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私の本性は…
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あの後私は部屋に引きこもった。部屋の電気もつけず、ベッドにダイブして目を瞑る。するとすぐに思い浮かぶ。
昨日まではあんなに優しかったゆずねぇが、今すぐ私を殺したい。そう思っているかのように睨みつけてきたあの目を。
優馬の事を誰かが話したのだろうか? それとも優馬が何かを残していたのか。少なくとも昨日、私が眠ってしまっていた間に何かがあったんだと思う。
優馬は私をもっと苦しめたいらしい。それは私が優馬をこれまで苦しめ続けた分の仕返しなのだろう。
「明美……少し話があるの」
「どうしたの? 話ならここでも「いいから! 下に来て頂戴」……? わかった」
母の後を付いて行き、いつものリビングにたどり着く。席には既に父が座っていた。
「単刀直入に聞くわ。あなた、優馬君にどんなひどい事を言ったの?」
言ったのか、言ってないのかではなく、何を言ったのか。つまり、お母さんは私が優馬にした仕打ちを全部分かった上で私の話を聞こうとしてくれている。
不謹慎だけど、そんな家族の行動に少し元気づけられた。
「……そう」
私が優馬にやってしまったことを全て両親に話した後に母がそれだけ呟いてまた深刻そうな顔をする。
私は胸の内を全部吐露できたからか、以前よりも気持ちが軽く感じていた。
「やはり、それがあなたの本性みたいね」
「! ゆずねぇ……」
「そう呼ばないでって言ってるでしょう。おじさんとおばさんが話をするって言うから聞かせてもらっていたけど、やっぱりあなたは優くんの事なんてなんとも思っていない」
「そんなことありません!」
そんなことはない。私はずっと優馬の事を……
「ならどうして、今ホッとしたような顔をしたの? あなたのせいで優くんが自殺したの。わかってる? あなたが追い詰めたの。それを……」
確かにずっと重圧に感じてた事が少し軽くなった気がする。けど! それは誰かに話せたからであって、優馬の事を考えてない訳じゃない! このことに関しては相手がゆずねぇでも譲れなかった。
「何か言いたい事がありそうな顔ね。じゃあこれを読んでもう一度聞こうかしら。あなたが私に言いたい事を」
そう言ってゆずねぇから渡されたのは、表紙がマーカーで真っ黒に塗りつぶされたノート。
私はそのノートを開き、吐いた。目を背け続けていたものが一斉に襲いかかってきた感覚だった。
「それで? もう一度聞いてあげる。さあどうぞ?」
吐き続ける私を見下ろすようにゆずねぇは続ける。
「あなたは優くんの事なんてなにも考えてない。自分のことだけ。この時も、今も。それを自覚した?」
違う……私はただ……怖くて……優馬の事が……
「そのノートは1日貸してあげる。読むのも読まないのもあなたの自由。ただ汚さないでよね」
そう言ってゆずねぇが帰っていく背中を見上げることしかできなかった。
昨日まではあんなに優しかったゆずねぇが、今すぐ私を殺したい。そう思っているかのように睨みつけてきたあの目を。
優馬の事を誰かが話したのだろうか? それとも優馬が何かを残していたのか。少なくとも昨日、私が眠ってしまっていた間に何かがあったんだと思う。
優馬は私をもっと苦しめたいらしい。それは私が優馬をこれまで苦しめ続けた分の仕返しなのだろう。
「明美……少し話があるの」
「どうしたの? 話ならここでも「いいから! 下に来て頂戴」……? わかった」
母の後を付いて行き、いつものリビングにたどり着く。席には既に父が座っていた。
「単刀直入に聞くわ。あなた、優馬君にどんなひどい事を言ったの?」
言ったのか、言ってないのかではなく、何を言ったのか。つまり、お母さんは私が優馬にした仕打ちを全部分かった上で私の話を聞こうとしてくれている。
不謹慎だけど、そんな家族の行動に少し元気づけられた。
「……そう」
私が優馬にやってしまったことを全て両親に話した後に母がそれだけ呟いてまた深刻そうな顔をする。
私は胸の内を全部吐露できたからか、以前よりも気持ちが軽く感じていた。
「やはり、それがあなたの本性みたいね」
「! ゆずねぇ……」
「そう呼ばないでって言ってるでしょう。おじさんとおばさんが話をするって言うから聞かせてもらっていたけど、やっぱりあなたは優くんの事なんてなんとも思っていない」
「そんなことありません!」
そんなことはない。私はずっと優馬の事を……
「ならどうして、今ホッとしたような顔をしたの? あなたのせいで優くんが自殺したの。わかってる? あなたが追い詰めたの。それを……」
確かにずっと重圧に感じてた事が少し軽くなった気がする。けど! それは誰かに話せたからであって、優馬の事を考えてない訳じゃない! このことに関しては相手がゆずねぇでも譲れなかった。
「何か言いたい事がありそうな顔ね。じゃあこれを読んでもう一度聞こうかしら。あなたが私に言いたい事を」
そう言ってゆずねぇから渡されたのは、表紙がマーカーで真っ黒に塗りつぶされたノート。
私はそのノートを開き、吐いた。目を背け続けていたものが一斉に襲いかかってきた感覚だった。
「それで? もう一度聞いてあげる。さあどうぞ?」
吐き続ける私を見下ろすようにゆずねぇは続ける。
「あなたは優くんの事なんてなにも考えてない。自分のことだけ。この時も、今も。それを自覚した?」
違う……私はただ……怖くて……優馬の事が……
「そのノートは1日貸してあげる。読むのも読まないのもあなたの自由。ただ汚さないでよね」
そう言ってゆずねぇが帰っていく背中を見上げることしかできなかった。
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