【完結】悪役令嬢とは何をすればいいのでしょうか?

白キツネ

文字の大きさ
39 / 43

23 私の気持ち

しおりを挟む
「さて、あなたの母親がスパイであることはわかったと思いますが、あなたはどうしますか?」

 ルルア様が第一王子に問いかけます。

 ルルア様、厳しいですね。こうなれば選択肢なんてあるようでないようなものじゃないですか。母親が浮気相手の子供というだけでなく、スパイとの子供であるということが知られてしまえば、問題になることは明らかですからね。この国を思うのであれば、自ら死を選びます。少なくとも私ならそうします。

「…俺は何を間違ったんだ…」
「あなたに両親の罪を負えとは言いません。ですが、あなたは王族として、何もしなかった。勉強も武術も、そして、王族としての役目も」
「王族としての…役目……そうだ!」

 さっきまで何やら考え込んでいた第一王子が、急に大声をあげる。なんでしょう、とてつもなく嫌な予感が……

「ソフィア!ソフィアは俺のことが好きなんだよな!今までずっと俺のことを思って言ってくれていたんだろう?なっ、だから、俺と婚約し直してくれ!」

 えーと、嘘ですよね。今まで散々私の話を聞かなかったり、私を悪役に仕立てようとしていたのに……
 アメリア、刃を向けるのはやめなさい。クリス様も剣を抜かないでください!
 お兄様とお父様は、なんで二人とも剣を持っているのですか!もう、みんな落ち着いて…ヒッ

 さっきまで誰もいなかったのに、どうして第一王子の後ろに侍女や執事が並んでいるのですか!それも手にナイフを持っていますし!

 私が必死に首を振っていると、帰ってくれたのですが、まだ面倒な問題が残っていました。

「どうしてだ!何も言わないということは、クリスに脅されているのか!」

 別にあなたに首を振ったわけではありませんし、そうだとしても、どうしてあなたが嫌われているという発想はないのでしょうか?

「ソフィ「…うるさいです」えっ」
「うるさいと言ったのです。私があなたのことを好きであったことなんて一度もありません!私が好きなのは今も昔もクリス様ただ一人です!断じてあなたなんかではありません!」
「なっ」
「大体私があなたを好きになる理由とはなんでしょうか?見た目?それならクリス様の方が良いですよね?強さ?私に負けるあなたが?私の話を何も聞かなかったのに、今更言い寄られても迷惑です」
「今までのことは謝る!だから…」

 だからなんだというのでしょう。この人のために、また私は自分を犠牲にしないといけないのでしょうか?
 もう嫌です。私はクリス様とこれからも一緒にいたいのです。

「だから?だからなんなんですか!また私に我慢しろと?自分は好き勝手に生きて、私に我慢し続けろと?これは私があなたに言い続けていたことを、聞いてこなかった結果でしょう?」
「それは…」
「あなたが有能であるのならば、この国から無くすのが惜しい人材ならば、もう少し結果は変わっていたはずです。ですが、今、あなた自身の価値はなく、あなたの存在はただ迷惑なだけです」
「俺だって…」
「こんなことになるなんてわかっていたら努力していたですか?ですが、王となろう者が他の人より努力するのは当たり前なんですよ。それをしてこなかったのはあなた自身じゃないですか」

 私の言葉に言い返せないのか、彼は何も返事をすることはなくなった。彼には言いませんが、この国を選べば護衛はつくでしょう。彼の知らないところで守ってはもらえるはずです。ですが、国外を選ぶのであれば、ルルア様はもう関わることはやめるでしょう。

 少なくとも今まで母と呼ばせていたのです。彼が幼少の頃から無視することもできたはずなのに…

 あとは彼の意思次第でしょうか…
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

転生令嬢だと打ち明けたら、婚約破棄されました。なので復讐しようと思います。

柚木ゆず
恋愛
 前世の記憶と膨大な魔力を持つサーシャ・ミラノは、ある日婚約者である王太子ハルク・ニースに、全てを打ち明ける。  だが――。サーシャを待っていたのは、婚約破棄を始めとした手酷い裏切り。サーシャが持つ力を恐れたハルクは、サーシャから全てを奪って投獄してしまう。  信用していたのに……。  酷い……。  許せない……!。  サーシャの復讐が、今幕を開ける――。

悪役令嬢が腹黒ヒロインと手を組んだら?

