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第十話
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別に父と関わりがあるからって、ルーシア様との関係を変えようとは思わないのに……いや、今だからこそ言える事があった……?
そんな疑問が頭をよぎる。
「実は以前から打診は受けていました。全部断っていましたが……。それでも今回告げたのは手紙の内容にルーシア様の名前が書かれていたからです。ご学友になっているとも書かれていたので、そろそろ話すべきなのではないかと感じました。それに……」
「「それに……?」」
「シェリア様は奥様として…アースベルト家の当主として十分に実力をつけてきているのを近くで見て来て感じております。なので、今回の件をお話ししても対応できると思いました」
私もお姉様も不本意ながら半分は向こうの血が流れている。そのため、一度でも私たちと会っておきたいという事なのでしょう。
「確かにローレンの言う通り、今はどうでもいいけど、一年前ぐらいだったら名前も聞きたくないって言っていたと思う」
「……私もです」
「はい。ですから、断っていただいても構いません。この件で、アースベルト家が不利になることはあり得ませんから」
「……アリシアはどう思う?」
「私は――」
ルーシア様の家が父と関わっているとは思わなかった。けど、関わって来るのであれば一つだけ聞きたいことがあります。
「私は……一度伺ってみたいです」
「……そっか。わかった。ローレン、返事を書くわ」
「承知致しました」
ローレンが頭を下げて部屋から出て行く。
もし、私が聞きたい事に、リージュ家が関わっていたとしたら、私はリージュ家だけでなく、ルーシア様も許せなくなるでしょう。
「アリシア……」
「……お姉様」
「……手……握り過ぎだよ。ほら、爪の跡がついてる」
「あっ」
お姉様が私の手をとって、手の平を見せてくる。そこには、本当に爪の跡がくっきりと付いている。無意識に握り過ぎていたみたい。
「どうしたの? やっぱり行くのをやめる?」
私は首を横に振る。
「そう。なら、何に悩んでいるか私に言える?」
「…………一つ、聞きたい事があるのです……」
「聞きたい事?」
「はい。父がアリーシャ様を殺害するために用意した毒草。あれは本当に父が全部用意したのでしょうか?」
アリーシャ様は私の父によって毒殺された。その理由は、このまま自分が当主になれず、アリーシャ様のオマケのように扱われる日々に嫌気がさしていた。そう答えたそうです。そして、それに加担したのが私の母でした。私はその罪人の子供。
けれど、私を養子として救ってくれたのがお姉様とリオン様なのです。
「アリシアは、リージュ家が関わっていると思っているのね」
「わかりません。ですが、可能性はあると思います。あの毒草の量は結構ありましたから……」
それに、アリーシャ様が倒れてから父が言った言葉。
「これでようやく私が……」
その言葉がずっと耳を離れない。
「そっか」
お姉様の言葉にハッとする。今考えることは父の行動は家絡みなのか、独断なのか。それだけを考えるべきだ。
父の家は今までわかっていなかった。母も父に付いてきたとしか言ってくれていなかった。だからこそリージュ家だと知って、父の父が子供可愛さに手を貸したかもしれない。母の同僚が手を貸したかもしれない。もしくはリーシュ家全体が関わっているのかもしれない。そう思うようになった。
今回私たちを呼んだのは、お姉様が当主として落ち着いたから、アリーシャ様のことも含めて謝罪をしたいからなのかもしれません。
もしかしたら、ルーシア様は私たちの様子を伺って、謝る時期を見定めていたのかも。
そんなこと考えたくない。けれど、どんどん悪い想像しか思いつかなくなる。
「アリシア、落ち着いて」
お姉様が私を胸に抱き寄せる。お姉様は隙があればいつも抱きついてくる。いつも、恥ずかしくなって引き離すが、今日はもっと強く抱きしめてほしい。
だから、私もお姉様の背中に手を伸ばし引き寄せる。
「アリシアの心配はわかった。けど、今回は心配しすぎよ」
「……どうして」
「ローレンが言っていたでしょう? 以前から送られて来てたって。ルーシアちゃんのことを疑ったのかもしれないけれど、手紙がいつから送られてきたかを聞けばわかるんじゃないかな?」
「……あっ」
私は思わずお姉様を見上げる。
「ふふっ、忘れてた? だから、今回のことはルーシアちゃんは関係ないと思う。けど……」
「……家や使用人はわからない」
「そう。だから、アリシアが聞きたいことは聞いていいと思う。私も知りたい。お母様がリージュ家に殺されたのか、私たちは知る権利があると思うの。だから――」
お姉様はそう言って私を見る。その顔はアリーシャ様と同じとても優しい笑顔だった。
