【完結】転生者のお姉様は自分を悪役令嬢と言い張るのですが…どう考えても悪役は私です

白キツネ

文字の大きさ
48 / 57

私が望んだのは…

しおりを挟む
「……」

 リオン様の言葉に返す言葉が見つからない。だって、その通りなのだから。私はお姉様の言った物語に沿って生きてきたのだから。

「シェリア嬢を助けたい。仮に君の思いを汲み取るのならば、奪ったものを返したい。それだけなら私も何も言わない。だが、君はそれ以上に彼女から離れようとしているんじゃないか? アリシア、君は一体何を隠している?」

「私は……悪役…ですから」

「なに…?」

「私は悪役ですから。主人公であるお姉様の側にいてはいけない。ただそれだけです」

 それだけ。私は悪役として、この物語から消え去る。それが私の考え…

「はぁ、君はシェリア嬢に対して、悪役と言い張ると言っていたが、言い張っているのは君の方じゃないのか?」

「…違います。お姉様とは違って、私は事実を言っているだけですから」

「事実と言うのであれば、自分が何をして来たのか言ってみるがいい。ただ、部屋を奪ったとかは別だよ。初めて来た家に与えられた部屋が他人の物かどうかなんて、誰にもわからないんだから」

「! それなら、お姉様を人形と言った「あまり私を舐めないで欲しいな」…!」

「君がシェリア嬢をお人形と呼んだ理由なんて知っているし、それは彼女を侮蔑する為じゃなく、守る為だ。それに、言ったのもあの父親の前だけだろう」

「それは……」

「ほら、君自身、自分がどんな罪かなんて分かっていない。物語に囚われているのは君の方なんじゃないかな?」

「違います!私は…」

 私はお姉様に笑っていただけるように…その為に私は必要ない。だから……

「私はお姉様に笑っていて欲しいのです。初めて会った時の顔ではなく、笑って…だから私は!」

「自分を犠牲にか?物語の悪役がいなくなれば、主人公が幸せになり終わる。だが、本当か?」

「ほん……とう…?」

「ああ、物語のアリシアはシェリアを傷つけて、それはいなくなった方がいい人物だったのであろうな。だが君はどうなんだ? 私には到底、そのような人物には見えないのだが?」

「それは……」

「君が救いたいと思っていたのは一体誰なんだい?」

 私が救いたい人? そんな人、お姉様だけ……

「君が救おうと思っていたのはシェリア嬢ではなく、物語のシェリアじゃない「違う!」……」

 思わず叫んでしまい、リオン様が黙る。だけど、それ以上先のことは言って欲しくなかった。

「…違います。私は…お姉様が…幸せになれるように…」

 そう。私がいなくなればそれで…

「私たちは物語の人物ではない。生きているんだよ。私も、シェリア嬢も。もちろん君もだ、アリシア。物語のように悪役が倒され、主人公が幸せになって終わりではない。私たちには気持ちがある。君と触れ合ってきたシェリア嬢の気持ちを君は裏切るのか?」

「じゃあ…じゃあ、私はどうすれば良かったのですか! お姉様を傷つける私なんて…お姉様と一緒にいても迷惑をかける…だけなのに…」

「現実に向き合い、物語を逃げ道にするのではなく、現実のシェリア嬢とちゃんと話し合うべきだった。君は物語が現実に当てはまると思い込みすぎだ。レオス、今のシェリア嬢の状況を聞かせてあげたらどうかな?」

 リオン様は扉の前でずっと黙っていたレオス様に声をかける。すると、レオス様は心底嫌そうな顔をした後、話し出した。

「はぁ、ここで俺に回ってくるのかよ。まあいい。いいか、よく聞け。お前が連行されてからシェリーはずっと家に引き籠っていた。ずっと泣きながらな。アンすらも部屋に入れなかった。飯も食わなかった。お前が望んだのはそんなシェリーの姿か?」

「違っ」

 どうして、お姉様が…私がいなくなればお姉様は……

 私がいなくなったから…私のせいで…

「君はどうしてそう…シェリア嬢が関わった途端に賢さがなくなるのかとても不思議だが、君が今、彼女にできることはある」

 私がお姉様にできること…

「それは…」

「もう、姉妹としての関係はできない。だが、友人として関わることはできる。今回の試験で飛び級できるほどなのは確認できた。どうする? 私と共にシェリア嬢と同学年になるつもりは「なります!」ふふっ、そうか。ならばそう手配しよう」

 同級生になる。それで、お姉様に謝らないと。それから、今度はもう二度と私からは離れない。一緒にいていいかなんて悩まない。私がお姉様と一緒にいたいんだから。

「そうか、ならば君には養子になってもらう。一応貴族の方が何かと便利だからな。それに、君の実力を大いに評価してくれて、ぜひ君を養子にしたいと話が来ているんだ。構わないかい?」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに恋も叶えちゃいます!

MEIKO
ファンタジー
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!  笑って泣けるコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。

悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています

窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。 シナリオ通りなら、死ぬ運命。 だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい! 騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します! というわけで、私、悪役やりません! 来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。 あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……! 気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。 悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

恋愛戦線からあぶれた公爵令嬢ですので、私は官僚になります~就業内容は無茶振り皇子の我儘に付き合うことでしょうか?~

めもぐあい
恋愛
 公爵令嬢として皆に慕われ、平穏な学生生活を送っていたモニカ。ところが最終学年になってすぐ、親友と思っていた伯爵令嬢に裏切られ、いつの間にか悪役公爵令嬢にされ苛めに遭うようになる。  そのせいで、貴族社会で慣例となっている『女性が学園を卒業するのに合わせて男性が婚約の申し入れをする』からもあぶれてしまった。  家にも迷惑を掛けずに一人で生きていくためトップであり続けた成績を活かし官僚となって働き始めたが、仕事内容は第二皇子の無茶振りに付き合う事。社会人になりたてのモニカは日々奮闘するが――

悪役令嬢を追放されたけれど、国一番の公爵様に異例の溺愛をされています

exdonuts
恋愛
かつて婚約者の王太子に裏切られ、断罪され、すべてを失った公爵令嬢リリア。けれど、追放先で出会ったのは“冷徹”と噂される隣国の公爵様だった。 彼は言う――「君を幸せにするのは、俺の役目だ」と。 誤解と陰謀の果てに手にした、真実の愛とざまぁの快音。これは、誰よりも不器用な二人が再び歩き出す恋の物語。 最後に笑うのは、かつて虐げられた“悪役令嬢”。

転生した子供部屋悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!

木風
恋愛
婚約者に裏切られ、成金伯爵令嬢の仕掛けに嵌められた私は、あっけなく「悪役令嬢」として婚約を破棄された。 胸に広がるのは、悔しさと戸惑いと、まるで物語の中に迷い込んだような不思議な感覚。 けれど、この身に宿るのは、かつて過労に倒れた29歳の女医の記憶。 勉強も社交も面倒で、ただ静かに部屋に籠もっていたかったのに…… 『神に愛された強運チート』という名の不思議な加護が、私を思いもよらぬ未来へと連れ出していく。 子供部屋の安らぎを夢見たはずが、待っていたのは次期国王……王太子殿下のまなざし。 逃れられない運命と、抗いようのない溺愛に、私の物語は静かに色を変えていく。 時に笑い、時に泣き、時に振り回されながらも、私は今日を生きている。 これは、婚約破棄から始まる、転生令嬢のちぐはぐで胸の騒がしい物語。 ※本作は「小説家になろう」「アルファポリス」にて同時掲載しております。 表紙イラストは、Wednesday (Xアカウント:@wednesday1029)さんに描いていただきました。 ※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。 ©︎子供部屋悪役令嬢 / 木風 Wednesday

処理中です...