2 / 9
守りたかったもの…それは…
しおりを挟む
優馬とは幼馴染であり、ずっとお隣さんだった。彼の両親も私の両親も仲が良く、まるで一つの大家族のようだと……そう思っていた。ある事を除いて。
私は優馬を兄弟だと思えなかった。優馬のお姉ちゃんはすぐに思えたのに、優馬だけは違った。好きだけど、それだけじゃなかった。
それは小さい頃からずっと続いて……、中3になってようやく優馬に対する気持ちの名前がわかった。
私は優馬に恋していた。
その気持ちは伝えなかった。伝えたらこの関係が終わってしまう。家族ですら無くなってしまうのではないかと思ったから。だから私は自分の気持ちに蓋をした。溢れ出てこないように何重にも。
運命が変わったのは高校の1年の時だった。あの時の私は天狗になっていたのだと思う。頭脳明晰、成績優秀、文武両道。周りの人はそう私を褒めてくれた。慕ってくれた。そんな私の周りには多くの人がいた。けれど、そこに優馬はいなかった。教室の端で静かに本を読んでいる。私のことは見ていなかった。
それでも私は優馬との時間を作りたかった。優馬に対する恋心はずっと続いていたから。朝早起きして、頼まれてもいないのに優馬を起こしに行ったり、朝一緒に登校したり、帰りを待って下校したりした。
そんな事をしていると当然誰かに聞かれる。
「明美さんは彼と付き合っているの?」
「付き合っていない」そう言えばいいだけだった。もしくは片思いだと告げる……いや、これも悪手か。幼馴染、家が近所。そう言えばいいだけだったのに……私は優馬に自分の気持ちを知られるのを怖がった。
「違うよ。昔からずっとついて来るの。今はストーカーみたいなものよ」
その瞬間、運命は定められた。
私は弱かった。どうして自分を上げようと思ったのか、優馬を悪者に仕立てようと思ったのかわからない。
ただわかったのは、このクラスで優馬が虐めの対象になったことだけだった。
私はそれを止めるべきだった。止めさせられるのは私だけだったのに……怖かった。
今の教室の惨劇を引き起こしたのが自分の言葉だという事を自覚して、あれが嘘だとバレたら? 今度ああなるのは私だと思うと、止めることができなかった。見ないふりをした。
優馬を見ると心がズキズキした。それは罪悪感かもしれない。だから私は優馬を見ないふりをした。
優馬は何も言わなかった。家族の行事で顔を合わせても、何も言わない。親の前では昔のような関係が続いていた。優馬は学校では見せない笑顔だった。だから、私は許されていると、そう思っていた。いや、信じたかったのだと思う。優馬は私を許してくれると。
あの日までは本当にそう信じていた。
私は優馬を兄弟だと思えなかった。優馬のお姉ちゃんはすぐに思えたのに、優馬だけは違った。好きだけど、それだけじゃなかった。
それは小さい頃からずっと続いて……、中3になってようやく優馬に対する気持ちの名前がわかった。
私は優馬に恋していた。
その気持ちは伝えなかった。伝えたらこの関係が終わってしまう。家族ですら無くなってしまうのではないかと思ったから。だから私は自分の気持ちに蓋をした。溢れ出てこないように何重にも。
運命が変わったのは高校の1年の時だった。あの時の私は天狗になっていたのだと思う。頭脳明晰、成績優秀、文武両道。周りの人はそう私を褒めてくれた。慕ってくれた。そんな私の周りには多くの人がいた。けれど、そこに優馬はいなかった。教室の端で静かに本を読んでいる。私のことは見ていなかった。
それでも私は優馬との時間を作りたかった。優馬に対する恋心はずっと続いていたから。朝早起きして、頼まれてもいないのに優馬を起こしに行ったり、朝一緒に登校したり、帰りを待って下校したりした。
そんな事をしていると当然誰かに聞かれる。
「明美さんは彼と付き合っているの?」
「付き合っていない」そう言えばいいだけだった。もしくは片思いだと告げる……いや、これも悪手か。幼馴染、家が近所。そう言えばいいだけだったのに……私は優馬に自分の気持ちを知られるのを怖がった。
「違うよ。昔からずっとついて来るの。今はストーカーみたいなものよ」
その瞬間、運命は定められた。
私は弱かった。どうして自分を上げようと思ったのか、優馬を悪者に仕立てようと思ったのかわからない。
ただわかったのは、このクラスで優馬が虐めの対象になったことだけだった。
私はそれを止めるべきだった。止めさせられるのは私だけだったのに……怖かった。
今の教室の惨劇を引き起こしたのが自分の言葉だという事を自覚して、あれが嘘だとバレたら? 今度ああなるのは私だと思うと、止めることができなかった。見ないふりをした。
優馬を見ると心がズキズキした。それは罪悪感かもしれない。だから私は優馬を見ないふりをした。
優馬は何も言わなかった。家族の行事で顔を合わせても、何も言わない。親の前では昔のような関係が続いていた。優馬は学校では見せない笑顔だった。だから、私は許されていると、そう思っていた。いや、信じたかったのだと思う。優馬は私を許してくれると。
あの日までは本当にそう信じていた。
0
あなたにおすすめの小説
ビジネス溺愛疑惑の婚約者をただいま観察中
雨野千潤
ファンタジー
自分の前で婚約者キャンディアが演じていると感じた主人公リオンは、彼女のことを心の底から信頼することが難しくなってしまう。彼女の「大好き」という言葉すら嘘っぽく感じてしまって…。
そんな折、二人の通う学園が魔物に襲われてしまい…。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
毒姫の婚約騒動
SHIN
恋愛
卒業式を迎え、立食パーティーの懇談会が良い意味でも悪い意味でもどことなくざわめいていた。
「卒業パーティーには一人で行ってくれ。」
「分かりました。」
そう婚約者から言われて一人で来ましたが、あら、その婚約者は何処に?
あらあら、えっと私に用ですか? 所で、お名前は?
毒姫と呼ばれる普通?の少女と常に手袋を着けている潔癖症?の男のお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる