4 / 26
4.ホテル
しおりを挟む
イタリア料理を存分に味わい、いつも通りラブホテルに着いた。
豪華というわけではないけれど、アジアンテイストの落ち着いた雰囲気の部屋で、私たちは抱き合う。
「満琉さんのお陰で、ネクタイはずすの上手くなったんだから」
首元にわざと息を吹きつけるようにしながら、ネクタイをほどいていく。ゆるく巻いた髪を満琉が弄ぶのを感じながら、ネクタイがさらりと手の中に落ちる。
「里美、いい匂い」
ワイシャツのボタンに手をかける私を制し、今度は満琉が薄い上着を脱がせ始めた。ワンピース一枚になり、肩があらわになる。
「何もしてないよ。香水も嫌いだし、化粧もそんなにしていない」
「だからいいんだよ。俺の好きな、里美の匂いだ」
剥き出しの肩に、ちゅっと音を立ててキスをした後に、ぺろりと舐めた。
匂いが移らなければ、浮気がばれにくい。
だから目をつけたのだろうか。
私を思い出す何かを持たず、匂いも残らない。シャンプーも使わず、お湯に浸かるか流すかの二択だ。
お泊まりをしたこともないし、レシートは置いていく。
今が終われば、何も残らず、なかったことになる。
だから関係を続けているのだろうか。
満琉も、匂いはしない。
煙草の匂いも、コーヒーの匂いも、何もない。
だから私も、関係を持ったのかもしれない。
甘い蜜で私を引き寄せ、脳を麻痺させるこの男と。
次は私の番だとワイシャツのボタンに指を掛ける。手を押しつけるように一つずつ外して、軽く刺激する。
完全に脱がし終えると、テーブルの上のネクタイに重ねるようにして無造作に置く。
それを待っていたとばかりに、満琉は背中のファスナーを、引き下ろした。
ストンと、薄い水色の花柄ワンピースが床に落ちる。そのまま、花の花弁を一枚一枚むいていくように、まとう布を剥がしては、落としていく。
花びらの落ちたむき出しの私はどう映っているのだろうか。
満琉の瞳を覗きこむと、そのままキスをされ、見えなくなった。
体が上気し、無臭だったはずの二人の間には、むせ返るような熱さが宿る。
私は、静かに瞳を閉じた。
キスをしながら瞳を開けても、きっとつまらないものしか映らない。
豪華というわけではないけれど、アジアンテイストの落ち着いた雰囲気の部屋で、私たちは抱き合う。
「満琉さんのお陰で、ネクタイはずすの上手くなったんだから」
首元にわざと息を吹きつけるようにしながら、ネクタイをほどいていく。ゆるく巻いた髪を満琉が弄ぶのを感じながら、ネクタイがさらりと手の中に落ちる。
「里美、いい匂い」
ワイシャツのボタンに手をかける私を制し、今度は満琉が薄い上着を脱がせ始めた。ワンピース一枚になり、肩があらわになる。
「何もしてないよ。香水も嫌いだし、化粧もそんなにしていない」
「だからいいんだよ。俺の好きな、里美の匂いだ」
剥き出しの肩に、ちゅっと音を立ててキスをした後に、ぺろりと舐めた。
匂いが移らなければ、浮気がばれにくい。
だから目をつけたのだろうか。
私を思い出す何かを持たず、匂いも残らない。シャンプーも使わず、お湯に浸かるか流すかの二択だ。
お泊まりをしたこともないし、レシートは置いていく。
今が終われば、何も残らず、なかったことになる。
だから関係を続けているのだろうか。
満琉も、匂いはしない。
煙草の匂いも、コーヒーの匂いも、何もない。
だから私も、関係を持ったのかもしれない。
甘い蜜で私を引き寄せ、脳を麻痺させるこの男と。
次は私の番だとワイシャツのボタンに指を掛ける。手を押しつけるように一つずつ外して、軽く刺激する。
完全に脱がし終えると、テーブルの上のネクタイに重ねるようにして無造作に置く。
それを待っていたとばかりに、満琉は背中のファスナーを、引き下ろした。
ストンと、薄い水色の花柄ワンピースが床に落ちる。そのまま、花の花弁を一枚一枚むいていくように、まとう布を剥がしては、落としていく。
花びらの落ちたむき出しの私はどう映っているのだろうか。
満琉の瞳を覗きこむと、そのままキスをされ、見えなくなった。
体が上気し、無臭だったはずの二人の間には、むせ返るような熱さが宿る。
私は、静かに瞳を閉じた。
キスをしながら瞳を開けても、きっとつまらないものしか映らない。
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
Promise Ring
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。
下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。
若くして独立し、業績も上々。
しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。
なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる