4 / 9
残ったものは
しおりを挟む
「明美ちゃん……大丈夫?」
「……うん」
私を心配してくれるのはゆずねぇ……優馬のお姉ちゃんの柚葉さん。自分だって苦しいのに、私の事も心配してくれる、とても優しいお姉ちゃん。
あの後すぐに救急車を呼んだけれど、優馬はそのままなくなってしまった。打ちどころが悪かったらしい。
あそこにレンガがなければもしくは……警察の人がそう言っていたけれど、そんな事はどうでもよかった。
優馬が死んだ。
その事実が私を苦しめる。優馬は最後に私を呼んだ。
それはどうして?
その答えを私はもう知っている。ううん、見せつけられている。言葉として、行動として突きつけられている。
優馬は私をずっと憎んでいたんだ。あの時からずっと、それを耐えて耐えて耐えて、とうとう耐えきれなかった。私が何も変わらなかったから。変わろうともしなかったから。
あの時、誰かが付き合っているのか聞いてきたのが悪い? 違う。
優馬を庇う人が居なかったから? 違う!
優馬があの時否定してくれなかったから? 違う、違う!
全部、全部私が悪いの。あの時、あの選択をした。後悔した。けれど、そこから何もしなかった! 間違った選択をし続けたから優馬は……優馬は……
「……ちゃん! 明美ちゃん! 聞こえてる!? 明美ちゃん!」
「ッ! はい!」
「よかった……。顔を真っ青にして呼びかけても返事がなかったから心配しちゃった。明美ちゃんは少し休憩してきなさい」
「……はい」
遺品整理をしていた手を止め、ゆずねぇの言う通り、家に帰って眠りについた。
あの部屋に何があるか知らずに……
目が覚めると朝だった。家に帰ったのは夕暮れ時だったから、ずっと眠ってしまっていたみたい。ふと、隣の家を見て見ると優馬の部屋の電気がついたままだった。
まだやっているのかな? それなら手伝いに行かないと……
お腹は空いていたけど、優馬の事を考えるとそれほど気にならなくなる。
家の前でインターホンを鳴らす。
「……はい」
出てきたのはゆずねぇだった。珍しい。いつもは決まっておばさんなのに……まだ寝ているのかな? それなら悪い事をしたと思いつつも、今から帰るのも何か違うと思い、要件を告げる。
「明美です。昨日はずっと眠ってしまっていたみたいで……まだやっているみたいなので手伝いに来ました」
「……そう。少しそこで待ってて」
いつもより暗いトーン。眠たいのか、それとも優馬との思い出に浸っていたのかな。そう思いながらインターホンの前で言われたように待つ。
チラリと見える庭にはまだレンガが置かれている。それを見るとまた涙が溢れそうになる。
ガチャ……
玄関ドアがゆっくりと開けられる。扉を開けたゆずねぇは泣き腫らした目をしていた。
「ゆずねぇだいじょ「その名前で呼ばないで!」う……ぇっ」
「よく顔を出せたね。まだ優くんを苦しめたいの? もうあなたに優くんに関わらせる事はしないから! もう二度と私にも、お母さんたちにも顔を見せないで!」
ドンッ
ゆずねぇは思いきりドアを閉める。私はただその光景を呆然と見ている事しかできなかった。
「……うん」
私を心配してくれるのはゆずねぇ……優馬のお姉ちゃんの柚葉さん。自分だって苦しいのに、私の事も心配してくれる、とても優しいお姉ちゃん。
あの後すぐに救急車を呼んだけれど、優馬はそのままなくなってしまった。打ちどころが悪かったらしい。
あそこにレンガがなければもしくは……警察の人がそう言っていたけれど、そんな事はどうでもよかった。
優馬が死んだ。
その事実が私を苦しめる。優馬は最後に私を呼んだ。
それはどうして?
その答えを私はもう知っている。ううん、見せつけられている。言葉として、行動として突きつけられている。
優馬は私をずっと憎んでいたんだ。あの時からずっと、それを耐えて耐えて耐えて、とうとう耐えきれなかった。私が何も変わらなかったから。変わろうともしなかったから。
あの時、誰かが付き合っているのか聞いてきたのが悪い? 違う。
優馬を庇う人が居なかったから? 違う!
優馬があの時否定してくれなかったから? 違う、違う!
全部、全部私が悪いの。あの時、あの選択をした。後悔した。けれど、そこから何もしなかった! 間違った選択をし続けたから優馬は……優馬は……
「……ちゃん! 明美ちゃん! 聞こえてる!? 明美ちゃん!」
「ッ! はい!」
「よかった……。顔を真っ青にして呼びかけても返事がなかったから心配しちゃった。明美ちゃんは少し休憩してきなさい」
「……はい」
遺品整理をしていた手を止め、ゆずねぇの言う通り、家に帰って眠りについた。
あの部屋に何があるか知らずに……
目が覚めると朝だった。家に帰ったのは夕暮れ時だったから、ずっと眠ってしまっていたみたい。ふと、隣の家を見て見ると優馬の部屋の電気がついたままだった。
まだやっているのかな? それなら手伝いに行かないと……
お腹は空いていたけど、優馬の事を考えるとそれほど気にならなくなる。
家の前でインターホンを鳴らす。
「……はい」
出てきたのはゆずねぇだった。珍しい。いつもは決まっておばさんなのに……まだ寝ているのかな? それなら悪い事をしたと思いつつも、今から帰るのも何か違うと思い、要件を告げる。
「明美です。昨日はずっと眠ってしまっていたみたいで……まだやっているみたいなので手伝いに来ました」
「……そう。少しそこで待ってて」
いつもより暗いトーン。眠たいのか、それとも優馬との思い出に浸っていたのかな。そう思いながらインターホンの前で言われたように待つ。
チラリと見える庭にはまだレンガが置かれている。それを見るとまた涙が溢れそうになる。
ガチャ……
玄関ドアがゆっくりと開けられる。扉を開けたゆずねぇは泣き腫らした目をしていた。
「ゆずねぇだいじょ「その名前で呼ばないで!」う……ぇっ」
「よく顔を出せたね。まだ優くんを苦しめたいの? もうあなたに優くんに関わらせる事はしないから! もう二度と私にも、お母さんたちにも顔を見せないで!」
ドンッ
ゆずねぇは思いきりドアを閉める。私はただその光景を呆然と見ている事しかできなかった。
0
あなたにおすすめの小説
ビジネス溺愛疑惑の婚約者をただいま観察中
雨野千潤
ファンタジー
自分の前で婚約者キャンディアが演じていると感じた主人公リオンは、彼女のことを心の底から信頼することが難しくなってしまう。彼女の「大好き」という言葉すら嘘っぽく感じてしまって…。
そんな折、二人の通う学園が魔物に襲われてしまい…。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、寺内勇人は高校三年生。妹の茜は高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
毒姫の婚約騒動
SHIN
恋愛
卒業式を迎え、立食パーティーの懇談会が良い意味でも悪い意味でもどことなくざわめいていた。
「卒業パーティーには一人で行ってくれ。」
「分かりました。」
そう婚約者から言われて一人で来ましたが、あら、その婚約者は何処に?
あらあら、えっと私に用ですか? 所で、お名前は?
毒姫と呼ばれる普通?の少女と常に手袋を着けている潔癖症?の男のお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる