【完結】悪役令嬢と呼ばれた私は関わりたくない

白キツネ

文字の大きさ
61 / 89

ミラ視点9

しおりを挟む
 授業中、私は空き教室である人物を待っていた。授業? そんなもの、私が受ける必要があるわけないじゃない。テストさえ点数を取れていれば問題ないもの。
 まぁ、リオン様も受けるというのであれば、受けてあげてもいいけど、それもなかったし……

 でも、気になるのはリオン様が生徒会長ではなかった事。それと、手を回さなければリオン様と同じクラスになれなかった事。

 私のための世界なのに、私が知らない事が起きている。これも、全部アイツらの……

「ああ! ミラ様……!」

「ようやく来たわね」

 私が待っていた人物、私をリオン様と同じクラスにしてくれた教師。名前は……知らないし、どうでもいいわ。ただのモブだもの。

 そんな彼は、私を見るや私の前に立ち跪く。

「ミラ様、言われた通りに殿下と同じクラスにしました。ですから、私にあのお菓子を!」

「わかっているわ。はい。これが今回の報酬」

「ああ! ああ!」

 私がマカロンを取り出すと、彼はひったくるようにマカロンを取り、その場で食べ始める。その様子は飢えた獣が久しぶりの肉に食らいついてる姿を彷彿させる。

 彼に与えたマカロンはゲームでは恋愛ゲージを上げるために使われていたアイテム。本来はクッキーだったのだけど、それじゃあ面白くないからマカロンにしてみたの。その方が可愛いしね。
 色は私の髪色と同じピンク色。その原料は苺か何かだと思っていたけど、この世界……この国かもしれないけれど、苺のようなものは見つからなかった。
 だから、去年はコレを作るのは諦めていたんだけど、今年になって、急にピンク色の草が以前毒草が生えていた場所に生えていたの。

 これも神様の導きよね。きっと、ゲームも二年になってからが本番だったから、マカロンを作れるようになったのも今年からだったんだわ。

 だけど、私だって人間だもの。幾ら見た目がゲームと同じだからといって、庭にあった草……それも、毒草がなくなってから、雑草すら生えなかった土にできたものをリオン様に食べさせる訳にはいかない。

 だから、私は実験する事にしたの。まずは父親や侍女に食べさせたの。そしたらすごい事がわかっちゃった。
 男が食べると、私の言う事を聞いてくれるようになったの。今までの脅しではなく、自ずと従ってくれるの。すごいでしょ!
 侍女には効かなかったのが残念だったけど、それでも、リオン様にコレを食べさせれば、リオン様は私のもの。ようやく手に入れる事ができる。

 そうとわかれば直ぐに食べさせたかったけれど、そのためには接近しないといけない。だから、このモブを使ってリオン様と同じクラスになるように仕込んでもらったの。これで去年のようにはいかないわ。

 私が意気込んでいると、廊下から慌ただしく走っている音が聞こえてくる。

「リリアちゃん、見つかった?」

「いいえ、こちらにはいませんでした」

「どこに行ったの、アリシア……」

 シェリアともう一人、いつもあの二人とよく一緒にいるモブ。アリシアを探している? たいうことは、アリシアは今一人って事は……これはチャンスね。

「やはり、このお菓子は変ですわ」

「確かに、この反応はおかし過ぎますわね」

「……危険」

「貴方たち、何しているの! 行くわよ!」

「何処へ行くのですか?」

「決まっているじゃない、アリシアの所よ!」

 こんな絶好の機会の時に、未だに話し込んでいる間抜け三人に声を掛け、教室を出る。

 あの二人が居たという事は、この階には居ないだろうし……いるなら下の階。そう当たりをつけて階段を降りる。

 降りて直ぐに、少し遠くの望んでは方で誰かが叫んでいる声が聞こえる。

 ――アリシアだ!

 確信がある訳ではない。ただ、なんとなく、今聞こえた声はアリシアだと思った。

 どんな事をしてやろうか……。教室を出て油断している所を叩きのめすのもいいし、階段に行くのを待って、押すのでもいい。どっちにしようかしら。

 私は期待に胸を膨らませながら、声の方へ向かう。そして、声がしたであろう教室を覗き込む。

 そこにあった光景は信じられないようなものだった。

 ――あり得ない。あり得ない! どうしてリオン様とアリシアが? あり得ない!

 リオン様とアリシアがキスをしていた。その現実を受け入れる事が出来ずに全身が硬直する。

「どうしたのですか?」

「あっ……」

 三人に見せてはいけない。直感的にそう思うが、思うように声を出す事ができない。

「あらあら」

「……大胆」

 それぞれが身勝手に思った事を口にする。が、私は、リオン様が汚された事実に、声を出す事も、体を動かす事もままならない。

 ここまでストーリーが侵食されているとは思わなかった。私のリオン様が奪われた。汚された。

「……帰る」

「「「えっ!?」」」

 モブが驚いているが知らない。私は帰ってする事があるの。あんた達のように暇じゃないの。
 私のリオン様を取り返すために、マカロンを作らないと。それだけじゃない。他の男も使って、二度と日の目を浴びる事のできないようにしてやるんだから。

 ――覚えてなさい。この怨みは必ず返してやるんだから!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された悪役令嬢、放浪先で最強公爵に溺愛される

鍛高譚
恋愛
「スカーレット・ヨーク、お前との婚約は破棄する!」 王太子アルバートの突然の宣言により、伯爵令嬢スカーレットの人生は一変した。 すべては“聖女”を名乗る平民アメリアの企み。でっち上げられた罪で糾弾され、名誉を失い、実家からも追放されてしまう。 頼る宛もなく王都をさまよった彼女は、行き倒れ寸前のところを隣国ルーヴェル王国の公爵、ゼイン・ファーガスに救われる。 「……しばらく俺のもとで休め。安全は保証する」 冷徹な印象とは裏腹に、ゼインはスカーレットを庇護し、“形だけの婚約者”として身を守ってくれることに。 公爵家で静かな日々を過ごすうちに、スカーレットの聡明さや誇り高さは次第に評価され、彼女自身もゼインに心惹かれていく。 だがその裏で、王太子とアメリアの暴走は止まらず、スカーレットの両親までもが処刑の危機に――!

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。 前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。 外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。 もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。 そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは… どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。 カクヨムでも同時連載してます。 よろしくお願いします。

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

婚活をがんばる枯葉令嬢は薔薇狼の執着にきづかない~なんで溺愛されてるの!?~

白井
恋愛
「我が伯爵家に貴様は相応しくない! 婚約は解消させてもらう」  枯葉のような地味な容姿が原因で家族から疎まれ、婚約者を姉に奪われたステラ。  土下座を強要され自分が悪いと納得しようとしたその時、謎の美形が跪いて手に口づけをする。  「美しき我が光……。やっと、お会いできましたね」  あなた誰!?  やたら綺麗な怪しい男から逃げようとするが、彼の執着は枯葉令嬢ステラの想像以上だった!  虐げられていた令嬢が男の正体を知り、幸せになる話。

処理中です...