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リオン視点9
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学生服を着た賊……まぁ、本当に学生だったのだが、を捕らえて事情を聞くが、予想通りというか、隠す気もないないらしく、ミラという名前が出てくる。
どうやら直接手を出す事はやめて人を使おうとしているが、こんな烏合の衆では何もできないだろうに。
いや、リーアがいなければ長期戦になっていただろうか。今回は騎士たちだけでは手が出し辛い相手だったのだからな。
シェリア嬢と話しているリーアを見ると、さっきまで戦闘とは言えないほど一方的だったが、をしていたとは到底思えない。だが、彼女のドレスに付いている返り血が現実だと訴えかける。
「それで、お前らの目的は?」
「……」
「答えるつもりがないので有れば、アレ以上に酷い事が待っていると知った方がいい」
アレというのはもちろん、リーアに足を刺された奴らだ。今も「いだい…いだい」と泣き叫んでいる。
彼らを見て顔を青ざめるぐらいならば、なぜ武力で仕掛けてきたのかがわからない。こうなる事すら予測も出来ない愚か者だったということか。
「まあどっちでもいいか。私にはお前たちがどうなろうとどうでもいいからな」
「なっ! それでも貴方は王族ですか!?」
「その王族に対して攻撃をしてきたのはお前たちだがな」
「……うっ」
攻撃した相手に守って貰おうだなんて、都合が良過ぎるだろうに……
私がいなければリーア達が危険な目……に……
烏合の衆とはいえ、数は多い。リーアがナイフ術を学んでいたとしても、この数を捌ききるのは困難だっただろう。そう思うと途端にコイツらが許せなくなった。
「……騎士達よ、コイツらの足を同じように刺してやれ」
「は? はっ!」
「で、殿下どうしてですか!? 嫌だ! いやだ、うギャァー」
騎士たちは私の命令に困惑するが、直ぐに実行に移す。一番最初に刺されたのは、私の近くに居る者だった。
次々と片足に剣を突き刺される賊たちは、泣き叫びながら悲鳴を上げる。
「うるさいぞ。お前たちは彼女たちに今以上の痛みを与えようとしていたのだろう? それぐらいで済んだ事を幸運に思うが良い。それとも、もっと痛めつけようか?」
「ヒィッ」
酷く怯えられたものだ。別にどうでもいいが……コイツらの事を考えていると、酷く冷酷な自分がいるのを感じる。
――今の私を、リーアには見られたくないな
幸い、リーアは少し遠く離れている。そう思っていたのに、突然彼女と目が合った。
なぜだ? いや、理由は単純で、足元に転がって居る奴らの悲鳴が思ったよりも大きかったからだろう。
チッ、つくづく迷惑な奴らだ。
近づいてきた彼女は、私の足元をチラリと見た後、私に目を合わせる。その目には不安の色が見える。
――怖がらせてしまったか?
どうにかして誤魔化せないか、そんな事を考えていると、リーアが心配そうに声をかけてくる。
「リオン様、どうかしましたか?」
「いや、何もない……」
リーアが私の頬に手を当てる。
「嘘です。怖い顔をしていました」
「……ッ、怖がらせてしまったかい?」
「いいえ? 全然そんな事はないです」
「……えっ?」
「本当に怖い顔はしていました。ですが、私はそれを怖いとは思っていません。私がリオン様を怖がる要素なんて一つもないのですから。だから、そのような悲しい顔はやめてください」
悲しい顔? 今の私はそのような顔をしているのか?
「私に知られたくなかったんですよね。けれど、私は良かったですよ。また、新しいリオン様の顔を見れて。だから隠さないでください。そんな事でリオン様を嫌いになる事は絶対にないですから」
ああ、そうか……私は知られたくなかったんだ。リーアに、冷酷に人を処罰できる人間であるという事を。
だが、嫌いになる事は絶対にない……か。
「まったく、君には敵わないな」
「そうでしょうか? 私の方こそリオン様に敵うことはないと思うのですが」
「そんな事はないさ。君の言葉にはいつも助けられている」
「?」
私の言っている事が分からず、首を傾げる動きをする彼女を愛おしく思う。
いつまでもここにいる訳にもいかないので、族に見張りをつけ、先にリーア達を送る事になった。
「本日はありがとうございました。途中、問題がありましたが、リオン様を危険な目に合わせてしまい申し訳ありませんでした。が、リオン様のお陰で難なく帰る事ができました事を、心よりお喜び申し上げます」
「……いつものように話してくれないか?」
「いえ、殿下を危険な目に合わせてしまったのです。本来なら許されないはず「そこまで!」……もう少し言いたかったのですが」
「今日のことで揶揄うような事はしないと誓おう」
仕方ないな~といった感じで、ようやくシェリア嬢は口をつぐんだ。
ようやくリーアと向き合う。
「リーア、これを」
「これは? ……っ」
リーアに渡したのは以前、宝石店で見ていた宝石、イエローサファイアのブローチだ。金色が好きと聞いて、慌てて店主に取り寄せてもらった物だが、なんだかんだと渡さずにいた。
だが、今の機会がちょうどいいと思う。今日は両家の同意の上で、正式に婚約が決まった日なのだから。
「……よろしいのでしょうか?」
「私なんかに、か? それはリーアにあげたいと思ったものだ。いらないなら捨ててもら「そんな事ありません!」……そうか。それならもらってほしい」
「はい。ありがとう、ございます。とっても、嬉しいです」
ブローチを包んだ両手を胸の前にし、嬉しそうにハニカム彼女。
そんな様子を見ていると、渡せて良かった。
――これからも、この笑顔を守りたい
