺すのは無理だといっていたが、ククリさんの〝無理〟は、面倒なことを無理してまでやりたくないという意味なので、もしかしたら、時間をかければ上級ランクでも倒せるのかもしれない。実際ククリさんの戦闘記録には5分以上の戦闘がない。あくまでも研究のためのデータ取りといった感じだ。
 
 たまにルークとゼディーがやって来て、最高ランクを含む溜まった化け物をまとめて解放して瞬殺しているそうだ。

 その仕事をはやくヴェルキエーレに任せたいといっていた。
 要求レベルが高すぎて、ヴェルキエーレたちも困惑していた。

 ヴェルキエーレの精鋭でも、今は、中級ランクでかなり苦戦している状況らしい。
 ルシオーヌは、下級ランクで苦戦しているようだ。
 戦闘の練度をかなり上げないと倒せない相手らしい。

 ヴェルキエーレ達は、ウルさんとククリの戦闘データを分析していろいろと研究している。

 戦闘の練度という観点では二人にはまだまだ及ばないようだ。
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