32 / 43
ニア視点
しおりを挟む
ソフィア様とアメリアが楽しそうにしているのを横目に、監視対象であり、一応護衛対象の第一王子の後をつける。
学生であることを忘れた愚か者は城に帰った。報告はこれでいいでしょう。あれはいつになったら勉強をするのでしょうね?まぁ、もう遅いのですが…
「…代わります」
「お願いしますね」
城に着き、護衛の任務を交代する。さて、主人に報告をしましょうか…あれはクリス様?どうしてこちらに、今は勉強の時間では…
少し様子を見ていると、クリス様はもう容赦するつもりはないらしいですね。さて、私もそろそろ行きましょうか。
「お帰りなさい。今日は早いのね」
「はい。ソフィア様に怒声を浴びせたら、ソフィア様以外の方々に言いくるめられて、逃げ帰ってきました」
「あの子も懲りないわね」
「他人事ですね」
「ええ、だって本当に他人だもの。勝手に連れ帰って来た子どもに、学園を卒業するまでは何もするなと言われてもね。ただの浮気の子だと言っているようなものじゃない」
「だから、何をしても庇わず、陛下の地位も下げさせた。今じゃ、ローズ公爵家は陛下に敬意を持っていませんよ?」
「知らないわ。何もするなと言われているのですもの。あの人が全部なんとかするんでしょう?あなたもそれは知っているはずでしょ」
「ええ、知っていますよ。あなた様の側で見ていましたから」
私は孤児院で育ちました。それこそ、アメリアがソフィア様に憧れたように、私もこの方、現王妃であるルルア様に憧れ、彼女の役に立ちたいと思いました。
だからこそ、アメリアを見つけたときはすぐに声をかけました。彼女はまるで昔の私のようだったので、気づいた時には声をかけ、教育をしようと思いました。
話が逸れましたね。ルルア様がこの国のために忙しく働いていた時に、あの男はルルア様以外の女と遊んでいたのです。その女の家は第一王子を支持していた家のどれかでしょう。今はどうでもいいことですね。
「これだけ失態を晒しているのに、未だ庇っているのだもの。笑えるわ。その油断がこの国に不幸をもたらすことは知っているはずなのにね」
「まぁ、その心配はないでしょう」
「そうね。学園を卒業するまでは私も我慢してあげたけど、卒業したらもう知らないわ。私も好きにさせてもらう」
「いえ、ルルア様が手を下す必要もないでしょう」
「?どうして?」
「クリス様はあなた様のお子様であるということです」
「?」
クリス様は、もう第一王子に容赦する気はないようですからね。それに、クリス様は第一王子を処分してこなかった両親にも期待していないのかもしれませんね。
あとで、ルルア様の素晴らしさを叩き込んで、いえ、教えてあげましょう。
「ルルア様、私は主人に相応しいと思っているのは三人います」
「?ええ、私とソフィアちゃんと、あと一人は誰?」
「ルルア様はもう少しクリス様とゆっくりお話をしたほうがいいと思いますよ。では失礼します」
「えっ、ちょっとニア!」
ゆっくりと頭を下げて、気配を消し、部屋から出る。私が主人に相応しいと思った最後の一人はクリス様ですよ、ルルア様。
学生であることを忘れた愚か者は城に帰った。報告はこれでいいでしょう。あれはいつになったら勉強をするのでしょうね?まぁ、もう遅いのですが…
「…代わります」
「お願いしますね」
城に着き、護衛の任務を交代する。さて、主人に報告をしましょうか…あれはクリス様?どうしてこちらに、今は勉強の時間では…
少し様子を見ていると、クリス様はもう容赦するつもりはないらしいですね。さて、私もそろそろ行きましょうか。
「お帰りなさい。今日は早いのね」
「はい。ソフィア様に怒声を浴びせたら、ソフィア様以外の方々に言いくるめられて、逃げ帰ってきました」
「あの子も懲りないわね」
「他人事ですね」
「ええ、だって本当に他人だもの。勝手に連れ帰って来た子どもに、学園を卒業するまでは何もするなと言われてもね。ただの浮気の子だと言っているようなものじゃない」
「だから、何をしても庇わず、陛下の地位も下げさせた。今じゃ、ローズ公爵家は陛下に敬意を持っていませんよ?」
「知らないわ。何もするなと言われているのですもの。あの人が全部なんとかするんでしょう?あなたもそれは知っているはずでしょ」
「ええ、知っていますよ。あなた様の側で見ていましたから」
私は孤児院で育ちました。それこそ、アメリアがソフィア様に憧れたように、私もこの方、現王妃であるルルア様に憧れ、彼女の役に立ちたいと思いました。
だからこそ、アメリアを見つけたときはすぐに声をかけました。彼女はまるで昔の私のようだったので、気づいた時には声をかけ、教育をしようと思いました。
話が逸れましたね。ルルア様がこの国のために忙しく働いていた時に、あの男はルルア様以外の女と遊んでいたのです。その女の家は第一王子を支持していた家のどれかでしょう。今はどうでもいいことですね。
「これだけ失態を晒しているのに、未だ庇っているのだもの。笑えるわ。その油断がこの国に不幸をもたらすことは知っているはずなのにね」
「まぁ、その心配はないでしょう」
「そうね。学園を卒業するまでは私も我慢してあげたけど、卒業したらもう知らないわ。私も好きにさせてもらう」