そんな思いと共に、守れるように力をつけないといけないと強く思う。
そうしないと、全ての面において置いていかれそうだ。
「本当に、大変な人に恋をしたものだ」
私の独り言に、彼女の姉だけが笑っていた。
どうやら直接手を出す事はやめて人を使おうとしているが、こんな烏合の衆では何もできないだろうに。
いや、リーアがいなければ長期戦になっていただろうか。今回は騎士たちだけでは手が出し辛い相手だったのだからな。
シェリア嬢と話しているリーアを見ると、さっきまで戦闘とは言えないほど一方的だったが、をしていたとは到底思えない。だが、彼女のドレスに付いている返り血が現実だと訴えかける。
「それで、お前らの目的は?」
「……」
「答えるつもりがないので有れば、アレ以上に酷い事が待っていると知った方がいい」
アレというのはもちろん、リーアに足を刺された奴らだ。今も「いだい…いだい」と泣き叫んでいる。
彼らを見て顔を青ざめるぐらいならば、なぜ武力で仕掛けてきたのかがわからない。こうなる事すら予測も出来ない愚か者だったということか。
「まあどっちでもいいか。私にはお前たちがどうなろうとどうでもいいからな」
「なっ! それでも貴方は王族ですか!?」
「その王族に対して攻撃をしてきたのはお前たちだがな」
「……うっ」
攻撃した相手に守って貰おうだなんて、都合が良過ぎるだろうに……
私がいなければリーア達が危険な目……に……
烏合の衆とはいえ、数は多い。リーアがナイフ術を学んでいたとしても、この数を捌ききるのは困難だっただろう。そう思うと途端にコイツらが許せなくなった。
「……騎士達よ、コイツらの足を同じように刺してやれ」
「は? はっ!」
「で、殿下どうしてですか!? 嫌だ! いやだ、うギャァー」
騎士たちは私の命令に困惑するが、直ぐに実行に移す。一番最初に刺されたのは、私の近くに居る者だった。
次々と片足に剣を突き刺される賊たちは、泣き叫びながら悲鳴を上げる。
「うるさいぞ。お前たちは彼女たちに今以上の痛みを与えようとしていたのだろう? それぐらいで済んだ事を幸運に思うが良い。それとも、もっと痛めつけようか?」
「ヒィッ」
酷く怯えられたものだ。別にどうでもいいが……コイツらの事を考えていると、酷く冷酷な自分がいるのを感じる。
――今の私を、リーアには見られたくないな
幸い、リーアは少し遠く離れている。そう思っていたのに、突然彼女と目が合った。
なぜだ? いや、理由は単純で、足元に転がって居る奴らの悲鳴が思ったよりも大きかったからだろう。
チッ、つくづく迷惑な奴らだ。
近づいてきた彼女は、私の足元をチラリと見た後、私に目を合わせる。その目には不安の色が見える。
――怖がらせてしまったか?
どうにかして誤魔化せないか、そんな事を考えていると、リーアが心配そうに声をかけてくる。
「リオン様、どうかしましたか?」
「いや、何もない……」
リーアが私の頬に手を当てる。
「嘘です。怖い顔をしていました」
「……ッ、怖がらせてしまったかい?」
「いいえ? 全然そんな事はないです」
「……えっ?」
「本当に怖い顔はしていました。ですが、私はそれを怖いとは思っていません。私がリオン様を怖がる要素なんて一つもないのですから。だから、そのような悲しい顔はやめてください」
悲しい顔? 今の私はそのような顔をしているのか?
「私に知られたくなかったんですよね。けれど、私は良かったですよ。また、新しいリオン様の顔を見れて。だから隠さないでください。そんな事でリオン様を嫌いになる事は絶対にないですから」
ああ、そうか……私は知られたくなかったんだ。リーアに、冷酷に人を処罰できる人間であるという事を。
だが、嫌いになる事は絶対にない……か。
「まったく、君には敵わないな」
「そうでしょうか? 私の方こそリオン様に敵うことはないと思うのですが」
「そんな事はないさ。君の言葉にはいつも助けられている」
「?」
私の言っている事が分からず、首を傾げる動きをする彼女を愛おしく思う。
いつまでもここにいる訳にもいかないので、族に見張りをつけ、先にリーア達を送る事になった。
「本日はありがとうございました。途中、問題がありましたが、リオン様を危険な目に合わせてしまい申し訳ありませんでした。が、リオン様のお陰で難なく帰る事ができました事を、心よりお喜び申し上げます」
「……いつものように話してくれないか?」
「いえ、殿下を危険な目に合わせてしまったのです。本来なら許されないはず「そこまで!」……もう少し言いたかったのですが」
「今日のことで揶揄うような事はしないと誓おう」
仕方ないな~といった感じで、ようやくシェリア嬢は口をつぐんだ。
ようやくリーアと向き合う。
「リーア、これを」
「これは? ……っ」
リーアに渡したのは以前、宝石店で見ていた宝石、イエローサファイアのブローチだ。金色が好きと聞いて、慌てて店主に取り寄せてもらった物だが、なんだかんだと渡さずにいた。
だが、今の機会がちょうどいいと思う。今日は両家の同意の上で、正式に婚約が決まった日なのだから。
「……よろしいのでしょうか?」
「私なんかに、か? それはリーアにあげたいと思ったものだ。いらないなら捨ててもら「そんな事ありません!」……そうか。それならもらってほしい」
「はい。ありがとう、ございます。とっても、嬉しいです」
ブローチを包んだ両手を胸の前にし、嬉しそうにハニカム彼女。
そんな様子を見ていると、渡せて良かった。
――これからも、この笑顔を守りたい
そんな思いと共に、守れるように力をつけないといけないと強く思う。
そうしないと、全ての面において置いていかれそうだ。
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