真理亜
恋愛
公爵令嬢のライラは婚約者である第2王子のルドルフのことが大嫌いだった。さっさと婚約破棄したくて堪らなかった。なにせとにかく女癖が悪い上に生来の悪党だからである。婚約破棄に向けて今日も着々とルドルフがやらかした悪事の証拠集めに勤しむ彼女だったが、ある日聞き捨てならない情報を入手する。どうやらルドルフの方もライラとの婚約破棄に向けて何やら企んでいるというものだ。イリナという男爵令嬢を利用してライラを追い詰めようと画策しているらしい。しかもイリナを使い捨てにするつもりらしい。そこでライラはイリナの元を訪れこう言った。 「ねぇ、私と手を組まない?」 ☆こちらは別タイトルで投稿していた物を、タイトルと構成をやや変えて投稿し直したものになります。

10日後に婚約破棄される公爵令嬢

雨野六月(旧アカウント)
恋愛
公爵令嬢ミシェル・ローレンは、婚約者である第三王子が「卒業パーティでミシェルとの婚約を破棄するつもりだ」と話しているのを聞いてしまう。 「そんな目に遭わされてたまるもんですか。なんとかパーティまでに手を打って、婚約破棄を阻止してみせるわ!」「まあ頑張れよ。それはそれとして、課題はちゃんとやってきたんだろうな? ミシェル・ローレン」「先生ったら、今それどころじゃないって分からないの? どうしても提出してほしいなら先生も協力してちょうだい」 これは公爵令嬢ミシェル・ローレンが婚約破棄を阻止するために(なぜか学院教師エドガーを巻き込みながら)奮闘した10日間の備忘録である。

【完結】死に戻り8度目の伯爵令嬢は今度こそ破談を成功させたい!

雲井咲穂(くもいさほ)
恋愛
アンテリーゼ・フォン・マトヴァイユ伯爵令嬢は婚約式当日、婚約者の逢引を目撃し、動揺して婚約式の会場である螺旋階段から足を滑らせて後頭部を強打し不慮の死を遂げてしまう。 しかし、目が覚めると確かに死んだはずなのに婚約式の一週間前に時間が戻っている。混乱する中必死で記憶を蘇らせると、自分がこれまでに前回分含めて合計7回も婚約者と不貞相手が原因で死んでは生き返りを繰り返している事実を思い出す。 婚約者との結婚が「死」に直結することを知ったアンテリーゼは、今度は自分から婚約を破棄し自分を裏切った婚約者に社会的制裁を喰らわせ、婚約式というタイムリミットが迫る中、「死」を回避するために奔走する。 ーーーーーーーーー 2024/01/13 ランキング→恋愛95位 ありがとうございました! なろうでも掲載20万PVありがとうございましたっ!

始まりはよくある婚約破棄のように

喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」 学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。 ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。 第一章「婚約者編」 第二章「お見合い編(過去)」 第三章「結婚編」 第四章「出産・育児編」 第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始

【完結】婚約破棄と言われても個人の意思では出来ません

狸田 真 (たぬきだ まこと)
恋愛
【あらすじ】  第一王子ヴィルヘルムに婚約破棄を宣言された公爵令嬢クリスチナ。しかし、2人の婚約は国のため、人民のためにする政略結婚を目的としたもの。  個人の意思で婚約破棄は出来ませんよ? 【楽しみ方】  笑い有り、ラブロマンス有りの勘違いコメディ作品です。ボケキャラが多数登場しますので、是非、突っ込みを入れながらお楽しみ下さい。感想欄でもお待ちしております! 突っ込み以外の真面目な感想や一言感想などもお気軽にお寄せ下さい。 【注意事項】  安心安全健全をモットーに、子供でも読める作品を目指しておりますが、物語の後半で、大人のロマンスが描写される予定です。直接的な表現は省き、詩的な表現に変換しておりますが、苦手な方はご注意頂ければと思います。  また、愛の伝道師・狸田真は、感想欄のお返事が初対面でも親友みたいな馴れ馴れしいコメントになる事がございます。ご容赦頂けると幸いです。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

その悪役令嬢、問題児につき

ニコ
恋愛
 婚約破棄された悪役令嬢がストッパーが無くなり暴走するお話。 ※結構ぶっ飛んでます。もうご都合主義の塊です。難しく考えたら負け!

処理中です...