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八章
38話 初めての旅
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38話 初めての旅
甲板(かんぱん)の柵に手を掛け徐々に遠ざかる国を、ジャスティスは憂いにも似た表情で見つめていた。
(僕は、これからどうなってしまうのかな……)
ジャスティスはこの先どうすればいいか分からなくて急に不安感が募(つの)ってきてたまらず俯(うつむ)いてしまった。
国を出てしまった以上、これからは誰にも頼らず生きていかなければならない。偶然とはいえ、カインと出会って正直助かった部分もある。その場では何をどうすべきか分からずにいた自分に『進む道』を示してくれた人でもあり、八方塞(はっぽうふさ)がりだったのを助けてくれた人でもある。そして、ウルーガもまた自分を信じてついてきてくれた人だ。
(『どうなってしまうか』なんて、そんなのわからない。けど、『どうすべきか』なら考えれる。僕は、カインさんについていくんだ)
ジャスティスはそう思い不安を拭い去って顔をあげた。
自分が住み慣れた国はもう霞(かすみ)がかってよく見えないが、
(父様、母様。僕はしばらく帰れないけど、どうか無事でいてください。――必ず戻ってきます)
「ジャスティス」
ジャスティスがひとり、自分の進むべき道を考えていると声が聞こえ振り返ればそこにはカインとウルーガの姿。
「お前……大丈夫か?」
心配そうに眉をひそめているカイン。
「あ、はい。でもロウファには……」
ジャスティスは二人に気を遣わせまいと笑顔で頷くが、すぐに力なく俯いて、
「嫌われちゃったみたいですけどね」
と、少し諦めたように薄く笑った。
「そうか」
カインはそんなジャスティスを気遣ってか多くは聞かず、話題を急に変えるように、
「ーーさて。今後の事なんだが」
「そういえば、この船どこに向かってるんですか?」
今更気付いたようにジャスティスはカインに聞いた。
「とりあえず隣国(りんごく)のファルガイアに向かう。大きな国とはいえ、俺の知り合いがいるからな」
「隣国? ファルガイア?」
目を瞬きながらきょんとし、ジャスティスは首を傾げる。
「……お前なぁ~」
呆れ混じりにジャスティスを見るカイン。ジャスティスの頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でて、
「仮にも学校にいたんだろう? 世界の地図くらい見てるだろう」
「ぼ、僕……鍛治とか香草学とかのほうをやってたら」
慌てて、しかし嫌そうじゃないジャスティスの言い訳にカインとウルーガは同時に笑った。
「まあいい。よく聞け」
カインは懐から少し大きめの羊皮紙を取り出した。長年使っているのか、かなり皺(しわ)くちゃにはなっているが。
カインを中心に取り囲むジャスティスとウルーガは、カインが広げた【世界地図】を見る。
「ここが北国タータルネーク。ジャスティスやウルーガがいた国だ」
そう言いカインが世界地図のほぼ真上、北側の中心の国を指し示すとジャスティスとウルーガは同時に頷いた。
「この大陸の右に、もうひとつ陸があるだろ?」
カインが二人に同意を求めるように言えば、ジャスティスとウルーガはこくこくと頷く。
「それがファルガイア。世界で最も寒いと言われる、『極寒の地ファルガイア』だ」
「……『極寒の地』、ですか?」
ジャスティスは意外といった表情でカインの言葉をおうむ返しする。
「ああ」
カインはひとつ返事で頷き、
「そこに知り合いがいるからな。少しの間、匿(かくま)わせてもらおうと思ってな」
甲板(かんぱん)の柵に手を掛け徐々に遠ざかる国を、ジャスティスは憂いにも似た表情で見つめていた。
(僕は、これからどうなってしまうのかな……)
ジャスティスはこの先どうすればいいか分からなくて急に不安感が募(つの)ってきてたまらず俯(うつむ)いてしまった。
国を出てしまった以上、これからは誰にも頼らず生きていかなければならない。偶然とはいえ、カインと出会って正直助かった部分もある。その場では何をどうすべきか分からずにいた自分に『進む道』を示してくれた人でもあり、八方塞(はっぽうふさ)がりだったのを助けてくれた人でもある。そして、ウルーガもまた自分を信じてついてきてくれた人だ。
(『どうなってしまうか』なんて、そんなのわからない。けど、『どうすべきか』なら考えれる。僕は、カインさんについていくんだ)
ジャスティスはそう思い不安を拭い去って顔をあげた。
自分が住み慣れた国はもう霞(かすみ)がかってよく見えないが、
(父様、母様。僕はしばらく帰れないけど、どうか無事でいてください。――必ず戻ってきます)
「ジャスティス」
ジャスティスがひとり、自分の進むべき道を考えていると声が聞こえ振り返ればそこにはカインとウルーガの姿。
「お前……大丈夫か?」
心配そうに眉をひそめているカイン。
「あ、はい。でもロウファには……」
ジャスティスは二人に気を遣わせまいと笑顔で頷くが、すぐに力なく俯いて、
「嫌われちゃったみたいですけどね」
と、少し諦めたように薄く笑った。
「そうか」
カインはそんなジャスティスを気遣ってか多くは聞かず、話題を急に変えるように、
「ーーさて。今後の事なんだが」
「そういえば、この船どこに向かってるんですか?」
今更気付いたようにジャスティスはカインに聞いた。
「とりあえず隣国(りんごく)のファルガイアに向かう。大きな国とはいえ、俺の知り合いがいるからな」
「隣国? ファルガイア?」
目を瞬きながらきょんとし、ジャスティスは首を傾げる。
「……お前なぁ~」
呆れ混じりにジャスティスを見るカイン。ジャスティスの頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でて、
「仮にも学校にいたんだろう? 世界の地図くらい見てるだろう」
「ぼ、僕……鍛治とか香草学とかのほうをやってたら」
慌てて、しかし嫌そうじゃないジャスティスの言い訳にカインとウルーガは同時に笑った。
「まあいい。よく聞け」
カインは懐から少し大きめの羊皮紙を取り出した。長年使っているのか、かなり皺(しわ)くちゃにはなっているが。
カインを中心に取り囲むジャスティスとウルーガは、カインが広げた【世界地図】を見る。
「ここが北国タータルネーク。ジャスティスやウルーガがいた国だ」
そう言いカインが世界地図のほぼ真上、北側の中心の国を指し示すとジャスティスとウルーガは同時に頷いた。
「この大陸の右に、もうひとつ陸があるだろ?」
カインが二人に同意を求めるように言えば、ジャスティスとウルーガはこくこくと頷く。
「それがファルガイア。世界で最も寒いと言われる、『極寒の地ファルガイア』だ」
「……『極寒の地』、ですか?」
ジャスティスは意外といった表情でカインの言葉をおうむ返しする。
「ああ」
カインはひとつ返事で頷き、
「そこに知り合いがいるからな。少しの間、匿(かくま)わせてもらおうと思ってな」
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