「私たち二人で真実を聞きに行きましょう?」
「はい!」
しかし、返事を書いた数日後、ルーシア様は学園に来なくなった。
そんな疑問が頭をよぎる。
「実は以前から打診は受けていました。全部断っていましたが……。それでも今回告げたのは手紙の内容にルーシア様の名前が書かれていたからです。ご学友になっているとも書かれていたので、そろそろ話すべきなのではないかと感じました。それに……」
「「それに……?」」
「シェリア様は奥様として…アースベルト家の当主として十分に実力をつけてきているのを近くで見て来て感じております。なので、今回の件をお話ししても対応できると思いました」
私もお姉様も不本意ながら半分は向こうの血が流れている。そのため、一度でも私たちと会っておきたいという事なのでしょう。
「確かにローレンの言う通り、今はどうでもいいけど、一年前ぐらいだったら名前も聞きたくないって言っていたと思う」
「……私もです」
「はい。ですから、断っていただいても構いません。この件で、アースベルト家が不利になることはあり得ませんから」
「……アリシアはどう思う?」
「私は――」
ルーシア様の家が父と関わっているとは思わなかった。けど、関わって来るのであれば一つだけ聞きたいことがあります。
「私は……一度伺ってみたいです」
「……そっか。わかった。ローレン、返事を書くわ」
「承知致しました」
ローレンが頭を下げて部屋から出て行く。
もし、私が聞きたい事に、リージュ家が関わっていたとしたら、私はリージュ家だけでなく、ルーシア様も許せなくなるでしょう。
「アリシア……」
「……お姉様」
「……手……握り過ぎだよ。ほら、爪の跡がついてる」
「あっ」
お姉様が私の手をとって、手の平を見せてくる。そこには、本当に爪の跡がくっきりと付いている。無意識に握り過ぎていたみたい。
「どうしたの? やっぱり行くのをやめる?」
私は首を横に振る。
「そう。なら、何に悩んでいるか私に言える?」
「…………一つ、聞きたい事があるのです……」
「聞きたい事?」
「はい。父がアリーシャ様を殺害するために用意した毒草。あれは本当に父が全部用意したのでしょうか?」
アリーシャ様は私の父によって毒殺された。その理由は、このまま自分が当主になれず、アリーシャ様のオマケのように扱われる日々に嫌気がさしていた。そう答えたそうです。そして、それに加担したのが私の母でした。私はその罪人の子供。
けれど、私を養子として救ってくれたのがお姉様とリオン様なのです。
「アリシアは、リージュ家が関わっていると思っているのね」
「わかりません。ですが、可能性はあると思います。あの毒草の量は結構ありましたから……」
それに、アリーシャ様が倒れてから父が言った言葉。
「これでようやく私が……」
その言葉がずっと耳を離れない。
「そっか」
お姉様の言葉にハッとする。今考えることは父の行動は家絡みなのか、独断なのか。それだけを考えるべきだ。
父の家は今までわかっていなかった。母も父に付いてきたとしか言ってくれていなかった。だからこそリージュ家だと知って、父の父が子供可愛さに手を貸したかもしれない。母の同僚が手を貸したかもしれない。もしくはリーシュ家全体が関わっているのかもしれない。そう思うようになった。
今回私たちを呼んだのは、お姉様が当主として落ち着いたから、アリーシャ様のことも含めて謝罪をしたいからなのかもしれません。
もしかしたら、ルーシア様は私たちの様子を伺って、謝る時期を見定めていたのかも。
そんなこと考えたくない。けれど、どんどん悪い想像しか思いつかなくなる。
「アリシア、落ち着いて」
お姉様が私を胸に抱き寄せる。お姉様は隙があればいつも抱きついてくる。いつも、恥ずかしくなって引き離すが、今日はもっと強く抱きしめてほしい。
だから、私もお姉様の背中に手を伸ばし引き寄せる。
「アリシアの心配はわかった。けど、今回は心配しすぎよ」
「……どうして」
「ローレンが言っていたでしょう? 以前から送られて来てたって。ルーシアちゃんのことを疑ったのかもしれないけれど、手紙がいつから送られてきたかを聞けばわかるんじゃないかな?」
「……あっ」
私は思わずお姉様を見上げる。
「ふふっ、忘れてた? だから、今回のことはルーシアちゃんは関係ないと思う。けど……」
「……家や使用人はわからない」
「そう。だから、アリシアが聞きたいことは聞いていいと思う。私も知りたい。お母様がリージュ家に殺されたのか、私たちは知る権利があると思うの。だから――」
お姉様はそう言って私を見る。その顔はアリーシャ様と同じとても優しい笑顔だった。
「私たち二人で真実を聞きに行きましょう?」
「はい!」
しかし、返事を書いた数日後、ルーシア様は学園に来なくなった。
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