ブルー・クレセンツ・ノート

キクイチ

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バーバリアン

イサナギ自治区#2

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────エキドナ(人狼ルガルアルデバドス種、アルデバドス族、アストレア宮廷第二補佐官専属秘書官、アースバインダー)


 結局、カグツチの修練には参加させてもらえなかった。

 まだ研究中の技能であり、前提条件もかなり厳しく、イサナギの修練目的での参加は遠慮して欲しいと断られてしまったらしい。技能の研究が完成してから、開示と指南をしてくれることになっているが、見通しが立っていない状況らしい。


 そんな時だった、新種族のコロニーをもれなくイサナギ自治区化してしまおうという、大胆な提案が可決したのは。

 これはチャンスだ。
 アルデバドス勢のみんなはそう思っていたのだろう。
 私もその一人だった。

 しかもなんと、ガイゼルヘルが実行副委員長を務めることに決まったのだ。
 そして、アストレア側の指導者が圧倒的に足りないということで、私も含めた専属秘書官のみんなもニダヴェリールの特務の指南を受けられることに決まったのである。
 他のアルデバドス勢からも中級者から十数名ほど参加することが決まった。
 ブリュンヒルデとグードルーンもちゃっかり参加していた。

 ラフィノス勢は、実行委員長にシュタルフディードが就任しており、特務の指南には各コロニーの代表者が参加することになっている。
 各コロニーのインフラ整備関連は、イサナミ自治区設立の実績のあるフレドライヒが責任者に任命された。

 特務からはミヅキ、カツラ、アカネ、ユキナが指導してくれることになっている。
 対象人数が多いのでルーノ族の上級シャーマン、ロデリク・アストレアで刹那せつなに到達している者も指導に加わってくれるらしい。
 
 当面、ニダヴェリールに通いになるが、とても期待している。

 
 ……


 ニダヴェリールの特務の娘達は手慣れたもので、各種観測装置を使いながら、参加者の個々の状況を分析し、適切な指導方法を適宜修正しながら各指導者に情報共有して行っていた。

 私は、ユキナに師事することになった。
 ユキナは特務の末席とのことで、ちょっと残念な気持ちで指南してもらったが、とてつもなく指導が上手で驚いてしまった。これで末席とかニダヴェリールの特務ってどれだけレベルが高いの? と思った。

 今までの苦労が嘘のように、毎日楽しく修練が進み、あっという間に上級者になってしまった。しかし、上級者になるだけでは今回の任務では足りないので、次は指導方法の指南を受けた。

 その頃には、コロニーのインフラが整備されていたので、コロニーの代表者達と一緒に、そのコロニーの水面みなもの山に常駐して住民の指導を行うことになった。
 しかも、かなり強力な自警団を組織させないといけないので、コロニーの代表者達と連携しながら自警団の育成も行わねばならなかった。

 指導に困ったときは、ユキナに相談した。
 そのころにはすっかり仲良しになっていた。


 ……


 最初のコロニーの水面みなもの山の体制が整うと、次のコロニーに移って指導をおこなった。最終的には5つのコロニーの体制整備を手伝うことになった。

 そして、今後、担当したコロニーで水面みなも関連で困ったことがあった場合は、私がアストレアの相談窓口になることに決まった。

 最初の頃は頻繁に呼び出されてとても忙しかったが、充実して楽しかった。

 そのうち落ち着いてきたようで、定例報告のみになり、少し寂しさを覚えた。

 ここまで来るのにかなりの時間を要したが、順調にイサナギ化が進められたようで、程なく任務完了となった。

 相談窓口の担当は今後も継続されるそうだ。

 最近のアースバインダーの親睦会での大会は、アルデバドス勢が盛り返しつつある。しかし、ラフィノス勢は猛者揃いなので、なかなか切り崩せずにいる。
 皆がハイレベルになっているので、上位の狙うのはなかなか難しい。
 だが、着実に順位を挙げられているのはユキナのおかげだ。

 プライベートで、ユキナに相談できるようになったのでとてもありがたかった。
 でも、ユキナに付き纏うとカツラが怖いので程々にしている。


……


 私はククリの執務室に遊びに来ている。

「やっほー、ククリ」

「やぁ、エキドナ。機嫌良さそうだね」

「そりゃーもう、おかげさまで、無事任務が完了しちゃったからねー」

「それはよかった。ヒルデブラントさんも安心して引退できそうだね」

「まだ早いって、まだまだ頑張ってもらわないと」

「まぁ、そうか。まだまだ元気にやれそうだね」

「そうだ、ユキナのことありがとね、師事させてくれたのククリなのでしょ?」

「ちがうよ。水面みなもの指導者は少ないんだ。
 最上級の技能までちゃんと指導できるのはユキナだけだったからだよ」

「そうなんだ。でも素敵なお友達ができちゃった」

「それはよかったね。でも、うざったく纏わりついて仕事の邪魔しないようにね」 

「わかってる。カツラが怖いから、どちらにしてもまとわりつけない」

「ならいいか。ガイゼルヘルさんは大丈夫そう?」

「うん。最近は、アルデバドス族のアースバインダー達が協力的になってきたから、板挟みにならずに済んでるみたい」

「次期族長に名乗りでもあげるのかな?」

「どうだろう、ヒルデブラントはガイゼルヘルを族長にしたがってるね」

「じゃぁ、副族長に就任するのも時間の問題か」

「まだ、そこまでは支持されていない感じかな」

「足を引っ張ってる子がまだいるの?」

「あからさまなのはなくなったけど、まだちょっとあるからね」

「難しいものなんだね。まぁ、それだけでも大進歩だとおもうけど。
 ヒルデブラントさんが指名しちゃえば従うしかないでしょ?
 早めに手を打たないと、ラフィノスに引き込まれちゃうかもよ」

「ヴォールフデイルならありうるね……。
 ヒルデブラントに釘刺しておこうかな」

「どちらがガイゼルヘルさんにとって、よい選択なのかわからないけどね。
 仲間内では、そういう話しないの? ってしなさそうだね君たちの一派は」

「まぁ、確かに……」

「一度くらいはそういう話しておいた方が良いかもね。
 ガイゼルヘルさんは下っ端扱いされていいような人じゃないのだから。
 もしかしたら、ラフィノスはもう動いていたりして」

「なんだか不安になってきた。
 帰ってガイゼルヘルにきいてみる。
 またねー」

「はいはい」


 
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