【短編完結】間違え続けた選択肢

白キツネ

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残ったものは

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「明美ちゃん……大丈夫?」
「……うん」

 私を心配してくれるのはゆずねぇ……優馬のお姉ちゃんの柚葉さん。自分だって苦しいのに、私の事も心配してくれる、とても優しいお姉ちゃん。

 あの後すぐに救急車を呼んだけれど、優馬はそのままなくなってしまった。打ちどころが悪かったらしい。
 あそこにレンガがなければもしくは……警察の人がそう言っていたけれど、そんな事はどうでもよかった。
 
 優馬が死んだ。

 その事実が私を苦しめる。優馬は最後に私を呼んだ。
 それはどうして?

 その答えを私はもう知っている。ううん、見せつけられている。言葉として、行動として突きつけられている。
 優馬は私をずっと憎んでいたんだ。あの時からずっと、それを耐えて耐えて耐えて、とうとう耐えきれなかった。私が何も変わらなかったから。変わろうともしなかったから。

 あの時、誰かが付き合っているのか聞いてきたのが悪い? 違う。
 優馬を庇う人が居なかったから? 違う!
 優馬があの時否定してくれなかったから? 違う、違う!

 全部、全部私が悪いの。あの時、あの選択をした。後悔した。けれど、そこから何もしなかった! 間違った選択をし続けたから優馬は……優馬は……

「……ちゃん! 明美ちゃん! 聞こえてる!? 明美ちゃん!」
「ッ! はい!」
「よかった……。顔を真っ青にして呼びかけても返事がなかったから心配しちゃった。明美ちゃんは少し休憩してきなさい」
「……はい」

 遺品整理をしていた手を止め、ゆずねぇの言う通り、家に帰って眠りについた。
 あの部屋に何があるか知らずに……

 目が覚めると朝だった。家に帰ったのは夕暮れ時だったから、ずっと眠ってしまっていたみたい。ふと、隣の家を見て見ると優馬の部屋の電気がついたままだった。

 まだやっているのかな? それなら手伝いに行かないと……
 お腹は空いていたけど、優馬の事を考えるとそれほど気にならなくなる。

 家の前でインターホンを鳴らす。

「……はい」

 出てきたのはゆずねぇだった。珍しい。いつもは決まっておばさんなのに……まだ寝ているのかな? それなら悪い事をしたと思いつつも、今から帰るのも何か違うと思い、要件を告げる。
 
「明美です。昨日はずっと眠ってしまっていたみたいで……まだやっているみたいなので手伝いに来ました」
「……そう。少しそこで待ってて」

 いつもより暗いトーン。眠たいのか、それとも優馬との思い出に浸っていたのかな。そう思いながらインターホンの前で言われたように待つ。
 チラリと見える庭にはまだレンガが置かれている。それを見るとまた涙が溢れそうになる。

 ガチャ……

 玄関ドアがゆっくりと開けられる。扉を開けたゆずねぇは泣き腫らした目をしていた。

「ゆずねぇだいじょ「その名前で呼ばないで!」う……ぇっ」
「よく顔を出せたね。まだ優くんを苦しめたいの? もうあなたに優くんに関わらせる事はしないから! もう二度と私にも、お母さんたちにも顔を見せないで!」

 ドンッ

 ゆずねぇは思いきりドアを閉める。私はただその光景を呆然と見ている事しかできなかった。
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