「いえ、ルルア様が手を下す必要もないでしょう」
「?どうして?」
「クリス様はあなた様のお子様であるということです」
「?」
クリス様は、もう第一王子に容赦する気はないようですからね。それに、クリス様は第一王子を処分してこなかった両親にも期待していないのかもしれませんね。
あとで、ルルア様の素晴らしさを叩き込んで、いえ、教えてあげましょう。
「ルルア様、私は主人に相応しいと思っているのは三人います」
「?ええ、私とソフィアちゃんと、あと一人は誰?」
「ルルア様はもう少しクリス様とゆっくりお話をしたほうがいいと思いますよ。では失礼します」
「えっ、ちょっとニア!」
ゆっくりと頭を下げて、気配を消し、部屋から出る。私が主人に相応しいと思った最後の一人はクリス様ですよ、ルルア様。
11
あなたにおすすめの小説
転生令嬢だと打ち明けたら、婚約破棄されました。なので復讐しようと思います。
柚木ゆず
恋愛
前世の記憶と膨大な魔力を持つサーシャ・ミラノは、ある日婚約者である王太子ハルク・ニースに、全てを打ち明ける。
だが――。サーシャを待っていたのは、婚約破棄を始めとした手酷い裏切り。サーシャが持つ力を恐れたハルクは、サーシャから全てを奪って投獄してしまう。
信用していたのに……。
酷い……。
許せない……!。
サーシャの復讐が、今幕を開ける――。
悪役令嬢が腹黒ヒロインと手を組んだら?
真理亜
恋愛
公爵令嬢のライラは婚約者である第2王子のルドルフのことが大嫌いだった。さっさと婚約破棄したくて堪らなかった。なにせとにかく女癖が悪い上に生来の悪党だからである。婚約破棄に向けて今日も着々とルドルフがやらかした悪事の証拠集めに勤しむ彼女だったが、ある日聞き捨てならない情報を入手する。どうやらルドルフの方もライラとの婚約破棄に向けて何やら企んでいるというものだ。イリナという男爵令嬢を利用してライラを追い詰めようと画策しているらしい。しかもイリナを使い捨てにするつもりらしい。そこでライラはイリナの元を訪れこう言った。
「ねぇ、私と手を組まない?」
☆こちらは別タイトルで投稿していた物を、タイトルと構成をやや変えて投稿し直したものになります。
10日後に婚約破棄される公爵令嬢
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
公爵令嬢ミシェル・ローレンは、婚約者である第三王子が「卒業パーティでミシェルとの婚約を破棄するつもりだ」と話しているのを聞いてしまう。
「そんな目に遭わされてたまるもんですか。なんとかパーティまでに手を打って、婚約破棄を阻止してみせるわ!」「まあ頑張れよ。それはそれとして、課題はちゃんとやってきたんだろうな? ミシェル・ローレン」「先生ったら、今それどころじゃないって分からないの? どうしても提出してほしいなら先生も協力してちょうだい」
これは公爵令嬢ミシェル・ローレンが婚約破棄を阻止するために(なぜか学院教師エドガーを巻き込みながら)奮闘した10日間の備忘録である。
【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!
雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。
しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。
婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。
ーーーーーーーーー
2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました!
なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!
始まりはよくある婚約破棄のように
喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始
【完結】婚約破棄と言われても個人の意思では出来ません
狸田 真 (たぬきだ まこと)
恋愛
【あらすじ】
第一王子ヴィルヘルムに婚約破棄を宣言された公爵令嬢クリスチナ。しかし、2人の婚約は国のため、人民のためにする政略結婚を目的としたもの。
個人の意思で婚約破棄は出来ませんよ?
【楽しみ方】
笑い有り、ラブロマンス有りの勘違いコメディ作品です。ボケキャラが多数登場しますので、是非、突っ込みを入れながらお楽しみ下さい。感想欄でもお待ちしております! 突っ込み以外の真面目な感想や一言感想などもお気軽にお寄せ下さい。
【注意事項】
安心安全健全をモットーに、子供でも読める作品を目指しておりますが、物語の後半で、大人のロマンスが描写される予定です。直接的な表現は省き、詩的な表現に変換しておりますが、苦手な方はご注意頂ければと思います。
また、愛の伝道師・狸田真は、感想欄のお返事が初対面でも親友みたいな馴れ馴れしいコメントになる事がございます。ご容赦頂けると幸いです。
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる