1 / 26
1.水中観覧席
しおりを挟む
ゆらゆらと、さざなみのように光が揺れる。
目の前はどこまでも水色で、帯びれを揺らして泳ぐイルカが姿を見せては、余韻を残して刹那に去っていく。
水面から時折生み出される泡沫が幻のように儚く消え、自分の存在が薄くなっていく。
ここは水族館の水中観覧席だ。
僅かな段差の階段に腰掛け、現実を忘れて水の中の幻想世界に浸るのが私、古城里見の趣味だ。
水上のイルカショーや、ペンギンなど他のゾーンへ行く時もあるけれど、最近はここでぼんやりとして、そのまま帰ることが多い。
夏休みは特にそんな過ごし方が多かった。誰にも邪魔されたくなくて、友達とも好きな人とも来たことがない。
誰かに、愛されたいな。
ぼんやりと、水色の世界を見ながら、思う。
誰も愛してはいないのに、愛してほしいなんて、ただのわがままなのかもしれない。
でも、愛してくれない人を愛すのは、怖い。好きな人の中で、愛してくれた人を自分も愛したい。
その程度の気持ちだ。
そんな現実のあれこれを忘れたい時に、ここに来る。
この淡い水色の世界に比べれば、全てが些末な問題だと思える。
現実逃避が、私の趣味の目的だ。
いくつかの自分を使い分けるエネルギーをここで蓄えて、現実に戻る。
目の前はどこまでも水色で、帯びれを揺らして泳ぐイルカが姿を見せては、余韻を残して刹那に去っていく。
水面から時折生み出される泡沫が幻のように儚く消え、自分の存在が薄くなっていく。
ここは水族館の水中観覧席だ。
僅かな段差の階段に腰掛け、現実を忘れて水の中の幻想世界に浸るのが私、古城里見の趣味だ。
水上のイルカショーや、ペンギンなど他のゾーンへ行く時もあるけれど、最近はここでぼんやりとして、そのまま帰ることが多い。
夏休みは特にそんな過ごし方が多かった。誰にも邪魔されたくなくて、友達とも好きな人とも来たことがない。
誰かに、愛されたいな。
ぼんやりと、水色の世界を見ながら、思う。
誰も愛してはいないのに、愛してほしいなんて、ただのわがままなのかもしれない。
でも、愛してくれない人を愛すのは、怖い。好きな人の中で、愛してくれた人を自分も愛したい。
その程度の気持ちだ。
そんな現実のあれこれを忘れたい時に、ここに来る。
この淡い水色の世界に比べれば、全てが些末な問題だと思える。
現実逃避が、私の趣味の目的だ。
いくつかの自分を使い分けるエネルギーをここで蓄えて、現実に戻る。
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
Promise Ring
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。
下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。
若くして独立し、業績も上々。
しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。
なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる